紙魚子の小部屋 パート1

節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物のあれこれ、家族漫才を、ほぼ毎日書いています。

世界の文学で遊ぶ

2007-06-07 23:56:43 | 読書
 清水義範が華麗にあらゆる文体を駆使して、豪華なパスティーシュを編んだ。『世界文学全集』と『日本文学全集』である。『世界文学全集』に入っていた『マクベス』の話。

 シェイクスピアの『マクベス』に出て来る三人の魔女が、呪文を唱えながらお鍋をかき回しているシーンがある。その呪文は、関西方面で10数えるのを時間的にはしょりたいときに使う言葉なのである。いわゆる「だるまさんがころんだ」という一般的で上品でちょっとユーモラスな10文字ではない。

 清水版『マクベス』では、辛辣な笑いと下品な毒がこもった「ぼんさんがへをこいた」、この10文字が魔女の呪文だったのだ。私たちは子どもの頃、何の違和感もなく、この言葉を連呼しつつ遊んでいたものだ。魔女の呪文としては、秀逸かもしれない。

 また清水版『旧約聖書/ノアの箱船』の話は、古老が子どもたちに昔話を話して聞かせる、というシチュエーションをとり、雨が止まず、どんどん水嵩が増え、箱船に乗らなかった生き物たちが死に絶える、という場面では古老が子どもたちにクギを刺す。「魚のことは言うでない」。私はこれを読むまで、何の疑問もなく大洪水で生き物が死に絶える、というシチュエーションを受入れていたことに、初めて気付いた。

 流石に西原理恵子とさしでバトル!?を繰り返した猛者というか「つわもの」である。『はじめてわかる国語』とかね。なんといってもやっぱり半村良の弟子なのだ。ただものではない。