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TPPの危険性を説く、「ジェーン・ケルシー教授 仙台講演会 議事録」 その①

2012-10-26 | 国際的なこと
<要旨>
・TPPの協定内容は全てアメリカの議会によって承認されなければならない
・交渉参加国はASEANと自由貿易協定を締結している。つまり障壁があるのはアメリカ
・マイクロソフトはTPPによって知的財産権保護のためDLファイルの有料化を提言している。グーグルはそれに反対している
・外資投資による土地・資源などの資産購入について制約を緩和する内容も盛り込まれている
・漁業権などを外資に購入された場合、漁業で成り立っているような地方の地域への悪影響は計り知れない
・日本の国営貿易会社(主に農産物)に対し、すでにアメリカは反競争主義だとクレームをつけている
・公共工事において外国企業の入札参加の権利を要求している。日本では復興事業に多大な影響が考えられる
・アメリカは遺伝子組換作物について特に強い要求を提案している
・TPPの基本的考えは発行後10年以内に例外なく関税をゼロにするものであるが、アメリカは農業について譲歩していない
・ニュージーランドの乳業、オーストラリアの砂糖についてアメリカは一切譲歩しないと明言している
・パブリックコメントや意見募集において、外国企業も発言可能になるように求めている
・TPPの交渉内容は署名されるまでは非公開である
・TPP加盟国の義務は他の加盟国にも強制される
・投資家にはその国への政策的助言に参加する権利が与えられる
・規則や義務の変更はアメリカ議会の承認が必要となるため、極めて困難である

2011年7月12日
ジェーン・ケルシー教授 仙台講演会 議事録(未定稿)
【講演】
皆様こんにちは。
本日はTPPを考える国民会議・仙台に参加できることを大変嬉しく思っています。
主催いただきました仙台の方々に御礼を申し上げたいと思います。また、ご参加いただきました非常に多くの皆様に御礼を申し上げます。
ニュージーランドでは、通常ご挨拶として、生かせていただいている土地、並びに先祖の皆様、将来世代の皆様に敬意を表してイベントを始めます。とりわけ現在の世代におきましては、重要な意味を持つ挨拶ではないかと思います。
ニュージーランドのクライストチャーチにおきましても大震災がおきていますので、皆様方にお見舞い申し上げるとともに、ともに復興について考えさせていただく良い機会ではないかと思います。
本日は3つのトピックについて話をさせていただきたいと思っております。まず1点目はTPP交渉の背景についてです。2点目がTPP交渉に参加している国々においての主な問題点。そして3点目として日本への影響についてご説明したいと思います。
時間があれば具体的な事例についてご紹介申し上げたいと思っております。また、皆様方からのご質問についてもできる限りお答えしたいと思っています。
まず、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)とは何かということから始めたいと思います。
この交渉に関わっている当事者たちは、通常の自由貿易協定とは一線を画しているということを強調しています。21世紀型の協定であることが強調されています。
21世紀においては多くの課題があります。その中身については明らかでない課題も多くあります。21世紀の課題に応える一つとして、TPPというアプローチがあるのではないかと思います。
交渉官達によりますと、今まであった自由貿易協定や包括的経済連携などと比べると、国境の中に踏み込む、従来の枠組みを超えたものになるということが強調されています。国境の枠組みを超えるものであるという表現の意味ですが、過去の貿易協定などでカバーされていない政策・規制に関して、政府が決定できる選択肢を狭めるものになります。この話の中でTPPが、公衆衛生制度、そしてまた日本郵政、日本の食料安全保障などに対する影響を説明したいと思います。
現在、TPPを交渉しているのは9カ国となっています。オーストラリア、ブルネイ、チリ、マレーシア、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、アメリカ、ベトナムの9カ国です。アジア太平洋経済協力機構(APEC)の加盟国です。
9カ国が現在交渉に参加しているということを申し上げましたけど、ご覧のとおり1カ国だけが他の8カ国に対して突出しているということがいえるかと思います。アメリカという国はこの9カ国の中で最大の経済大国であるのみならず、もっとも強い政治的影響力を持っています。
