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この世界のどこかに居る似た者達へ。

「クロードと一緒に」 相馬圭祐編 2。

2014-05-26 13:43:34 | お芝居・テレビ
この物語の主人公、男娼の男の子は殺人をおかした犯人だと自首しておきながら、自分の名前も殺した相手の名前も言いません。

取調べを始めてから36時間経つというのに。

その代わり犯行時の足取りやら何やらをうんざりする程何度も喋っている。

喋らされている。

刑事が彼の証言を何度聞いても、信じられる要素が少しも無いから。


相馬さん演ずる男娼は、自分のした事をどう捉えているのか全然分かりませんでした。

「殺しましたが、何か?」ぐらいの態度にすら見える。

おまけに速記係を部屋から追い出してくれないかなどと言い出します。


とても生意気です。

でも、普通の男の子が絶対に知らないであろう「何か」が、彼の佇まいを支配していました。

ただならぬ雰囲気だった。


刑事もそれを感じていたのか、速記係のギィに「コーヒーを買って来てくれ。」とお金を渡し、ギィは男娼を一瞥して部屋から出て行きました。



ちなみのに、この舞台はR-15指定です。

でも別に演技が15禁なのではありませんでした。

問題は台詞です。

男性同士のSEXに関するあからさまな表現や、15歳以下では知ろうはずもない言葉がわんさか出て来ます。

きっと意味が分からないんじゃないかと思います。


色んな言葉をその場で聞いて意味が分からなくて、後でネットで調べられても大人としては

「いやいやいや、ダメだから。まだ知らなくていいから。てか、全然知らなくていいから。」

って思いますしね・・・。

後半30分の男娼による独白がこのお芝居の一番の山場なわけで、台詞もそれまでとは比べ物にならない程の破壊力を持って観客を襲って来るんです。

ハッキリと言ってしまっているのでダイレクトに何をしたかが伝わって来ると言うのも確かですが、この舞台ではそこに主人公の恐怖や混乱やそこになお見え隠れする安らぎを表現しているとアタシは思うんです。

15歳以下にはここを理解する事は難しいんじゃないかなぁ・・・と。

舞台が上演する前のアメーバ特番で、演出の古川貴義さんが15歳と言う線引きを「ちゃんと恋愛を経験した事のある年齢から観て欲しいお芝居だから」と言う様な事を仰っていて、なるほどなぁと思いました。

あからさまな言葉による表現も理由のひとつではあるけれど、この物語が抱える肝は常識や日常と言った現実を超えた「愛情」であるし、そこへたどり着くのは大人でさえかなりのエネルギーを要します。

観る方も。

それ以上に演る方も。

この世に生まれてまだ15年も経っておらず、生活の上での常識やなんかがまだ充分に備わっていないままそれを超えた物を観たり聴いたりしてしまうと、間違った認識で生きて行ってしまうかもしれないなと、それは危険だなとアタシも思います。

