いまさら韓ドラ!

韓国ドラマの感想をネタバレしながら書いています。旧作メイン

ゆれながら咲く花 10

2016年05月12日 | ゆれながら咲く花
《あらすじ》

ジョンホは去り、インジェはいいようのない無力感を感じていた。
落ち込む彼女を心配してセチャンは声をかけたが、
インジェは存外、サバサバとしていた。
起こってしまったことは仕方がない。ジョンホには強気な態度も必要だったろう。
ただ、少し高圧的すぎたかも……。

一方、倉庫に閉じ込められたふたりは、逃げ場のない密室で向き合うことになった。
ナムスンは、三年前の過ちを謝罪する。
「軽く痛めつけて終わるつもりだった。
脚を使えなくする気なんてなかったんだ、俺が悪かった」
「謝るなと言ったろ!いまさら何が変わる?」
「そうさ、なにも変わらない。変えられないから、謝るんだ。
俺が、俺が、本当に悪かった。お前に申し訳なくて……」
フンスはそれ以上ききたくなくて、ナムスンを殴りつけた。

「もっと殴れよ。会ったその日にこうするべきだったんだ」
「いや、三年前だ。あの時に謝らせて殴るべきだった」
「じゃあやれ、三年前だと思ってな。
出来ないのか?心の中では何度も俺を殺したくせに!」
「ああ、そうさ、そうしたさ。だから何だ?答えろよ!」
フンスはナムスンを激しく突き飛ばした。
積み上げた椅子や机がなだれ落ちてきて、ナムスンは意識を失って倒れた。
動転したフンスは、必死で外部に助けを求める。
「誰か!誰か来てくれ!ナムスンが!」

しかし、ナムスンはすぐに意識を取り戻した。
「……うるさいなぁ。俺は不死身だよ」
起き上がってきたナムスンを見て、フンスはぼんやりと「けがは?」とたずねる。
「したよ」手に擦過傷ができていた。
「ざまあみろ」言葉とは裏腹に、フンスはほっとしたようにすわりこんだ。

「怖かった」
「不死身なんだろ」
「お前が上京して進学するのがこわかった」
「結局行けなかった。お前こそ逃げた」
「もう会わない、そう言われるのが怖かった。
お前だけだったから。見捨てられたら行き場がなかった。どこにも」

フンスの母さんが入院している病院へ、ナムスンはよく通った。
つきそい家族用の部屋へ行って、フンスと一緒に眠るのだ。
「なんでいつも俺のとこにくるんだよ」
「気楽だから」
「なんで」
「お世辞で言っただけだ」
「嘘つけ。ひとりで寝るのがイヤなんだろ?」
図星をつかれたナムスンは狸寝入りでごまかす。
しあわせな時だった。

テストに戻ってこなかったふたりはどこへ行ったのか?
オム先生は、置いて行かれた携帯を見て、必ず校内にいると予測した。
そして倉庫の換気扇から流れ出る煙を見つける。

ガチャガチャと音がして倉庫の扉が開かれた。
フンスは慌ててタバコを踏み消したが……。
顔をのぞかせたのは、セチャン。
ナムスンの手の傷や乱れた椅子を見る。
「タバコにケンカか……」
と、そこへオム先生がやってくる。
「タバコを吸ったのは誰だ。前へ出ろ」
観念したフンスが前へ出ようとすると、セチャンが割って入った。
「や、昔を懐かしんで僕が吸いました」
オム先生は、何かを察したようだったが、見逃してくれた。
先生が行ってしまうと、セチャンはニヤッと笑った。
「これでお前たちは、俺に頭が上がらないな?」

学校を出て行ったジョンホはどこへいったのか?
彼は、ビリヤード場にいた。
迎えにいったジフンは、どうにかしてジョンホをまともにしたいと思っている。
彼の友人として。
しかしジョンホの態度はかたくなで、自分のことを手下だといいバカにする始末。
ジフンはがっかりして行ってしまった。
ジョンホは、バイク盗難の犯人を教えると不良の先輩たちに伝えて、
新たな火種を起こそうとしていた。