それはどうしてかと申しますと、TPPの協定の中身は全てアメリカの議会によって承認されなければなりません。国民の利益に反するようなもの、あるいは国民の利益に資することができないものについては、アメリカの議会では決して承認されることがないからです。このポイントは非常に重要でありまして、後でまた触れたいと思います。
日本並びにニュージーランドが、このTPPの交渉に関わる際には、今までの経緯を理解する必要性があります。
まず最初に申し上げたいのは、既存のTPP協定というのは存在していません。これは新しい特徴を多く含む、新しい協定ということになります。しかしながら、アメリカが既にその他のTPP交渉国と交渉し、取りつけた既存のFTAに大きく影響を受けることになります。この構想は、2000年に出てきたものであります。提唱しましたのは、現ニュージーランド貿易大臣です。WTOなどにおいて、十分に自由化の動きが浸透していないということをかなり提唱されました。WTOの交渉が1999年にシアトルにおいて失敗したことを受けまして、多国間での協議には限界があるという教訓が生まれました。そこで、協定を結び、より大きな枠組みにしていくということに方向転換がなされたのです。
元々ニュージーランドとシンガポールの間で締結された協定がベースとなりまして、それがP4と呼ばれる環太平洋戦略的経済連携協定が生まれました。参加した国は、チリ、シンガポール、ニュージーランドとブルネイです。しかし、この協定は完全なものではありませんでした。投資・金融サービスに関する規定の章がなかったからです。この分野の協議は数年後に行われることになりました。
その当時のアメリカのブッシュ大統領は、当初は投資並びに金融サービスに関して、交渉に参加したいという表明をしました。その後、協定全体に関しての参加表明に変更しました。そして、その後オーストラリア、ペルー、ベトナムも交渉に参加しました。ですから、これらの国々はP4に参加するという流れとなってますけど、実際には新たな協定を協議するということになりました。
オバマ政権が誕生し、その際、TPP交渉に参加するのかどうかということを検討することになりました。1年間の考慮期間を経て、その間中断はしまたけど、アメリカも参加することになりました。その後7回にわたって交渉・会合が行われました。そしてマレーシアも参加することになりました。
では、次に目的は何かということに進みたいと思います。
それは、今までの従来型の貿易協定とは違う内容となっています。それは、以下の二つの目的があるからです。といいますのも、参加する交渉国というのは、既に貿易体制が打ち出されていまして、国境での関税も概ね撤廃されており、低いレベルで推
移していたからです。
そして参加国の間で様々なFTAが既に存在していました。例えばアメリカは、ペルー、オーストラリア、チリ、シンガポールと既にFTAを締結していました。そしてオーストラリアとニュージーランドはASEANと自由貿易協定を締結しています。したがって、このグループの中ではTPPを通して撤廃しなければならない貿易障壁というのはほとんど無かったのです。残っている障壁というのは、ほとんどアメリカ側にあるものです。しかも農業という非常に不利な分野においてのみ残っていたということです。このような、アメリカ側の保護措置を撤廃させるような内容については、アメリカの議会の承認を取り付けることが非常に難しいと思われました。
したがって、TPPにおいて従来型の自由貿易協定のような取り組みであれば、商業的な見返りというのは大きく期待できないという状況にあります。ですから商業的な意味合いよりも、投資協定としての意味合いの方が非常に大きいということが特徴として挙げられます。と言いますのも、TPPの加盟国に投資をしている外国の企業・投資家というのは、権利を国際的な裁判所に対して訴え、主張することが出来るからです。また政府に対して企業が強く求めているのは、ビジネスがよりやりやすい環境を確立するために、既存の政策や規制については撤廃あるいは引き下げる、緩和するということです。
しかし、今ある既存の政策あるいは規制というのは、それぞれ社会的な必要性、環境上の必要性あるいは食料の安全保障という観点で導入されているわけであります。したがって、このTPPの交渉の中では、政府に対して企業が求めている目的と、それが国益のために必要と考えられていることを立法府が行う、そしてまた市民団体の願いや要望との間で対立が起きているということであります。
