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チョウ・トンボ・野鳥に親しむ

北陸地方の自然とチョウ、トンボ、野鳥の写真を投稿します。

若い命たちの活動―ホオジロ

2023-07-11 08:35:59 | 日記
この時季、身の回りでは多くの若い命の活動が見られる。

植物
 ツユクサ、リョウブ、ミズキなどの植物も生き生きとして、花も咲き梅雨も末期、真夏も間近である。

                ツユクサ

               リョウブ


                ミズキ
 
若い命の成長
 我が町の特産の一つはユズである。今実が膨らみ始めたばかりであり、これから成長していく。

              実をつけたユズ

 朝夕には巣立ったツバメガ電線で休みながら日々のトレーニングの成果について語らい合っているかのようである。

              巣立ったツバメ

 庭のバラでニイニイゼミが羽化したところを見つけた。

          バラの茎で羽化したニイニイゼミ

 全く気が付かなかったが、何年かバラの地下の茎近くに居たことになる。
 古墳近くではヒメウラナミジャノメに加えて、ウラナミアカシジミを見つけた。

            ヒメウラナミジャノメ

             ウラナミアカシジミ

 小さな公園の水辺では、ヒメクグも穂をつけている。

              ヒメクグの穂

 珍しいトンボはいないが、ショウジョウトンボ、オオシオカラトンボ、コシアキトンボ、シオカラトンボなどがパートナーを待っている。

             ショウジョウトンボ

             オオシオカラトンボ

         コシアキトンボとシオカラトンボ

命のピンチ
 昨日朝、車庫の物入ケースの近くで、何かうごめいているものを見つけた。幼いニホントカゲのようである。よく見ると尻尾の方にクモの糸が絡まり、糸の上には小さなクモがおり、時々、絡まったトカゲの尻尾に触れている。

          クモの巣に尾が捕らわれたトカゲ

 その度トカゲは暴れるが糸は外れない。自分の身体の10倍近くはあろうと思われるトカゲが糸にかかっているが糸は切れない。改めてクモの糸の強さに感心しながら、これも自然だと思いそのままにしておいた。夕方に見ると糸がさらに足にも巻き付き、トカゲは宙吊りになっていた。大ピンチである。

         小さなクモの糸で宙づりになったトカゲ

 可哀そうだけど、クモも一生懸命だろうと思いそのままにしておいた。寝る前に再確認してみると、トカゲもクモもいなくなり静かになっていた。双方にとり痛み分けであろう。何かほっとして床に就いた。

若さ溌溂
 草地や田には若いホオジロがいた。ホオジロは夏場でも元気に囀の練習をしている。青春を謳歌しているようである。




 元気に活動するホオジロ(写真では囀っている様子が見えないのが残念)

 水面ではアメンボが泳いでいた。アメンボは脚の脛薛、ふせつ、足先が特に脂分を帯びており、又剛毛が生えている。この脂分と剛毛の間の空気が水の表面張力により濡れず軽い体を浮かせ、足をオールのように使って前に進む。写真でこの様子がよくわかる。泳ぎを見ていると何やら涼しげに感じられた。


               アメンボ

 森では活発に動くクロツグミの若がちらっと見えた。

          忙しく活動するクロツグミの若

 サンコウチョウやキビタキの鳴き声も聞こえた。もうすぐ梅雨が明けるであろう。夏鳥の若い命達はそれぞれに活動、成長し、暑い夏が過ぎると元気に南に帰っていくであろう。

曲子原の自然―サシバ

2023-07-07 08:25:51 | 日記
 NHKの朝ドラ“らんまん”が好評だと聞く。私も牧野富太郎博士生誕地の隣町で生まれた土佐人として我が意を得たり、と思っている。主人公のように子供の時からの夢だけを追求することができず、夢とは違った道に進みそれなりにキャリアを積んだと自負する自分であるが、退職後の今、ドラマに表現される槙野万太郎の生きざまを体現してみたい、とまねごとをしている昨今である。
 今朝は梅雨時には珍しく涼しく気持ちがよかった。道端には真偽のほどは確かではないが牧野博士が名付けたと言われるワルナスビが花をつけ、民家の庭先では柿や栗の実が大きくなり、イチジクが熟れ特有の香りを発していた。

