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ブログタイトルを変更しましたが特に意味はありません。

“CAFE オーケストラ” OGIKUBO-TOKYO

2011年05月14日 03時56分08秒 | CURRY-欧風・洋食・ビストロ












野郎カレー部第18回目。

「あの震災があって真っ先に思ったのは、“もっと友人たちと会う機会を積極的に作ろう”ってこと。この先、何があるか分からないしね」
そんなDEMIくんからの呼集により、前回からさほど日を空けずに再び集うこととなったカレー部。自分も自分の周囲も、そして仕事や散歩で訪れる街々も震災のショックが抜けきらないせいか、どこか沈みつつもピリピリとしたものを感じていただけにこの招集は願ったり。そう、こういったときはカレーを喰いながら気の置けないダチ公とダベるに限る。そして違う視点での体験を取り入れると共に、今一度何が起きたのかを客観的に見つめ直すのだ。そこから前向きな気持ちを生み出していきたいと思う。

そんな訳でやってきたのはカレー部では比較的お馴染みな西荻窪。

西荻窪と言えば印パにまたがるパンジャーブ地方のカレーを喰わせてくれるラヒ パンジャービー・キッチンがまず筆頭に思い浮かぶ。また、隣の荻窪は、カレー部誕生のきっかけとも言える集いを行った欧風カレーの名店『トマト』があり、カレー部会第5回目で訪店したフェリスフー(残念ながらマスターの他界により閉店)がある。そんなカレーの名店が豊富に点在する地域ゆえ、カレー部会も必然的にこの界隈で催すことが多い。

今回訪店したのは、西荻窪南通り商店街の外れにある『カフェ・オーケストラ』。
店名が示すとおり、その佇まいは紛う事なきカフェである。事実グアテマラやキリマンジャロをはじめとする豆から挽くコーヒーやアップルパイを出す。一方で酒や肴となる西欧料理も供する。しかしながらもっとも人々を惹き付けているのは何を隠そう我がカレーなのである。

カレーは「チキンカレー」「サグチキンカレー」「キーマ・マタル」(挽肉とグリーンピースのカレー)「チャナマサラ」(チャナ豆のカレー)の4種。さらに一品料理のメニューには「ポークビンダール」まである。カレー好きとしては思わずニヤリ。ということで、ビールのあてにと、その「ポークビンダール」と、もう一つこのお店のおすすめである「羊飼いのサラダ」をオーダー。一息吐いて仲間たちと近況を報告し合う。

この「ポークビンダール」だが、20世紀までポルトガル領だったことで食の禁忌が少ないインド・ゴア地方の伝統料理で、スパイスと共にポークをビネガーとガーリックで煮込んだ酸味の効いたカレーである。ポークではないが、頻繁に利用する『DIP・PALACE』にはマトンビンダールがあり、初訪店の時にチョイスした覚えがある。きりりとした酸味と強烈な辛さでやたらと汗をかきまくったことを思い出す。一方、こちらのポークビンダールだが、かなり大ぶりな豚のブロック肉がトロトロに煮込まれており、肉好きにはたまらない。そしてポークのコッテリとした後味をビンダーロの酸味が爽快に洗い流し、次なる一口へと誘うリセット効果をもたらせてくれる。なかなかに絶妙。これは少し残しておいて後でライスにかけて食べることにしよう。

カレーはサグチキンおよびキーママタルに激しく惹かれるも、初訪店ということでもっともベーシックそうなチキンカレーをオーダー。もちろん付け合わせるはライスだ。と、いうかここはライスで食べるのが基本らしい。まったくもってわたくし向きのお店なのである。

待つことしばしでカレー到着。
おお、ライスはちゃんとサフランで炊き込んである。そのライスの上にはパパドが載せられている。カレーからは鼻腔をくすぐる香しきスパイスの匂い。これは我慢できねえ。さっそくいただきます、とスプーンを振りかぶるも手が興奮で震えていたのだろう、それをパパドの上に落下させてしまった。だから写真のようにパパドは無惨に砕けてしまっている。まぁ、どっちみちパパドは細かく砕いてライスにまぶすので無問題。いただきます。

カレーだが、一言で言うと「すんごく美味い」。
少し酸味が効いていて、スパイスの爽快感がスッと抜けていくキレのいいチキンカレーである。回りくどい部分のないストレートに美味さを感じる実直さがあり、口に入れた瞬間、「美味い」という言葉が自然と口を吐く。間違いなく、ここ最近食べたチキンカレーの中ではNo.1の味。予想を遙かに超えた美味いカレーだった。

食後はコーヒーで一服。もちろん頼むはグアテマラだ。
あらためて店内の雰囲気に意識を集中させてみれば、なんと落ち着く空間なのだろうかと感心してしまう。雰囲気のいい店員さんとウッドを基調としたインテリアが醸し出す温かさ。流れる時間はどこまでもゆっくりとしている。下界のピリピリとした空気はここには流れ込まない。そんなことを考えつつコーヒーを啜る。


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