当初の商業的な見返りというのは、それほど大きくはないと思われますが、しかしいずれはAPEC全域に及ぶ自由貿易協定に拡大しようという構想があります。その中には中国、インド、韓国、日本も含まれることになります。過去においてもこのような構想はありました。しかしながら、APECではFTAに向けた提案は却下されています。これから、アメリカのひな形でつくられたアジア・太平洋地域においての自由貿易圏の構想というのは、他の国において受け入れられるかどうか不確実といえます。
アメリカの国務長官ヒラリー・クリントンは、既にこのTPPというのは、アジア・太平洋地域において中国を牽制するためのものであるということを主張しています。ですから他の国々に参加してもらい、そしてまた、その合意された内容をもって中国を牽制したいと考えています。
次のこの6ページですけど、作業グループとしていかに広い分野をカバーしているのかということがおわかりいただけるかと思います。しかしながら、交渉は非常に緩慢なペースでしか進んでいません。それは一部の分野が広く、そして複雑であるからです。それだけではなく、アメリカの議会において、既にアメリカと締結している韓国、カナダ、コロンビアとのFTA自由貿易協定について、承認がされていないからです。
次のページですけど、今後のスケジュールについてです。
当初の目的というのは、ホノルルで開催される11月のAPECの首脳会合が、その大枠決定の時期とされていました。しかし実際のところ、特に機微な分野であります農業も含め他の交渉についてもまだ始まったばかりであります。ですから交渉は、おそらく来年に先送りになるだろうと思われます。しかし、来年はアメリカ大統領の選挙であります。ですから、尐なくとも2年間は時間を要するのではないかと考えられています。したがって、この協定の中身について、より時間をかけて理解していくことが出来るということです。
では次の8ページですけども、各国の交渉の中で浮上して参りました主な問題点についてご説明申し上げます。
物議をかもしている分野の一つとして、知的財産権が挙げられます。とりわけニュージーランドにおいては、これは大きな問題でありまして、医薬品は安く購入出来るという環境があったんです。アメリカの製薬会社はニュージーランドの制度を問題視しています。実はその提案内容が一部リークしたので、その中身を見ることが出来たんですけど、その中身どおりに協定が結ばれてしまいますと、今後、ニュージーランドにおいては、今までのように安く医薬品を入手することが困難になります。
また、マイクロソフトのようなコンピューターの会社は、その知識に関しても制約を課したいと考えています。インターネットでダウンロード出来るファイルなどについて有料化したいという意向を持っています。しかし、過去グーグルのような企業は、いま申し上げたマイクロソフトのポジションには反対しています。
さらにそのリークされた文書によりますと、アメリカは著作権の保護期間をより長く設定したいと考えているようです。そうなりますと、図書館が悪影響を受けることになります。また、翻訳などに関しても、より長い期間アクセス出来ないという問題が生じます。
二つめに問題として浮上しているのは、外資の投資家のルールに関してであります。
具体的に申し上げますと、外国の投資家が土地あるいは資源など、戦略的な資産に対して投資をする際の制約を緩和するという内容が主張がされているということです。これは例えば、今日先生方に伺いたいのですけども、この地域で構想として検討されている漁業に関する特区が影響を受けることになります。例えば漁業権などが確立され、特区において外国の投資家が漁業権を獲得した場合には、一旦その様な権利の移行が行われると、後でその民間企業の漁業が、地元・地域社会に対し悪影響を及ぼしていると考えられる場合でも取消をすることができません。元に戻ることが出来ないのです。
また、この協定の中身によって、協定の中で謳われている権利に関して、外国の投資家は政府に対して権利を行使することが出来るようになります。これは裁判としては、世界銀行に付随する非公開の裁判で行われますので、中身について情報にアクセスすることができません。
オーストラリア政府は、煙草に関してはプレーンなパッケージでしか販売してはならないという規制を導入しています。それに対しまして、アメリカの煙草会社でありますフィリップモリス社はオーストラリア政府に対して、この要件を緩和するよう訴えています。フィリップモリス側の主張としては、自社の商標でありますマイルドという知的財産権を、オーストラリア政府が煙草に関しての公衆衛生管理法を施行することによって侵害しているということを訴えているのです。そして何十億ドルという損害賠償をせよということを求めています。
