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2005-10-04 | 世の中のこと
靖国ねじれ判決 司法不信強める政府 官房長官「反論できぬ」
2005年10月 4日 SANKEI WEB
 大阪高裁が九月末、小泉純一郎首相の靖国神社参拝を違憲とした判決をきっかけに、政府が司法判断のあり方に不信感を強めている。主文で国側の勝訴としながらも、判例としての拘束力はもたない「傍論」で違憲判断を下したためだ。首相は判決結果に左右されず年内に靖国参拝する考えだが、こうした司法判断のあり方には政府内だけでなく、裁判所内からも批判の声が出ている。
 細田博之官房長官は三日の衆院予算委員会で、「憲法に抵触しているとは考えていない」と述べ、政府はこの判断に拘束されないとの認識を示した。形式上は国側の勝訴とした裁判のあり方については、「上告して争うことができない。(違憲判断は)主文でないので、残念ながら反論を言うことはできない」と強い不快感を表明した。
 首相は判決直後の九月三十日、違憲判断が今後の靖国参拝に及ぼす影響について「いや、ないですね」と否定している。これで首相が年内の参拝に慎重になるかというと、「まったくそんなふうにはならないと思う」(政府筋)との見方が大勢だ。
 問題の判決は先月三十日、大阪高裁の大谷正治裁判長が下した。原告側が求めた損害賠償請求を退ける一方で、判決主文と直接関係はない「傍論」で首相の靖国参拝を「公的行為」と認定。憲法二〇条が禁止する宗教的活動に当たるとした。
 前日には、千葉靖国訴訟について東京高裁の浜野惺裁判長が、「首相の参拝は私的で、違憲主張は前提を欠く。参拝は首相が自己の信条に基づき行った私的な宗教上の行為か個人の立場での儀礼行為」と認定したばかりで、司法の判断は正反対に大きく揺れた。
 このため、細田長官は予算委で、「戦後、歴代首相は都合五十七回参拝をしている。玉ぐし料は払っていないのだが、献花料を払っている人はかなりいる」と説明。そのうえで「二礼二拍手一礼というような宗教的な参拝ではなく、一礼を深々とされるなどの前例にならいながら、小泉首相は私的参拝をされた。東京高裁の判決が妥当だ」と強調した。
 国学院大の大原康男教授によると、同様に傍論で違憲判断を示すやり方は、過去にも岩手靖国訴訟の仙台高裁判決、中曽根康弘首相(当時)の公式参拝をめぐる訴訟や大阪即位礼・大嘗祭(だいじょうさい)訴訟に対する大阪高裁判決、福岡靖国訴訟の地裁判決などのケースがある。
 大原氏は、「勝訴した国側は正しい憲法判断を仰ぐために上告したくてもできない『ねじれ判決』だ。憲法判断の終審裁判所である最高裁の審理権を奪うことになり、三審制度をとる現行司法制度の根幹を揺るがす」と警鐘を鳴らす。
 このような「ねじれ判決」「蛇足判決」に関しては、現役の司法関係者からも疑問の声が上がっている。横浜地裁の井上薫判事は自著で「判決に蛇足を書くことは越権で違法だ」と主張し、福岡地裁などの手法を厳しく批判。司法に詳しい別の政府筋は「違憲判断は裁判官のつぶやきみたいなもので、極めて恣意(しい)的だ」と批判している。
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傍論じゃなくて暴論でしょ。



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