校長は、今回のリスニングテスト不備の責任はインジェにあると言わせた。
そしてジョンホについてはヘタに働きかけをしないよう、言い含めた。
このまま退学にしてしまえばいいと思っているのだ。
セチャンも、基本的には本人が改心して自ら戻らなければ、
また同じことの繰り返しになるだろうと考えている。
「でも、先生だったら教室に帰ってこられますか?
学校へ戻りたいと思っても、気まずくて教室へ入れないのでは?
大人でも難しいことを子どもにやれというのは理不尽だと思います」
生徒に寄り添うインジェの視点には、いつもハッとさせられる。

2組の生徒たちの自己採点結果は、非常に悪かった。
子ども達はあせり、急に勉強に意欲を示し始めた。
とはいえ、こんな状態は長くは続かないのが常だ。
しかし、生徒が不安になっているこの時期に、
校長はインジェの授業評価アンケートを取るという。
彼女に責任を負わせて辞めさせようという魂胆が見え見えだ。
セチャンは、インジェのかわりに怒った。

「いいんです。わたし、授業評価を受けます」
セチャンは信じられない。スケープゴートにされるだけではないか。
どうせ子ども達だって、ひと月もたてば大半が受験競争から脱落していくのだ。
「あの子たちがどう思っているか知りたいんです。
受験を前に不安になっている子に、わたしの主張を押しつけられないし」
セチャンは思わず声を荒げた。
「生徒たちをだしにして、グループ学習をやめたいんじゃないですか?
自分の授業に自信がないんですか?!」
インジェの答えは思いもよらないものだった。
「自信なんてありません。先生はあるんですか?
授業を受ける意味すらわかっていない子に教える自信なんてない。
国立大希望の子から就職組まで一緒に教えるんですよ。自信がないほうが普通ですよ」
インジェは少し寂しそうに笑った。

案の定、評価はさんざんだった。
セチャンは、インジェの授業内容を評価しているし、
教師としての力も申し分ないと慰めてくれた。
評価を下した生徒たちも内心は申し訳なく思っている。
「わかってるわ。入試が近づいたみたいで、不安なんでしょう?
先生も、入試に役立つような授業のやり方を模索してみるから」
文学Ⅱのグループ学習は終わりを告げた。

フンスとナムスンは、セチャンに弱みを握られているのでおとなしい。
「夜間自習に行くか?」
「もうやめろ」
声をかけ続けるナムスンに、フンスは冷たかった。
「どんなにしたって、俺たちの仲はもとにはもどらない。
俺も、お前も、忘れられやしない。
過去は変えられないし、なかったことにもできないんだ」
「そうだな」
ナムスンはそうつぶやくことしかできなかった。

ところが、事態は一変する。
校門に、ジョンホの先輩たちがたむろしているのをナムスンがめざとく見つけたのだ。
帰ろうとしているフンスに電話をかけ、オム先生が呼んでいると嘘をつく。
ナムスンはひとり、やつらの中に出て行った。
「ここは人目につく。場所を移そうぜ」

イヤな予感がしてフンスが校門へ戻ると、
ナムスンは奴らの車に乗せられて、どこかへ連れて行かれてしまった。
慌てて追ったが、人の脚では追いつくわけがない。
「バカな奴め……」

ナムスンが連れて行かれたのは、奴らのたまり場であるビリヤード場だった。
学校をさぼって入り浸っているジョンホもいて、
彼をなんとか連れ戻そうと思っているジフンもいた。
ナムスンは、奴らに囲まれると床に膝をつき、言った。
「俺が殴られるから、もう終わりにしよう」
男たちはせせら笑ってナムスンを蹴り、殴り始めた。
暴行のひどさに、ジフンは黙っていられなくなり、バイク盗難は自分たちだと告白。
「ほう、そうか。案外度胸があるじゃねえか。見直したよ。
お前ら、二度とここに来るんじゃねぇぞ」
男たちはそれなりに気が済んだようで、ジョンホたちには縁切りを言い渡し、
ぼろぼろになったナムスンを廊下へ放り出した。

