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2007-10-12 | 世の中のこと
au新料金に総務省が激怒
「1円端末」は自由競争の成果か? 欠陥か?
2007年10月10日 水曜日 町田 徹
 
 auブランドの携帯電話が好調で「我が世の春」を謳歌するKDDI。一方、「1円端末」といったいびつな価格を生み出した販売奨励金の是正を迫る総務省――。

 両者の戦いは、KDDIが10月4日、総務省に敬意を表し、新しい携帯電話機の販売方法「au買い方セレクト」を発表したことで、一件落着したかに見えた。しかし、実態は、全く逆だ。総務省はKDDIの対応に業を煮やしており、戦いは長期化の様相を呈している。

 この騒ぎの直接の発端は、総務省のモバイルビジネス研究会が9月に、10回の審議を経てまとめた報告にある。その報告は、携帯電話業界の長年のタブーをやり玉に挙げた。世界中を見ても、日本の携帯電話会社だけが多額を費やしている、とされてきた販売奨励金の問題に切り込んだのだ。


販売奨励金が日本メーカーを弱体化させた

 販売奨励金の仕組みは、こうだ。

 まず、KDDIやNTTドコモのような携帯電話会社が、シャープや松下電器産業といった電話機メーカーから電話機を買い上げる。そして、1台につき4万円程度の販売奨励金を付けて、量販店や携帯電話ショップに卸す。そして、数万円の電話機が、極端な場合、1円とか10円といった廉価で売られ、消費意欲を掻き立てるのである。

 総務省は、この販売奨励金が2つの大きな弊害を生んでいると追及した。

 第1は、携帯電話機メーカーの問題だ。メーカーは、携帯電話会社の要求通りに、決められたスペックの電話機を、求められた数だけ作ればよい。自らは市場競争リスクにさらされることなく電話機を高値で買い取ってもらい、しかも販売奨励金を付けて販売してもらう商法が生まれ、それに安住した。

 この商法への依存は、悲惨な結果をもたらした。日本の携帯電話機メーカーは、国際的な価格競争力を失い、海外市場で生き残れなくなったのだ。

 ある調査によると、2006年の携帯電話の世界シェアは、1位フィンランド・ノキア(世界シェア35.4%)、2位米モトローラ(同22.2%)、3位韓国サムスン(同12.0%)以下、4位英ソニー・エリクソン・モバイル・コミュニケーションズ(同7.6%)、5位韓国LG電子(同6.6%)、6位台湾ベンキュー・シーメンス(同3.8%)と続く。日本勢は、細々と日本市場で食っているだけで、シャープ、三洋電機、松下電器産業、NECなど10社を合わせても、シェアは7%に満たない。


年間2兆円の奨励金が基本料や通話料を高止まりに

 第2に、総務省は、消費者が十分な情報を与えられず、搾取される被害者になっていると主張する。というのは、販売奨励金のおかげで、一見廉価に見える電話機が、季節ごとにデザイン、機能、機種など装いを変えて続々と投入されるため、年に数回もの頻度で、不要不急の電話機を買い替えるユーザーが急増したからである。

 これまでユーザーに詳細が明かされることはなかったが、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルの3社は、少なく見積もって年間2兆円を上回る販売奨励金を投入している。この巨額の資金を回収するため、基本料や通話料といった月次料金には販売奨励金分が上乗せされており、この高い料金が消費者の財布を直撃しているというのだ。

 実際、日本の携帯電話の通話料は、ほかのケータイ先進国と比べて、かなり割高だ。総務省が今年8月に発表した「電気通信サービスに係る内外価格差調査」によると、1分間当たりの通話料は、東京が39.4円と、ニューヨーク(11.7円)の3.4倍、ソウル(19.2円)の2.1倍に達している。

 個人消費は、GDP(国内総生産)の6割を超す最大の経済セクターだが、その中で携帯電話料金が占める割合が大きく、他の消費が損なわれているとの指摘がなされて久しい。


一番反発したKDDIが、いち早く新料金を発表

 こうした中、総務省の報告は、携帯電話会社が販売奨励金の実態を開示せず、電話機の買い替えの頻度に関係なく一律の料金を課す商法は、「ユーザー間の負担の公平を欠く」と指摘した。つまり、めったに電話機を買い替えないユーザーは、高い通話料を支払わされることによって、頻繁に買い替える人の電話機代を肩代わりさせられているリスクがあるというのだ。
KDDIは報告の取りまとめ段階で、ドコモやソフトバンクと比べものにならないほど、総務省に強く反発した。ところが、いざ報告がまとまると、態度を一変させたかに見えた。冒頭で触れたように「au買い方セレクト」の導入を、いち早く公表したからである。