              ワルナスビ

             今朝の柿の実

             今朝のクリのいが

            今朝のイチジク

 土佐特産のヤマモモも色づいていて、久しぶりに故郷を感じた散歩であった。

            熟れて来たヤマモモ

 6月27日には当市、灯台笹のハッチョウトンボの生息状況について心配を報告した。その後調べていたら、石川県のハッチョウトンボに関して一つだけ参考になる情報が見つかった。

「丘陵湿地に生息するハッチョウトンボの場所利用と生息場所の保全について
上田哲行、木下栄一郎、石原一彦、保全生態学研究、9, 25, 2004」

 金沢市曲子原地区の休耕田でのハッチョウトンボの生息状況を2001年から足掛け2年間に渡って調査した報告書である。
 要点は、調査地では1986年以降は稲の栽培は行われず、谷頭の幅6m程の帯状湿地を除き5月上旬に1回トラクターを使った中心部の耕起が行われており、1992年にはハッチョウトンボの生息が確認された。当時の植生は、群落1:耕起などの撹乱を受ける湿地:コアゼカヤツリグサ、イボクサ、ホタルイ、コナギ、ミゾソバなど、1年生草本に加え多年生草本も生えている。群落2:撹乱を受けない湿地:コアゼカヤツリ、コナギ、ミゾソバなどに加え、チゴザサなどの多年生草本が主であるなどが特徴であった。

コアゼカヤツリグサ       イボクサ

    ホタルイ        コナギ

     ミゾソバ         チゴザサ

  2001年6月17日には、群落2を中心に成熟オス198個体、群落2の中央部よりから水がない場所(温度も高い)にかけて未成熟オス159個体、成熟メス250個体を確認した。ハッチョウトンボは打水産卵するので、低茎草本とその間の小さく浅い解放水面の点在が重要、保全のためには、このような湿地環境の維持が重要ということであった。

 現地の現況を確認したいと思い、この情報をもとに何の準備もせずに出向いてみた。思ったより深い山合で流石に少し心細くなったが、セキレイの若がいたり、車の前を飛んで道案内してくれたり、サシバがピックーイと鳴いて出迎えてくれ、サンコウチョウの特徴のある鳴き声も聞こえ元気が出た。

        (ハク、セグロ?セキレイ)の若
              樹上のサシバ



             上空を舞うサシバ

 目的地が見つからずうろうろしていると、偶然にも調査地の提供者に直接出会い、現在の様子を観察することを快諾していただいた。
 現在、周辺の水路は保たれているが、耕作が行われておりハッチョウトンボはいないようであったが、水路周辺の地形や水の湧き出し具合、深さ、草の生え具合などを確認することができた。

             調査地の現況

 谷合の湿地は一時水田に変えられていたが、減反政策により耕作放棄され再び湿地状態に戻り、ハッチョウトンボが住みついたが、耕作を始めるといなくなることが分かった。
 生息地の保全のためには1)低茎草本からなる湿地を維持する2)地下水により涵養されている貧栄養の湿地を維持する3)高茎草本を人力で取り除く4)有機物の堆積を防ぎ草本の成長を抑える。5)春季の耕起により1年生草本を中心とした湿地を維持する。などの点に留意する必要があるとの指摘に納得した。
 富山市“ねいの里”の環境も見てみた。木道が整備され湧き水もあるが、土砂や腐葉土が流入したりして環境が悪化し、今年は1匹の確認に留まっているそうである。

             ねいの里の現況

 ハッチョウトンボの生息地では何所も環境維持に苦労しているようである。
我が灯台笹での保護の際重要なヒントを得ることができた。


                                       灯台笹でのペア(2020年)