また、日本に関係のある問題点としては、国営の貿易会社に対しての問題が挙げられます。いわゆる国営の貿易会社がありまして、日本の場合は小麦あるいは米、その他の農産物を海外から輸入し、そして日本に流通させるという仕組みが影響を受けるということです。このような国営の貿易会社というのは、外国の企業が日本での競争が阻害されている、これは反競争であるということを主張しています。
もう一つ関係のある分野としては、政府調達市場があげられます。これは学校や道路あるいは建物の建設など、納税者の税金を使って政府が支出する公共投資の分野です。TPPの下では、TPPに参加する外国の企業が、日本企業と同様にこれらの政府調達案件に対し入札する権利を要求します。この分野でアメリカが日本に対して問題視しているのは、様々な建設工事あるいは道路の整備、港湾整備、そして官民パートナーシップの事業です。とりわけ被災地の復興事業において重要な意味をもつと思います。
そしてもう一つ当然のことながら重要になってくるのは農業です。皆さんの中にも農業関連の関係者の方がいらっしゃると思いますので、TPPが農業に対してどのような影響を及ぼすのかということを説明したいと思います。
先ほども若干触れましたけれども、農地の所有権あるいは農業に対する参入について、外資に課せられている要件や制約を緩和するということに対しての圧力がかかっています。そして輸入農産物を扱う貿易会社などに対しての解体が要求されます。検疫などに関しての要件、食品表示などに関する要件を緩和するように強く求められることになります。それはTPPに参加する国の中でも、とりわけアメリカが、しかもその中でも遺伝子組換作物について強い要求をして参ります。
そして当然の事ながら輸入食品に関しての関税を引き下げる、あるいは撤廃することが求められます。TPPの基本的な考え方というのは、発効後10年以内に例外なく全ての関税をゼロにするということです。しかし、日本の場合は特別なケースとして、もう尐し時間的な猶予が与えられるかもしれません。ただ、ここで述べたいのはアメリカも同じように受け入れるのであろうかということです。過去の交渉を見ても明らかなように、アメリカは農業について譲歩していません。例えば、オーストラリアに対しては砂糖が例外として扱われています。そして現在のTPPの交渉の中では、ニュージーランドに対しては、乳製品に対する市場アクセスは一切譲歩しないという立場をアメリカは提示しています。ですから現状の印象ですけども、アメリカとその他の国とルールは別立てになるのではないかということです。
尐し時間が無くなって参りましたので、跳ばしながらご説明申し上げたいと思いま
す。では10ページをご覧いただきたいと思います。
先ほど申し上げましたとおり、この交渉の中で一番重要なのはアメリカです。ですからアメリカが、具体的に日本に何を要求するかということを想定してまとめてみました。近年、アメリカは製造業としてはポジションが低下して参りましたので、現在日本に一番大きく要求が出てきそうなのは、サービス、投資と知的財産権の分野だと予想されます。
11ページをご覧になって下さい。
毎年アメリカは、世界各国に対して貿易障壁として問題のある分野を発表しています。そしてこちらに列挙されているのが、日本に対するアメリカの最近の要望です。いずれもTPPにおいて問題として浮上してくると思われる品目です。アメリカが強く主張しているのは、日本の企業と同等の条件で競争できる環境を日本に要望するということです。
そしてもう一つのポイントは、透明性を掲げることを日本に要求しているということです。この透明性というのは、アメリカの企業が日本政府に対して、より協議をする場を設けて欲しい、より発言力を高めて欲しいということであります。具体的には、日本政府の諮問委員会などに席を確保したい。あるいはパブリックコメント、意見募集において発言をしたいということです。