そう言った事を考えると、15歳以下と言う年齢制限は妥当だったんじゃないかな、と。





彼と刑事があげあしの取り合いの様な会話を繰り返し、時折刑事は苛立ち、声を荒げます。

彼もうんざりした表情を見せますが、つかみどころの無い非現実的な美しさの中に「ほんとうのこと」をギュっと抱えて隠している様に見えました。


そんな停滞ムードの充満に観客も少しストレスを感じる頃、追い出されたギィがファイルを持ってやって来ます。


この部屋の何の進展もない36時間の間に、外では捜査が行われていてその結果が届いたのです。

刑事が彼の名前をファイルに見つけました。



「”イーブ”いい名前だな。」



男娼の名はイーブ。


「殺された男は”クロード”。」



イーブはクロードの事をずっと「あの人」と言います。

クロードの名を刑事に自供しなかったのは「クロードの名を言って欲しくないから。」


刑事の口から「クロード」の名が告げられると、イーブは瞳の中に炎が宿ったように反抗的な眼差しを向けます。

あの人の名をお前が呼ぶな、と。


更に捜査の中でクロードの恋人の存在が明らかになります。


身を強張らせるイーブ。

「そんなわけないっ・・・!」

と、震える程動揺します。



恋人が若い男娼に殺されたと聞き彼女は絶叫し続けたと刑事が話している最中も、イーブはクロードに女の恋人が居た事を飲み込めずに驚愕しています。

目を見開き、髪を掻きむしりながら「恋人」と認められる相手が自分以外に居た事に衝撃を受けるイーブ。



そんな彼を見て、イーブとクロードが男娼とその客以上の関係であったこと、イーブが並々ならぬ感情でクロードを想っていたことを知る観客達でありました。





つづく。











































































































「クロードと一緒に」 相馬圭祐編。

2014-05-22 14:02:31 | お芝居・テレビ
青山円形劇場にて5月14日から5月18日まで上演されていた「クロードと一緒に」と言う舞台を観ました。

昨年、上川隆也さんが真田幸村を演じた舞台「真田十勇士」を観て、御出演された役者さんの他の舞台も観たいとずっと思っていたんです。

でも、なかなか観に行けなくて今回やっと真田で豊臣秀頼役であった相馬圭祐さんの舞台を観に行く事が出来ました。


この「クロードと一緒に」と言うお芝居は30年前にカナダ人の作家が書いた物語で、カナダやイギリスで上演されただけではなく1992年には映画化もされています。

・・・・。

なんて全部ネットから拾った情報。


アタシはこの物語についてほぼ何も知らずに、劇場へと向かいました。

何せ、このお芝居の事を知ったのが公演も半ばを過ぎた頃。


殺人をおかしたと自首して来た男娼の話、R-15指定。


????????


R-15????????


何がなんだかまったくつかめないまま、でもなんかこれは観ておいた方がよさそうだと直感し慌ててチケットを取ったわけです。


劇場は青山「こどもの城」内にありました。

R-15指定のお芝居でありながら、劇場の扉から出るとお子達のはしゃぐ声の行き交う不思議な空間になっておりました。

なので劇場の扉の中に入ると何かずぅーん、と体が暗がりへ落ちてゆく様な、現実からゆっくりと引き剥がされ吸い込まれてゆく様なトリップ感がことさら強かった。

真ん中にある舞台は縦長で、両脇を囲むように客席が配置されていました。円形の劇場での観劇は初めてです。


舞台の上下と言うか、客席ではない両脇と言うか、長方形の短い辺にあたる部分と言うか、そこにはどちらにも木製の「扉」が設置してありました。片方の扉は天井まである大きな扉で沢山取っ手が着いていました。小さな扉が集まって大きな扉になってた。そして何故か斜めに設置されてた。開演までの時間、その小さな扉のひとつひとつがランダムにスポットで照らし出されていました。この扉と向かい合って役者さんがお芝居をするスペースを挟み、ごくごく普通の扉がもうひとつありました。


そこは裁判長の執務室。


人を殺したと言う男娼にその執務室へ呼び出され、刑事、速記、警備官がここへやって来ます。

舞台の中央には大きな木製のテーブルと、その向こうに判事が座って仕事をするであろう立派なデスク。どちらもどっしりとした調度品と言う趣でした。

大きな扉と向かい合ってる方の扉は開閉し、人物が登場する場面と去る場面ではここを使っていました。

警備官役の鈴木ハルニさんはお芝居中ずっとこの扉の向こうに立っています。警備官なので当然の行動なのですが、扉は勿論閉じている事の方が多く角度によっては客席から完全に見えません。


