いまさら韓ドラ!

韓国ドラマの感想をネタバレしながら書いています。旧作メイン

私のオオカミ少年

2015年05月21日 | 韓国映画
映画のDVDを借りると、新作映画や新作DVDの宣伝が冒頭にありますね。
うっとおしいので飛ばしたいのですが、
早送りもできない仕様になっていたりして。
映画館いったらこういうの観るしかないしな……とあきらめて観ていたら、
ドキッとする映画が紹介されていました。

私のオオカミ少年

ということで、借りてきましたよ~。

主演はソン・ジュンギ。
もう、予告編で射抜かれた~。
彼のピュアピュアな表情が見たくてこの映画選んだんだよ。

そして彼を守り、愛するようになる少女にパク・ボヨン。
なんなのこの子は!
超絶かわいいでないですか!


〈あらすじ〉

肺を患っている長女スニのため、田舎に越してきた一家。
校正の仕事で生計を立てるお母さんと、小学生の妹の三人暮らし。
ご近所さんはたった一軒という寒村で、新しい生活が始まる。

親切なご近所さんに助けられながらも、
自分の体に絶望していて毎晩泣き暮らしているスニは、
ある日納屋で不思議な少年を見つける。

薄汚れていて臭くって、言葉も話せない、
まるでオオカミみたいな男の子。
でもその瞳は、雪の日の朝のように澄んでいて……。

チョルスと名付けられた少年を飼い慣らそうとするスニ。
一緒に暮らすうち、スニの心も体もだんだん元気になっていく。

ところが、スニに横恋慕する横暴な金持ち息子がその関係に嫉妬して、
チョルスはどんどん追い詰められていく。
まるで人間の手によって絶滅させられた、野生のオオカミのように。



ああもう!

なんてリリカルな映画なんでしょうか。
ゲスイ大人の汚れた魂を浄化してくれる美しい映画です!

とにかくチョルスの純真さ、子犬のようにうるんだ瞳、
スニになつくしぐさ、
どれをとっても胸がきゅーっとなるかわいさ。

そして対するスニの、少女らしい苛立ち、素直さ、
ちょっとした意地悪と弱さ、
どれをとってもたまらなく初々しいですね。

少年と少女の恋。
いや、恋っていうか、求めあう青い魂っていうか。
なんか青い魂とかいったら人魂チックでイヤなんだけど、
なんかすごく、透明な感じの「好きだ!」って気持ちがほんとにキレイ。

主役ふたりの清らかさを愛でる映画どす。
だってお話はそんな複雑じゃないんだもん。

何がすごいって、
チョルスの存在の説得力。
どう考えてもファンタジーな設定なのですが、
一切の詮索やあら捜しを許さない、圧倒的な存在感。

誰から生まれたの?どんな生い立ちだったの?どうやって生きてきたの?
こんなことありえるの?
そんな質問はナンセンス。
だって、現実、いまここに、チョルスが存在するのは間違いないんだから。
と言い切ってしまいたくなるほど、チョルスが魅力的。

いろいろ言いたいことはあるのだが、
とにかく若者のうつくしい恋の物語を楽しめばそれでいいじゃん!
ファンタジーだし!

ほぼ全編ふたりの切なさを堪能できたからこれでいいよ!
ラストがどーでも、過程を愛さないとな!

ちょっとだけ残念だった話も最後に書きますので、
号泣したわ!って人はこのへんで帰ってもらった方がいいです。たぶん。


では、この後はネタバレ感想ですので、視聴後にどうぞ。






いや、スニちゃんかわいかったね~。
そしてチョルスもかわいいね~。
彼を受け入れてくれるお母さんもいい人だったね~。
ヤギ飼いのおじさん一家もいい人たちだったなぁ。
子どもたちもチョルスになついてねぇ。
お巡りさんたちも、なんだかんだスニ一家の味方だったし、
軍のおじさんだってゆで栗食べながら呑気にしててさ。
チョルスのことを調べに来た教授だって、いい人だった。ほんとに。

大家のバカ息子だけが悪いよ!

この人さえいなかったらね~。
幸せな日々が続いてたわけなんだけどもね。

悪人のお手本というべき悪人でした。
観客がこれほど憎める悪役がいるってのはいいよ。
わかりやすい。

わかりやすい。

そう、この映画の長所でもあり短所でもあるのが、
この「わかりやすさ」だと思うんだよな~。

だがしかし、わたしは「長所」であると言い切りますよ。
なんとなく先が読めてしまう展開は、物足りないかもしれないが、
それだからこそ、純粋にふたりのシーンに没頭できるのだ!

別に小難しいこと考えたくて映画観てるんじゃねーや!
切なさ100%で何が悪い!

