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この世界のどこかに居る似た者達へ。

「クロードと一緒に」 稲葉 友編。

2014-10-02 21:47:54 | お芝居・テレビ
10月に入りました。昔、母がよく「二桁になるともう年末まで速いわよね!!」などと言っていましたが、なんかやはりここから駆け足が始まる様な気がします。

アタシは5月に「クロードと一緒に」と言う舞台を観ました。このお芝居は元々カナダのお芝居で、初演は1985年、29年も前です。イギリスでも上演され、映画化もされた作品で日本では初演。

日本の舞台はダブルキャストで、主人公で若い男娼の”イーブ”を相馬圭祐さんと稲葉友さん、彼を取り調べる刑事を伊藤陽佑さんと伊達暁さんがそれぞれ演じ、各々のチームがイメージの異なるお芝居となっていました。

そして、本国カナダではカナダ人若手演出家による本作品がこの9月16日から10月11日まで上演中です。


相馬圭祐さんと伊藤陽佑さんコンビの事はこのブログに書きました。(記事はこちらからどうぞ

只今カナダで上演中なのだし、もう一人のイーブ、稲葉友さんのお芝居の事を書いて行こうと思います。



アタシは「相馬イーブ」から拝見したのですが、カーテンコールでの相馬さんは足元がフラつく程消耗していたのです。

そんな相馬さんの姿を見て、思わずアタシも涙が出ました。

他の観客も拍手をしながら泣いている人が多かった。

相馬さんのファンの方にとってはきっと衝撃の舞台であったと思うし、お芝居が始まった頃には正直こんな凄まじい演技を観るとは思っておらず「なめてた・・・。」と感じていた人も居ただろうし、内容が濃く、絶対的な説得力を以ってして表現しなければならない難しい役に挑戦した若い俳優さんに対して感動し涙を流した方も居ただろうと思います。


しかしながらアタシは、カーテンコールで体力も精神力も消耗し切り、どこかうつろな瞳でいる相馬さんを観て泣いてる自分の涙の意味がよく分かりませんでした。

お話は終わったと言うのに”イーブ”の居る世界から戻って来れない様な感覚でいて、目の前で観客に向かってお辞儀をしている演者の方々を見てさえ胸が苦しく、切ない様な気分のままでした。


この舞台を観た多くの観客の方々がそうであったように、アタシもこの日の帰り道は余韻をひきずりまくりました。
劇場を出て駅まで歩くあいだ、何度も泣きそうになってしまい焦りました。

「意味が分からない・・・」と思いつつ、もう一人の”イーブ”に会いに行かずには居られなくなってしまったのです。



そして翌日、アタシが観た稲葉友さんの回は、稲葉さん・伊達さんコンビの千秋楽でした。

お昼の回だったのですが、この舞台の夜公演が相馬さん・伊藤さんコンビの回で大千秋楽だったのです。


相馬イーブと稲葉イーブとでは当たり前の事ですが、まったくイメージの異なる「彼」でした。

観客と初対面する時、相馬イーブはデスクに後ろ手をついて刑事をまっすぐに見据えていましたが、稲葉イーブは観客の方を向き立っていました。

こんなのやってられない、と言う様な表情を浮かべてただ立っているのですが、この立ち姿がとても妖艶でそれがそのまま稲葉イーブの鮮烈なイメージとなりました。


相馬さんと同じく、稲葉さんの髪も金色。相馬さんがどこか怖さを感じる美しさであったのに対し、稲葉さんは凄く中性的な感じがしました。見た目は男の子なのですが、受ける感じが男の子でも女の子でもない、色っぽくて幼くて不思議な感じ。


稲葉さんはまだ21歳なんですねぇ!!

この若さでこんなに深く難しい役を演じたことに驚きます。

でも若いからこそ、稲葉さんのイーブは真っ直ぐでたやすく、不安定で爆発的なパワーを持っていました。

そして相馬さんと同じでどんなに乱れてぐちゃぐちゃになっても、とても綺麗でした。





つづく