遥かな轍(日々雑感)

大根サラダを食いまくってカリカリな体になってみよう(笑。

東野鉄道DC201~その3

2006年01月06日 09時52分12秒 | 9mmコラム(車輌編)
東野鉄道DC201の紹介、第3回です。今回は我が作央線レイアウトのヤードモジュール(美作追分機関区)からお届けします。今回は少しノベル風にお送りします。

 昭和43年秋。私は犬挟峠を越える作央線のD51の勇姿をひと目見ようと、岡山県真庭郡へと相棒のコンタックスと共に向かった。朝早く大阪から急行みまさか1号に乗り、まずは蒜山高原の麓、八束を目指した。約3時間強、新鋭のキハ58に揺られ本八束に到着。ホームで旨そうな鰹の出汁の香りに誘われ、立ち食いで「けつねうろん」をかきこみ、早速目星をつけていた撮影ポイントへ。作央線の線路から少し離れた土手に足場を確保し、三脚をセット。今日の為に奮発したコダクロームをコンタックスに装填。まずは下り貨物655レのD51重連を狙う。この655レは定数一杯750tの列車で、犬挟越えの為に3機ものデコイチが運用に就く。前重連にケツ持ちが付く変則3重連だ。列車通過まではまだかなり時間がある。逸る気持ちを鎮めようとLeeライダースの胸ポケットからマルボロを取り出す。小粋にジッポで火をつけ、思いっきり紫煙を吸い込む。あたりは桜や紅葉が真っ赤に染まり、秋が深まってゆくのを実感させる。ファインダーを覗いてアングルを確かめる。どうも落ち着かない。2本目のマルボロを取り出そうと胸ポケットをまさぐっていた時だった。背後からけたたましいエンジン音が聞こえて来る。いつも良く耳にするDMH17の音だが・・・。しかし、異様に引っ張っているようで妙に甲高い。何故か違和感があった。
「なんだろう?」
 不思議に思って音の主の登場を待った。そして真っ赤に染まる桜の木の梢から、けたたましいエクゾーストノートを伴って奇妙なDLが現れた。
「な、なんだ?ありゃ???」
 2軸のワムを4両ほど従えたそれは妙に小さく、辺りに轟音を轟かせているのが不釣合いなほど愛らしい姿だった。
「あ、DC20じゃないか!!」
「な、なぜ作央線に?」
 DC20と言えば、確か栃木か群馬だかの東野鉄道に居た小型ディーゼル機だった。何年か前、鉄道ファンに数枚のモノクロ写真と共に紹介されていたが、東野鉄道が経営の危機に陥ってしまい、早晩なくなってしまうかもとの事だったが・・・。
 全く予測もしていなかった珍客の登場に、私はすっかり興奮。どうにか後追いで捕らえる事ができたが上手く撮れているだろうか。しかし、何故DC20が作央線に居るのだろうか?。そして、たった4両の貨車を伴って、一体何処から来て何処へ向かうというのだろうか???。
 大いに好奇心を掻き立てられた私は、デコイチの撮影を諦め(と言うか既に眼中になかった)道具を片付け本八束の駅へ大急ぎで戻る事にした。タクシーを捕まえて、DC20の後を追うのだ。

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