 ねいの里ではコオニヤンマやクロイトトンボを見ることができた。なお、コオニヤンマはオニヤンマの仲間ではなくサナエトンボの仲間である。

             コオニヤンマ

             クロイトトンボ

 ヒメコウホネ、アサザ、カガブタなど水草の花を見ることもできた。

               ヒメコウホネ

               アサザ

               カガブタ

 帰りに砺波の千光寺に寄ってみた。土佐ではなじみの真言宗の古刹だそうである。

                千光寺

 山道では思いもかけずイノシシを見ることができた。

              イノシシ、成獣

 ちょっと長くなったが、土佐人気分を満喫した散歩、探索紀行であった。今日は七夕である。ハッチョウトンボの環境が維持されるよう願っている。

能登の生き物たちーチュウシャクシギ

2023-07-04 09:34:12 | 日記
 7月になった。能登では珠洲市を中心に群発地震が続いている。石川県は自然災害多発地と思われるかもしれないが本来は自然豊かな土地である。ただ、自然災害は自然環境を変え生息する生き物にも影響を与える。石川県の生き物について能登、加賀2回に分けて報告したい。


             能登の観察地

 地図に黒い横線が見えるが、これは意図したものでなく、コピーする際にページの折り返し部分が写ったからである。大まかには加賀と能登を分ける領域であると思ってよい。
 能登には高い山がなく、溜池が水源として利用されることも多い。能登の先端は珠洲市である。正院地区には田んぼが広がり、溜池もあり、冬にはコハクチョウ、マガン、オオヒシクイなどの群れが訪れる。

             (オオ)ヒシクイ

 重要な休憩地である蛸島大池も地震対策のために水が抜かれ、訪れるこれらの数がめっきり少なくなり、自然環境の変化が鳥達の生活にも大きな影響を与えている。

              蛸島大池の水鳥達
           水が少なく休む鳥達も少ない

  餌場である正院地区での数も減って心配な状況である。地震が追い打ちをかけないことを望みたい。
 能登町の柳田五十里地区には少なくなったがクロコムラサキが生息する。

             クロコムラサキ

 近年河川の改修が進みヤナギの木の数が減りクロコムラサキも減っているようである。災害防止の改修は必要であるが、生き物の生息環境迄破壊しては取り返しがつかない。
 1日には七尾市で集中豪雨があり中島地区では熊木川、日用川が氾濫した。

             中島地区氾濫の記事

 七尾西湾にはいくつかの河川が流れ込み、潟もありオナガガモやヒドリガモ、マガモなどが多く渡来するだけでなく、スズガモ、ミコアイサ、クロツラヘラサギなどが見られる。

               ミコアイサ

            クロツラヘラサギ

 今は水鳥達もいないのでその影響が小さいことを願う。湾ではイルカの群れが見られることもある。
 能登半島の西側は岩場の海岸線であり多くのカモやシギ、チドリの仲間が渡来する。志賀町赤住の海岸では、シノリガモ、キョウジョシギ、キアシシギ、イソシギ、クロサギなどが見られる。


              シノリガモ

             キョウジョシギ

               クロサギ

 安部屋海岸には弁天島があり、シノリガモ、ウミアイサなどに加え多くのヒドリガモが見られる。ミヤコドリやアカエリヒレアシシギが見られることもある。

               ウミアイサ

              ミヤコドリ

           アカエリヒレアシシギ

 宝達丘陵から奥能登に向かって地溝帯になっている羽咋―七尾の間には邑知潟がありコハクチョウが多数渡来するだけでなく、コブハクチョウも見られ、干拓地にはマガン、オオヒシクイなどが渡来しチュウヒなども集まる。

            邑知潟のコハクチョウ

             コブハクチョウ

 マガン、オナガガモを中心に多くのカモも渡来するだけでなく、ナベヅルやマナヅルが渡来することもあり、近年その数が増えている。

                マナヅル

 また、オジロワシやチュウヒなどの猛禽類も見られることがある。

              オジロワシ

  コハクチョウの群の上を飛ぶチュウヒ【コハクチョウは気にしない】

 田を好むシギ類も立ち寄る。周辺では石川動物園で卵から育て上げたトキの放鳥も計画されている。

            石川動物園のトキ

 砂浜である千里浜より南にはオバシギ、チュウシャクシギなどのシギ類が立ち寄る。

               オバシギ

 この豊かな自然環境を大切にしたい。