それに、チョルスがただのオオカミ少年じゃなかったとわかったときは
けっこうびっくりだったもんね。
これは読めない展開だったぜ。

頭を撫でてほしくて、そっと差し出すチョルス。
スニの歌とギターにぼうっとなってしまうチョルス。
みんなと夢中で遊んでしまうチョルス。
さみしそうにドアをかりかりするチョルス。
「待て!」と言われたら、ずっとおとなしく待つチョルス。
主人の愛を疑わない、犬のように忠実なチョルス。

観客はスニと同様に、チョルスがかわいくてかわいくて仕方なくなるんだよね~。

終盤まで一切のセリフがないソン・ジュンギもお見事。

だからこそ、「カジマ(行くな)」の台詞が残念だったさ~。
やっぱここはスニの名前を呼んでほしかったな。

ずっとしゃべれなかったチョルスが最初に覚えるのは、
やはり、自分を愛してくれた少女の名なんじゃないのか。
主従関係じゃなくてさ、対等に彼女の名前を呼ぶって、なんかいいじゃないの。

あと、もうひとつ残念だったのが、この後の展開。

おばあちゃんになったスニが昔の家に行って納屋を見に行くと、
変わらぬ姿のチョルスが目の前に!
しかも流暢にしゃべっとる!
きっと戻ってくるから待っていて、と書いた手紙を持ってチョルスは待っていた。
ごめんね、もう待たなくていいよ、と泣くスニ。
約束だった絵本を読んでもらい、眠りにつくおばあちゃん。
朝起きると、チョルスの姿はない。
おばあちゃんは、この家を絶対人には売らない決心をした。
車で帰っていくおばあちゃんを見送るチョルス。
ひとりでゆきだるまを作るチョルス。


これは……どうなんすか?
正直、チョルスがどんな姿で登場するのかドキドキでした。
スニみたいにおじいちゃんになってるのかな、って。
それとも会えないままなのかな、って。

ところがどっこい、チョルスは昔のまま。

あれ?これって夢?
起きたらチョルスはいないんだけど、
夢って訳じゃないみたいで……。
リアル?

おいおい、いくらなんでも、

これじゃばあちゃんに都合がよすぎっぺ!

そんなに簡単に「待っててくれたんだ、ほんとにごめんね、でもうれしい」でいいわけ?
あんた、チョルスを置いてったんだべさ!
そいで二度とさがしにいかなかったんじゃねぇの。
それなのにこんなふうに待っててもらって、再会できて、
今でも変わらず美しいとか言われて、喜んで、そんでいいのけ?

チョルスに対しても、
「いくらなんでもどうやってこれまで生きてきたんだ?」と思っちゃった。
一切の詮索やあら捜しを許さない存在感だったはずなのに……。
なんか急に魔法が解けちゃったがっかり感があるんだよねー。
いっぱいしゃべっちゃうからなのかな……。

映画冒頭と、最後のスニばあちゃんのシーンは、「現実」だと思うんですよ。
孫娘も居る現実(スマホを使う現代)から、
夢のようだった過去を振り返るかたちの物語なわけですから、
この頭としっぽの「現実」には、ファンタジー要素は入れちゃいけないと思うの。
あくまでもここがしっかり「現実」だからこそ、
チョルスとの過去が夢のように輝くわけでね。

中途半端なファンタジーは邪魔だと思うんだよなー。

チョルスとの再会は、あくまでばあちゃんの願望で、
寝て起きたらそこはほこりだらけの汚い納屋で、
あの置手紙はそのままそこに置かれていました、ってラストじゃないと。
そいでばあちゃんが泣かないと。
だけど孫娘との帰り道、どこかで遠吠えをするオオカミの声をきく。
そこで初めておばあちゃんは、顔を上げて、家を売らないと言うべきじゃないのかな。

もちろんそんなラストはベタ中のベタだと思うよ。
だけど、キラキラしたふたりの日々を無心に味わうためには、
そのへんベタで納めてもらった方が気持ちよく終われたかな、って感想。

もっと言えば、山の中でチョルスを追い払うシーン。
あそこでスニに「待て」と言わせるべきだった。
ものすごい重要な単語だったじゃん、この映画の中で。
ここで言わせるべきだよ、スニに。

たいした理由もなく、チョルスを放置したまま戻らず、しあわせに年をとったスニ。
最後の命令も間接的な「手紙」にして、ぼんやり置いてきたスニ。
問題の悪人は死んじゃったし、博士も好意的だし、
軍部も隠蔽に賛成だし、帰ってこれない理由なんてひとつもないはずなんだけどな~。

なんですか、監督。
スニには汚れ仕事させたくなかったんですか?
痛みを背負わせたくなかった?
でもそのおかげで、最後の最後でひでぇ女になっちゃってません?

もうチョルスの将来がすごく心配だもん。
スニばあちゃんが死んじゃったら、どうなるんだろう?って。
ばあちゃんは孫娘に話すのかな?
チョルスは不死身なのかな?
誰か助けてくれた人がいるのかな?
ばあちゃんは、晩年をチョルスと過ごすために越してくるのかな?

このモヤモヤは、余韻とは違う気がするんだよな。

本来残らなくていいはずのモヤモヤが残った分、残念な気持ち。
でもラストまではすっごくすてきだったからいいかな……。
自分までウキウキと恋をしているみたいだったから。

驚くべきことに、この人たち完全プラトニックですから。
抱きかかえられたり、
ドア一枚ごしに寄り添って寝たり、頭なでたりはありますけど、
意図的に手をつなぐことすら一切ありません。
もうかわいらしいったら。

ドロドロやグログロに疲れた心におすすめしときます。

いや、台詞がいっさい無い間のソン・ジュンギがいいから。
ものすごくいいから、そこおすすめです。


最初のチョルスが一番好きだなぁ。


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