私が調理を始めると
ぴたっと隣におさまる。
なにか“おこぼれ”はないかとの彼女なりの判断なのね
希望の目からは「ちょうだい」光線発射
下から間断なくつきささる。
「バニラちゃん、おにぎりだよ~ バニラちゃんのは無いよ」
太ったら困るもんね
「これはお父ンの・・・これはお母ンの・・・バニラのは無いよ」
右足にバニラの体重がほんの少し掛かる(合図してるんだ)
目を向ければ、
足元で居住まいをただし、姿勢をよくして、仰ぎ見ている姿がある。
真剣なお顔、りりしいわ~
これにタキシードに蝶ネクタイなんかしたら似合いそう
女の子だけど・・・
お釜の底が見えてきた頃
おしゃもじをカチカチ音させてご飯粒をまとめる頃
その音に異常な反応を示す
そろそろ自分の番だと期待しているようだ
では小さいおにぎりを作るとしましょうね
意思の弱いあたしです
バニラに見せびらかしながらむすぶよ~
バニラちゃん、随分お行儀がいいのね~ いい子だわ~
「言葉はいりません。おにぎり下さい。」
「褒め言葉は要りません、誠意を見せて下さい」って言ったかどうか・・・
ついに、おかかをまぶし・・・あげちゃった。