バカの一つ覚え

最近、何かとヤボ用が多く、丸一日ツーリングに行く事が出来ない。
昨日も、午前中のアルバイトを終えてから走りに出かけた。
朝からたっぷりと時間をかけて行けるなら、新しい道を探しながら…迷いながらのツーリングに行きたいところだ。
しかし、限られた時間の中でのツーリングとなると、いつもの様に決まったコースを走るしかない。
まあ、それでも何もせずに家でゴロゴロするよりはましだ。
北九州都市高速を金剛ＩＣまで走り、直方バイパスから添田、日田と走る。
最近、ツーリング仲間達がキップを切られているので、市街地は、ペースを落として車の流れに逆らわずに走る。
日田まで我慢しながら走り、市街地であろうファームロードに入る。
ここからは、気持ちペースを上げる。
もう何度、この道を走っただろう…他人に言うのも恥ずかしいくらい走った。
バカの一つ覚えのように、ここに来てここを走る。
そして、この日もバカな俺は楽しんだ。
「今日は、久しぶりにやまなみまで走ってみようかな…」
時計で時間を確認するが、やまなみまで行くには時間が足りない。（やっぱり無理か！）
またまた、いつもの様に玖珠に抜ける事にした。
ファームロードからＲ３８７を走る。
宝泉寺温泉の辺りは、“速度違反取り締まり区間”と書かれた黄色い看板があるが、一度も取締りを見た事がない。
しかし、やはり看板は気になる。
道沿いにある交番までは、ペースを落として走る。
すると、トンネル手前で、対向車の白いセルシオがパッシングしてきた。
嫌な予感。
速度を、法定速度５０ｋｍ/時に落として、四角い箱が三脚にのっかって路側帯に大きな口を開けていないか見ながら走る。
すると、四角い箱ではなく、白と黒に塗られたセダンが、大きな口を開けて路肩に潜んでいた。
「ありがとう、白のセルシオさん。貴方は、本当に良い人だ」
バックミラーから、白黒セダンが見えなくなってから、再びペースを上げる。
玖珠まで出たら、山国に抜け、英彦山野峠を走って自宅に戻った。
この日も、バイク、身体、免許証のどれも怪我をせずに帰ってきた。

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