今日、日経新聞を読んでいたら、『老人ホームにコンビニ参上』というような意味の記事があった。普段「お買い物」に行けないお年寄りのために、出張コンビ二を試みにされたそうなのである。これはお年寄りの方々にとっては、さぞかしうれしいだろう。
単にお店までの「足」(車や自転車)がない(もしくはキケンで乗るのを自粛している)というシンプルな理由から、足がおぼつかなかったり、体力的にしんどいという理由まで、お年寄りがお店で買い物をすることは、実は難しい。
それだけではなく、レジで支払いのため財布をいつまでもごそごそし、おつりの確認に手間取り、レジのお姉さんを苛立たせ、後ろの列は徐々に長くなり、不穏な空気が流れたりすることがあるかもしれない。(私はよく見かける)
かくもお年寄りが買い物に行くのはバリアフルなのだけど、かといって注文式のデリバリーサービスがあればいい、というものでもない。やはりお買い物の基本は「自分で好きなモノを選んで自分で買う」という事だと思う。
私は常に時間に追われる身なのに、計画的に時間を使うのが自分でも呆れる程へただ。あまりに下手なので、時間管理術の本や雑誌を読んで研究したことがある。なるほどなるほどとは思えど「私には、できんなー」というのが結論だった。
無駄なく最短距離で動く、ということが、まずもってできない。本能的にできない。道草、寄り道、迷い道こそ我が人生といっていい。だから「計画的な夏休み」を過ごしたことは一度だってない。「計画的な一日」だって、おぼつかないかもしれない。
行きつけのスーパーですら、目的のもの以外の棚をつぶさに見てしまったり、目新しいものには眼を奪われて、しげしげと商品説明をしっかり読んでしまったりする。
必要なものを必要なだけ手に入れることができても、たぶん、あんまり「うれしい」とは思わないだろう。
あれかこれかさんざん迷った末に「えいっ!」と思い切って買ってしまうバクチ感覚は、シャンプーの新商品購入時に味わえる。ロマンチックな世界に浸り、自分の生活には一切縁のないものを、うっとりと眺める雑貨や家具やお洋服や文房具売り場の悦楽もある。この迷妄の世界こそが、ひとときの生活リアリズムから脱却する至福のひとときを味合わせてくれるのだ。迷いこそ悟り、という禅の心境に近い(ほんまか?)
で、品数こそ少ないとはいえ、コンビニ商品がデリバリーされた老人ホームのお年寄りに話は戻る。そのときその場所で、お買い物をされた方の言葉が載っていた。いはく「アンパンはどこだ?」。
とても心に響いた。久々の買い物のチャンスと、自分の欲望の対象が幸福な出会いをしたときの気持が、的確に表されている、と思う。
「アンパンはどこだ?」ー思わず伊坂幸太郎さんの『陽気なギャングは地球を回す』に登場した銀行強盗の快男児、響野さんのセリフを思い出した。「ロマンはどこだ?」
単にお店までの「足」(車や自転車)がない(もしくはキケンで乗るのを自粛している)というシンプルな理由から、足がおぼつかなかったり、体力的にしんどいという理由まで、お年寄りがお店で買い物をすることは、実は難しい。
それだけではなく、レジで支払いのため財布をいつまでもごそごそし、おつりの確認に手間取り、レジのお姉さんを苛立たせ、後ろの列は徐々に長くなり、不穏な空気が流れたりすることがあるかもしれない。(私はよく見かける)
かくもお年寄りが買い物に行くのはバリアフルなのだけど、かといって注文式のデリバリーサービスがあればいい、というものでもない。やはりお買い物の基本は「自分で好きなモノを選んで自分で買う」という事だと思う。
私は常に時間に追われる身なのに、計画的に時間を使うのが自分でも呆れる程へただ。あまりに下手なので、時間管理術の本や雑誌を読んで研究したことがある。なるほどなるほどとは思えど「私には、できんなー」というのが結論だった。
無駄なく最短距離で動く、ということが、まずもってできない。本能的にできない。道草、寄り道、迷い道こそ我が人生といっていい。だから「計画的な夏休み」を過ごしたことは一度だってない。「計画的な一日」だって、おぼつかないかもしれない。
行きつけのスーパーですら、目的のもの以外の棚をつぶさに見てしまったり、目新しいものには眼を奪われて、しげしげと商品説明をしっかり読んでしまったりする。
必要なものを必要なだけ手に入れることができても、たぶん、あんまり「うれしい」とは思わないだろう。
あれかこれかさんざん迷った末に「えいっ!」と思い切って買ってしまうバクチ感覚は、シャンプーの新商品購入時に味わえる。ロマンチックな世界に浸り、自分の生活には一切縁のないものを、うっとりと眺める雑貨や家具やお洋服や文房具売り場の悦楽もある。この迷妄の世界こそが、ひとときの生活リアリズムから脱却する至福のひとときを味合わせてくれるのだ。迷いこそ悟り、という禅の心境に近い(ほんまか?)
で、品数こそ少ないとはいえ、コンビニ商品がデリバリーされた老人ホームのお年寄りに話は戻る。そのときその場所で、お買い物をされた方の言葉が載っていた。いはく「アンパンはどこだ?」。
とても心に響いた。久々の買い物のチャンスと、自分の欲望の対象が幸福な出会いをしたときの気持が、的確に表されている、と思う。
「アンパンはどこだ?」ー思わず伊坂幸太郎さんの『陽気なギャングは地球を回す』に登場した銀行強盗の快男児、響野さんのセリフを思い出した。「ロマンはどこだ?」