 この点について、小野寺正KDDI社長は、筆者にメールで「時代の流れに沿った、と考えていただいて結構です。いろいろ検討してきたことは事実ですが、発表のタイミングはドコモさんに先を越されないことを前提に考えました」と明かし、ライバルよりユーザー本位と印象づける戦略があることを示唆した。

 ちなみに、「買い方セレクト」には、

(1)従来と同様に、KDDIの販売奨励金(名目は「購入サポート」で、金額は一律2万1000円)を受けて、電話機を軽い負担で購入する代わりに、割高な基本料や通話料を支払う必要のある「フルサポートコース」

(2)これまではなかった、ユーザーが全額負担で電話機を購入する代わりに、月々の基本料が低廉な「シンプルコース」(基本料2625円・通話料10.5円/分など、2コースが存在)

――の2つが、設定されている。


「総務省の顔を立てただけのダミー」

 だが、あるKDDIマンは、筆者の取材に、ショッキングな話を明かした。

 この人物は「シンプルコースは、総務省の顔を立てただけのダミー。このコースを売る気はない」と断言。さらに「本音は、フルサポートコースの一本勝負。ヘビーユーザー(上得意顧客)ほど、本人負担なしで機種変更できるサイクルが短くなる特徴を生かし、ヘビーユーザーの電話機買い替えを加速して囲い込む戦略です」と付け加えた。

 関係者の間では、自己負担で購入できるリーズナブルな価格の電話機は投入されず、シンプルコースは絵に描いた餅で終わるとの見方が根強い。そうなれば、奨励金問題にメスを入れることによって、海外並みに競争原理の働く携帯電話機市場の創設や、米国、韓国並みに低廉なユーザー料金を目指した総務省の目論みは水泡に帰す。

 KDDIの対応について、総務省は、「個別事業者の料金プランを論評する立場にはない」(総合通信基盤局)との公式見解を前面に押し出して平静を装っている。

 しかし本当は、同省幹部は、「販売奨励金を使った電話機の過剰な買い替え促進の問題を指摘したにもかかわらず、KDDIは、フルサポートコースにポイント制の強化など電話機買い替えを加速する“麻薬”を盛り込んでいる。許し難い」と激怒しているのだ。今後も様々な論争を仕掛けて是正を迫る構えだ。


市場メカニズムは完璧にあらず

 1990年代半ば、総務省の前身の旧郵政省は、PHS導入や第2世代デジタル携帯電話の解禁が重なり、市場競争が活発になるとの予測を前提に、料金やサービスの規制を放棄、携帯電話ビジネスを市場メカニズムに委ねた。今回、直接的な規制ができないのは、このためだ。しかし、実際の携帯電話市場は、瞬く間に、プレーヤーが実質3社に集約され、周波数の壁に守られた新規参入の乏しい競争制限的な世界に変質した。

 もちろん、筆者は、闇雲な規制の復活には反対だ。しかし、今回のように市場の競争原理が働かず、相対的に利用者が不利な状況がある以上、規制緩和だけを続ければよいとも思えない。

 例えば、事業者間のトラブル処理を目的として総務省に設置されている「電気通信事業紛争処理委員会」の機能を強化して、利用者から料金制度の改善要求が起きれば調停に乗り出す機能を持たせるのも一案だ。こうした状況の是正のため、何らかの手を打つ必要性が高まっているのではないだろうか。
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何故買い換えるかと言うと、携帯の耐久性に問題があるってのも事実。

占有率No.1のノキアの機種も使ったことがありますが、これを含めて充電地の部分は、どのメーカー製でもせいぜい2年程度しかもたない。

とすると現実にはトータルコストで言えば現在の本体低価格、通話料高価格(と言っても様々な割引があるから実際は中価格)の方が消費者の負担は軽いし、技術的進歩も反映しやすいと言える。

メーカーの世界市場への影響力は、単に努力不足と考えても良さそうだ。

メーカーから事業者への提案能力にも問題があるかも知れないし。

大体、自由経済主義、市場原理主義をとる以上、自国のメーカーの能力やシェアなど、政府に何の関係もない。

大きなお世話に過ぎない。

新規事業者が参入しにくい現状をこそ問題視すべきなのだ。


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