そこへ駆けつけたのは、フンス。
倒れ込むナムスンを抱き留める。
「バレたか……」とつぶやくナムスンを思わず支えた。

「やめるんじゃなかったのか?」
「無理みたいだ」
ナムスンは、フンスに償うことをやめられない。
やれることは全部やる。
何をしても償えないから、償うふりをする。
親友の未来を台無しにした自分が!
「じゃあなぜ、俺の前から去った?」
フンスの目は涙で潤んでいる。
「去るべきじゃなかった!お前しかいなかった。
サッカーを失った時、そばにいて欲しかった。
お前は俺に、会いたくなかったのか?!」
フンスの目から涙がこぼれて、ナムスンもまた泣いていた。

夜間補習中、インジェはそっと教室に入り、みなの様子を見守っていた。
眠気と闘う者、すっかり眠ってしまう者、みんな居残ってがんばっている。
「ねえみんな、つらい?グループ学習の締めくくりができなかったから、
今やってもいいかしら?」
生徒たちは、力なく返事をした。
インジェは、咳払いをひとつして、詩を暗唱する。

ゆれずに咲く花がどこにあろうか
この世のどの美しい花も
ゆれながら咲くのだから
ゆれながら茎をまっすぐ伸ばすのだから

ゆれない愛がどこにあろうか

濡れずに咲く花がどこにあろうか
この世のどのまばゆい花も
濡れに濡れて咲くのだから
雨風にさらされながら
花びらをあたたかく広げるのだから

ぬれずに歩む人生がどこにあろうか


インジェが職員室に戻ると、
セチャンとオム先生が深刻な顔で話している。
「どうしたんですか?」
学校運営指針の中で、ケンカをした生徒が同級の場合、
どちらかが転校しなければならない決まりになっているという。
フンスとナムスン、どちらかが転校をしなくてはならないのだ。

(つづく)


みなさんのご想像どおりですが……

ええ、泣きましたよ!泣きましたとも!

泣くでしょう!ここは!
涙は出ずとも、あなたの心は泣いているはずよ!

フンスとナムスンがねぇ~。
特にフンスがねぇ~。

なんで俺が一番つらい時にそばにいてくれなかったんだyo!バカバカ!

といった具合にデレまして。

これまで徹底してクールだったフンスが、目の縁を赤くして、
涙をすーっと流すと、ナムスンも我慢できなくて涙が……。

この、泣くまいとして我慢してて目の縁が赤くなるっていうのが
なんとも言えず良い感じなんですな。
思春期男子という性質がよく演技にあらわれていますね。

リアルでもこのふたりは仲良し、という無駄情報が
余計に感動をあおったりして。

ホントによかったわぁぁぁぁぁ!

これですっかり仲直りとはいかなくても、
フンスも本心を言えたし、ナムスンも光が見えましたよね。
鉄は熱いうちに打たなあかんかったのよ。
問題の起こったあの時に、相手を責め、責められ、殴られ、罵倒され、
それでも涙を流してお前が必要だ、と確認しあわなければならなかったのよね。

ふたりが向き合ってぽたぽたと涙をこぼすシーンが美しすぎて……。

いや、ジョンホとジフンがどうとか言うつもりはござんせんが……。

このふたりも、今です!
今が大事なんだよ~。うまいこと不良の方から縁切りしてくれたんだから。
ジョンホ、見捨てられる前に気づけ!
ジフンは本当に良いことをしてくれたんだよ?
自分の居場所は、誰かが与えてくれたりしない。
みんな自分でもがいてもがいて手にいれるものなんだよ?

