春

　　　　　　　わたしは

　　　　　　　ポン！って

　　　　　　　どこからともなく

　　　　　　　生まれてきたわけじゃないわ

　　　　　　　足もとには

　　　　　　　たくさんの命があったことを

　　　　　　　わたしは知っているもの

　　　　　　　枯れていたって

　　　　　　　見えなくたって

　　　　　　　わたしにはわかるんだもの

　　　　　　　そして

　　　　　　　わたしが

　　　　　　　葉っぱをピカピカにして

　　　　　　　げんきに大きくなっていくことで

　　　　　　　その命たちが

　　　　　　　よろこんでくれてると思うのよ

　　　　　　　

　　　　　　　

一瞬のために

　　　　　　　この花のひとつが今ここに咲くまでに

　　　　　　　どれだけの花を咲かせてきたのだろう

　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　私が今この花のひとつを見るまでに

　　　　　　　どれくらいの時間が過ぎてきたのだろう

　　　　　　　
　　　　　　　過ぎてきた時と

　　　　　　　花をつけるため必要なものが

　　　　　　　なにひとつ欠けることなく

　　　　　　　ここに咲き

　　　　　　　私がこの花を見

　　　　　　　感じる思いこそ　　　　　　

　　　　　　　この花のすべてだと


　　　　　　　この一瞬が

　　　　　　　私に与えられた事に

　　　　　　　ひとつのちいさな花を

　　　　　　　心の底から

　　　　　　　愛おしく思う