鮎川玲治の閑話休題。

趣味人と書いてオタクと読む鮎川が自分の好きな歴史や軍事やサブカルチャーなどに関してあれこれ下らない事を書き綴ります。

蒐集品を晒してみる・その⑥ 日本・愛国婦人会特別有功章

2012-01-23 21:37:44 | 蒐集品


という訳で、今回もまた愛国婦人会の徽章をご紹介。
今回は凄いですよー、何しろ「特別有功章」です。
愛国婦人会有功章規則に拠れば、この徽章は「会資一千円以上を寄贈し又は功労顕著なる者に対して」贈与されるとなっています。
この金額、現在の金額になおすと大体どのくらいの価値になるのか。
単純比較は難しいですが、日本銀行のサイトに載っている企業物価指数を参考にして計算してみると、この規則が制定された大正6年の価値で大体現在の70万2800円相当。また、規則が改正された昭和6年の価値ではおよそ89万3500円相当となります。
無理して出せば何とかならなくも無さそうですが、昭和6年の職業婦人の月収が30円前後(横浜市社会課『昭和六年社会事情調査』1932年)、昭和12~13年の官公吏(公務員)の平均実収入が90円程度(内閣統計局『家計調査報告』1939年)という数字を見る限り、実際の価値感覚はもっと違いそうな気も。なんにせよ、そう気楽にぽんぽんと出せる金額ではなかったようです。

徽章そのものに目を向けてみると、章本体の形状こそ以前紹介した三等有功章竝附加章と大差無いものの、全体が非常に鮮やかに彩られているのがわかります。白色の織地に紫の中央線が入った綬や、先端に金色の金具が付いた紫色の紐。章本体も白地に赤、緑、桜、藍などの七宝で彩られています。



裏面の様子。章本体の部分には「愛国婦人会特別有功章」と刻まれています。
三等有功章竝附加章などとは違い「特別」の文字が入れられていますね。
また、ピンが半襟型の部分とは別の部品に付けられていることも分かります。



箱も三等有功章竝附加章とは違い、勲章式の漆塗りに金文字となっています。大きさもかなりありまして、縦は三等有功章竝附加章のおよそ1.8倍程度の長さがあります。また、蓋の下部にはこれも勲章式の留め金が付いています。
ところで、左下に写っているのは一緒に落札した愛国婦人会特別会員章です。大きさの比較になるかと思って置いたんですが、考えてみれば一般の人にはこの会員章の大きさがどれだけか分からないという…(笑)
因みに今調べてみたところ、会員章の鏡型部分はおよそ一円玉程度の大きさでした。ご参考までに。