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クジラの跳んだ日

2009-08-19 | 国際的なこと
米海軍施設がセミクジラを絶滅させる?

2009年8月17日

(Photograph courtesy National Oceanic Atmospheric Association/AP)

 アメリカ海軍は先週、新しい海中軍事訓練施設の建設予定地を発表した。複数の候補地から選ばれたのは、フロリダ州北東部のジャクソンビル沖だ。

 運用開始は2014年の予定だが、既にトラブルが発生している。ジャクソンビル沖の建設予定地は、タイセイヨウセミクジラが出産する世界唯一の場所として知られている海域と48キロしか離れていないからだ。

 体長十数メートルのタイセイヨウセミクジラは現在わずか300~350頭と推定され、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで絶滅危惧IB類に分類されている。

 今回の決定に対しては複数の自然保護団体が異議を唱えており、「タイセイヨウセミクジラを絶滅に追いやりかねないプロジェクトだ」と主張している。「海軍の選択はクジラにとって最悪だ」と環境保護団体である天然資源保護協会(NRDC)の弁護士タリン・キーコー氏は言う。

 一方、海軍は「環境影響評価書(EIS)」で環境アセスメントは完了しており、米国海洋水産局(NMFS)の承認も得ている」と反論している。

 同水産局資源保護本部(OPR)部長のジム・レッキー氏は、「生物学的な調査の結果、施設を建設し軍事演習を行っても、この海域に生息するタイセイヨウセミクジラなどの生物の存続を脅かすことはないと結論付けられた」と説明する。

 この調査では、こうした重要な生息域が施設の建設によって破壊されるといった悪影響はなく、さらにこの海域が重要な生息地であるのはタイセイヨウセミクジラだけであるとの見解も示された。

 訓練施設の建設に向け、アメリカ海軍は沖合の大陸棚(面積1715平方キロ)にセンサーとケーブルを配置する予定だ。それらを介し近くにあるメイポート海軍基地にデータが送信される。このシステムの目的は、訓練に参加する対潜ヘリコプターやP-3オライオン海上哨戒機と、連携する全ての海上船舶の動きを把握することだ。

 潜水艦の元乗組員であり、現在はアメリカ海軍で環境音響学を研究するジェーン・ニッセン氏は、「訓練の後も一連の動きを3Dで詳細に再現し、活動内容を把握して改善点を研究することができる」と説明する。

「フロリダ海域は訓練施設の建設地としては理想的だ」と同氏は言う。海岸付近の浅瀬は、船や波、野生動物などのノイズで溢れている。ここで訓練すれば、静音タイプのディーゼル駆動潜水艦も聞き分けられるようになる。

 さらにこの地は、訓練活動に使われる船舶や航空機の収容施設に近い。ジャクソンビル沖以外の海域に建設することになれば、航空機や船舶、部品、人材の配備に必要となる費用や時間は大きく膨れ上がるうえ、ここ1年のほとんどを自宅から離れて過ごしている軍員たちが家族と再会できる機会はさらに失われることにもなる。

 アメリカ海軍は、訓練施設を建設しても船舶の往来が増加するわけではないとしている。この海域は既に軍艦の航路となっていることがその理由だ。さらに、クジラとの衝突を回避するための十分な対策は既に講じているとも主張している。

 アメリカ海軍は、施設の完成までの今後5年間、この海域のタイセイヨウセミクジラの生態についてより詳細な調査を行うことを計画している。しかし評論家らは、アメリカ海軍が施設の建設費用として1億ドルを既に計上している点を指摘し、調査が終われば施設の使用が開始されることは確実であると主張している。

 ボストンにあるニューイングランド水族館でセミクジラを研究する科学者エイミー・ノールトン氏は、「現時点では、訓練施設がタイセイヨウセミクジラにとって脅威となると断言できる有力な根拠はない」としながらも、以下のように述べている。

「アメリカ海軍は、生息環境がセミクジラなどの海洋動物によってどのように利用されているのかを正確に理解しようともせず、今回の計画を推し進めようとしている印象を受ける」。

Brian Handwerk for National Geographic News

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かつての捕鯨場にセミクジラ復活の兆し

Ker Than
for National Geographic News
May 27, 2009

 かつての捕鯨場でタイセイヨウセミクジラ特有の鳴き声が検知された。この希少種の未来を照らす明るいニュースだ。

 タイセイヨウセミクジラの鳴き声が録音されたのは、グリーンランド南端フェアウェル岬沖合の、かつて捕鯨が盛んに行われていた海域である。

「この海域に生息するクジラは、確認済みの個体数を上回る可能性が大きい」と、今回の研究でリーダーを務めたオレゴン州立大学のデビッド・メルリンガー氏は語る。

 1800年代後半、フェアウェル岬沖の捕鯨場でセミクジラが乱獲され、絶滅寸前まで追いやられた。そのため過去50年間、この海域ではわずか2頭しかその姿が目撃されていない。セミクジラは世界的にも約350頭しか生息が確認されておらず、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストでは絶滅危惧種に指定されている。

 メルリンガー氏の研究チームがフェアウェル岬沖に設置した水中録音機は、2007年7月から2008年7月までの間にセミクジラの鳴き声を約2000回記録した。研究チームは少なくとも3頭以上の個体が鳴き声を発したと推測している。

「タイセイヨウセミクジラは通常、夏季にはアメリカのニューイングランド沖やカナダのノバ・スコシア沖でプランクトンを食べているため、今回のフェアウェル岬沖のクジラは未知の種ということも考えられる。この海域に移住してきたのか、以前からずっと生息していたのかは不明だ」と同氏は解説する。

 現在、フェアウェル岬沖で捕鯨は行われていないが、それとは別の危機がこの海域の生物を脅かす恐れもある。例えば、今後数十年のうちに北極から氷が消失するとの予測を立てている気候モデルがある。

 予測通り氷がなくなればセミクジラの回遊ルートを横切る新航路が創設される可能性がある。メルリンガー氏によると、人間の関与によってセミクジラが命を落とす事故の中では船舶との衝突が多いという。「そのような航路ができると、冬に備えて南下するセミクジラの回遊ルートと重なることになってしまう」と同氏は指摘した。

 今回の研究成果は先週、アメリカのオレゴン州ポートランドで開催されたアメリカ音響学会の年次会合で発表された。
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もともとアメリカ文明はクジラに優しくありません。

江戸末期、油を絞っては捨て、の残酷な捕鯨の為の基地を求めて、野蛮人が日本にやって来たのも、かの国からでした。

そして時代は流れ・・・

クジラの全てを利用し尽くす、真っ当な捕鯨国である日本の肩身は狭くなり、今や細々と調査捕鯨が続くのみ。

ここは大々的に声を挙げるべきなのかも知れません。

「復活の兆しがあるセミクジラの繁殖地を守れ!」と。

かの海軍はソナーの研究から、クジラについてはかなりのデータを持っています。

案外と捕鯨をやっても問題無いほど、個体数が復活しているクジラのデータが飛び出すかも知れません。


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