朝、目が覚めたのは、
LINEの着信音のせいだった。
彼が、おはようと言う。
日曜日の朝なのに、大丈夫なのかと、逆に心配になった。
でも彼が、そうするなら、今は大丈夫ってことなのか。
私は、ゆうべ、やらしい動画を撮ったの。
送ってもいい?
きっと驚くに違いなかった。
全裸でベッドに横たわり、
自分で慰めながら、
全力で登り詰め、
最後は、力尽きて誰かの温もりを求めながら、
ひとりを感じる動画。
彼は、それを見て、綺麗な肌だと言ってくれた。
爪が綺麗だと褒めてくれた。
その後すぐに、
彼からも画像が送られてきた。
いつ以来だろうか。
鏡にうつる全裸の彼の姿。
偶然にも、私が求めていたものが、そこに現れた。
そう、私は、きっと、
この胸の中で、安心したかったんだ。
裸の男と女は、
交わることはない。
けれど、
そうやって満たされる。
自分の身体を
ありのままの姿を
そのまま見てもらうんだ。
もしかしたら、これは、本能なのかもしれない。
私達は、もう若くないから、
残しておきたいんだと思う。
相手の中に。
自分が生きた証を。
歩んできた歳月を。
私は、彼を刻む。
私は、彼に刻まれる。
日曜の朝。
彼はすぐに、ここからいなくなった。
私も、起きて、
犬の散歩に行こうと立ち上がった。