最後のインジェ先生の暗唱、よかったよねぇ。
ここではじめて出てきましたね、
「ゆれながら咲く花」

これは2組の落ちこぼれクンでもわかるはず。
あなたたちを花にたとえた詩なんですよ?
あなたたちは、迷いながら、濡れながら、花を咲かせる。
誰もがそうなのよ。
いつも正解ばかり出来るわけない。
間違ってもいい、挫折しても大丈夫。
必ずその先に、あなたらしい花が咲くのだから。

個人的なはなしで恐縮ですが、
わたし高校生の時の修学旅行が韓国でして。
せっかくなんで書店で詩の本を買ったんですよね。
文字が少なければ後から読めるかも、と思って。
そしたら観光バスの運転手さんがひとつ、詩編を読んでくれて。

もちろん当時意味はわかりませんでしたけど、
とても嬉しくて、その詩をうつくしいと感じたんですよねー。
その体験込みの感動だったとは思うんですけど。

だからこのドラマで、インジェ先生が詩を読む、というのは
すごく好きなんです。
訳もいいですし、日本版のタイトルにしたのはセンスいいなぁと思います。

あらすじには書きませんでしたけど、
ハギョンとガンジュがちょっとしたケンカをしますね。
テストの結果が良くなかったので、内申点をあげて推薦入試も視野に入れたハギョン。
セチャンに相談すると、文系の賞を取れ、と言われるんですね。
でも、その文系の賞が狙える、論述大会にはガンジュが推されちゃった。
ハギョンはガンジュにおめでとうと言えない。
自分にこそ必要だし、有用な資格だ、と言っちゃうんです。
悔しい気持ちが大きいんですね。
自分よりできない、と思っていたガンジュなのに。

すごいなぁ、これが普通なの?とびっくりしますが、
ふたりは本音でケンカをします。
大親友のはずなのに。
ガンジュも譲ってあげようか、とは思わないし、悪いなぁとも思わない。
このへんは国民性なのか、思春期のまっすぐさなのか。
確かに高校生の頃は、今ほど人の気持ちを推し量ることはできなかったし、
自分をむき出しにしていたような気がします。

ちょっとうらやましいなぁ。

優等生のミンギも同じく学校代表に選ばれちゃって困惑。
だって今までの宿題は全部他の人が書いていたんだもん。
たぶん、引きこもりのお兄ちゃんなんじゃ?って気もしますが。
この問題はなんとか解決というか、ミンギを解放する方向にいってほしい。

フンスとナムスンという、大きなトピックが解決に向かいそうなので、
そのほかに細々した問題がまた起こるのでしょうが、
ドラマとしての求心力はどうなんだ、という話。
後半戦に突入していきますが、まだまだ山場が欲しいところでしょ。
ま、日本版は各話にミニタイトルがついているので、
なんとなくそれを見ると先の展開について予測ができるわけですが……。
こういう地味なネタバレ、いらないんだけどなぁ。


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
美しい詩ですね… (しーま)
2016-06-16 21:10:08
思わずコピペしてしまいました。
美しい詩ですね。

ビスコさんの文章だけで、堪能しまくってます。

個人的には、女子校だったので、
そんな甘酸っぱい青春を経験してないので、うっとりですよ。
女子校は女子校で楽しかったのですが、
こんな風に、ドラマで見ると
美しいなぁ、心に沁みるなぁ、
と羨ましく思います。

(ハッ!ドラマ見てなかった!www)
返信する
いい詩なんですよ…… (ビスコ)
2016-06-19 18:53:26
ね、いいでしょう、この詩。
日本の中学高校でも、もっと詩の授業をやってほしいなぁ。
日本にも優れた詩人はたくさんいますからね。
スマホ世代はラインやツイッターで、
言葉を厳選した短い文章を使うのになれていますから、
詩は読みやすいと思うんですよねー。

しーまさんドラマ観てないのに私のブログだけでほんとに
いいんですかい?
そのうち観る機会があるといいですねぇ。
返信する

コメントを投稿