いま申し上げたようなことが、具体的にはどういう影響として出てくるのかを事例をもって証明したいと思います。これは、貿易問題というよりも社会的な問題と位置づけられると思います。TPPの枠組みの中では、医療というのが社会的なサービスとしてみているのではなく、商業的な市場という見方をしています。そのような枠組みの中で、日本の生活の中で変更して欲しい、改正して欲しいと特定されている分野がいくつかあります。例えば、私立の病院を運営する際の外資の導入を緩和して欲しいと要求しています。またPFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)、先ほどの官民パートナーシップのような仕組みの中で事業に参加し、病院の運営をしたいという意向をアメリカの企業はもっています。そしてその中で、権利を保証して貰い、問題があった時には国際的な非公開な裁判所に訴える権利を確保したいと考えています。
また、アメリカの企業が、オンラインで国境を越えた保険サービスを日本において展開したいと考えています。ですから、アメリカからインターネットを使って、日本において医療サービスを提供することを考えています。また、自らが求めるような料金で、自由に医療機器、医薬品を日本において販売したいと考えています。そして制限無く日本において血液製剤を販売したいと考えています。
その他にも公衆衛生の分野においては、いろんな要求が対象領域に入ってきます。ですから社会的な役割として見るのではなく、商業的な機会として、TPPの中では様々な領域が影響を受けることになります。
いま申し上げたのが一例でして、私の書いた本の中にも紹介されています。
最後になりましたけれども、このようなTPPと民主主義並びに主権との関係につ
いて申し上げたいと思います。
ここで強調したいのは、交渉内容が決定し、最終的に署名されるまで、次々に非公開で交渉が行われます。
9ページですけども、このように閉ざされた非公開の交渉になりますので、有意義な議論をすることが難しいということになります。ですから出来る限り我々としても、情報を集めて努力しなければならないということです。
このような交渉内容というのは期限がある訳ではありません。いつになったら失効するということはなく、永遠に永続する内容であるということです。また脱退するというオプションがあるかもしれませんが、それさえも安易ではないのです。それは誤りであったと後で反省して変えたい、あるいは新政権が誕生して中身を変えたい、あるいは市場主義が上手くいかないので元に戻したいと考えても、それは出来ないのです。これは国家間で権利を行使するというのみならず、参加している国の投資家が直接政府を訴えることができます。しかも、非公開の裁判の中で審理がなされ、最終的に何百万ドルあるいは何十億ドルという賠償金を支払わなければならなくなる可能性もあるのです。
以上、いろいろ申し上げましたけれども、こういう状況の中で日本政府は本当にこの交渉に参加したいと思っているのでしょうか。その理由として考えられるのは三つ挙げられると思います。
一つは、TPPを通して日本の投資家あるいは企業が他の国の市場にアクセスしたいということです。最後のページになりますが、今TPPを交渉している多くの国とは、既にFTAを日本は締結している、あるいは交渉中であります。そして唯一、やる気になっているのはアメリカですけど、アメリカは決して日本に対して有利な条件をのむことはしません。
二つめの動機としては、TPPが今後、より大きなAPEC、アジア太平洋地域においての自由貿易協定に発展することが期待できるという理由があげられます。しかし、日本は既にASEAN+3あるいはASEAN+6、並びに東アジア首脳会議という枠組みを協議しています。
三つ目は、経済や貿易とは全く関係なく、対中国への牽制の手段として日米間の戦略的関係を強化したいという思いがあるのかもしれません。これは経済の判断ということではなく、外交上の判断ということになります。
そして四つ目が、政治的に実現が難しいと思われる国内再編を、TPPを通して秘密裏に推し進め、政策として固めるということです。しかし、それは将来の政権をも永遠に拘束するものであります。政権が変わって、新たな方向に向かったり、あるいは中身を変更したいと考えても、それは実現し得ないということであり永遠に拘束されるということになります。また権利を行使し続けられるという状況になります。
私も広く日本とTPPの関係について提起をして参りましたし、様々な文献を読んで参りましたけれども、今申し上げた四つの理由の中で、一番大きいのはやはり四つ目ではないかと思います。この四つ目の判断については、自国の民主主義、そしてまた主権を鑑み、日本の国民が決定することだと考えています。
ご静聴ありがとうございました。


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