アタシは今回このお芝居を2回観ましたが、相馬さんチームの方の時は警備官と目が合いそうな位の所で観ていました。

警備官が執務室へ入って行って台詞を言う場面はありますが、9割がた彼は扉の外に立っている演技です。

腕時計を覗き込んだり、少し歩きまわって自分の立つ「廊下」の向こうの方を眺めてみたり、ギュっと目を閉じてぶつぶつ何かを呟いていたり。

彼のそう言う細かいお芝居を見ているのがとても楽しかった。


彼の名は「ラトレイユ」と言います。素敵な名前ですねぇ~。

台詞を言う場面でもハルニさんは客席の笑いを誘うお芝居で、思い切り吹いてしまいました。

扉の向こうではいつでもピリピリした空気が充満しているため、「ラトレイユ」の存在はアタシにとって、もはや「救済」でした。


大きなテーブルには書類のような物が雑然とし、コーヒーの入っていたであろう紙コップがいくつか乗っていました。

そのテーブルでは速記の男性がペンを走らせます。小柄でスタイルが良くて、少し神経質な感じがするけどカッコいい。名前は「ギィ」。
パンフレットの表記は「ガイ」となっていますが、お芝居ではギィと呼ばれていました。

ギィが一番「青山」って街には合いそうだな、などと思いました。演ずるのは井上裕朗さん。


犯人の男娼と刑事はダブルキャスト。でも、警備官と速記は同じ役者さんです。


刑事は伊藤陽佑さん。背中が広く長身で、男っぽい。このお芝居の冒頭場面は取調べが始まってから36時間が経過しているにも関わらず、犯人の自供から真実につながる証言が何も得られていないところから始まります。

当然、調べる方は苛立ちを隠せません。

伊藤さん演ずる刑事は、その苛立ちや焦り、怒り、疲労を素直に表面化させていて「あぁ、うんざりなんだろうなぁ・・・」と、こちらが同情することしきりでした。


そして相馬圭祐さん。

柔らかな金色の髪、事前にメディアで見てた時よりも随分痩せていました。

パンフレットの写真よりも痩せていたと思う。


判事のデスクに寄りかかり、後ろ手をついて立つ彼の姿に釘付けになりました。

女性的でも男性的でもない怪しげな美しさを身にまとっていました。

凄く綺麗だった。

でも怖かった。

彼の瞳は空虚であり、あざ笑っているかの様に反抗的で、それでいて恐ろしく扇情的だった。

あんな男の子は見た事がない。

足を踏み入れてはいけない美しさだった。



彼がアタシが初めて出会った「イーブ」でした。




つづく。
















































































今日も”クロードと一緒に”。

2014-05-19 02:58:48 | お芝居・テレビ
青山円形劇場で上演していた「クロードと一緒に」が千秋楽を迎えました。

契約の都合上この舞台はDVDに出来ないんだそうで、全ては観た人々の記憶の中にしか残せないお芝居。



この舞台はダブルキャストです。

昨日の相馬圭祐さん&伊藤陽佑さんコンビに変わって、今日は稲葉友さん&伊達暁さんコンビの最終舞台を観ました。


相馬さんは「ただならぬ雰囲気」でそこに立っている青年でしたが、稲葉さんは静かで落ちついていました。


登場してすぐ、なで肩で少し左脚の膝を内に向け、腰の右の方を落とした稲葉さんの立ち姿を観ました。

一瞬。

綺麗な顔の男の子の危うい魔性がそこにありました。


劇中に「プロの男娼」と言う言葉が出て来ます。

紛れもなく、彼の放つオーラはそうでした。

いや、アタシはプロの男娼と言われる人に会った事はないけど、なんか「こんな感じなのかもしれない。」と思ったんです。

普通の男の子にはとうてい感じる事の無いオーラだった。


きっと「なで肩」に見えるような姿勢をとっていたんだと思います。

あからさまな女言葉で話すわけでもなく、それ以降も女性っぽいしぐさは一切出て来ないし、キャラクターとしてもこの役に女性的なアプローチは皆無です。

しかし、その一瞬の立ち姿にとてつもない説得力がありました。


凄いな、と思わず声に出してしまいそうになりました。



稲葉さんは大人しく落ち着いた印象だったので、後半の爆発力がハンパなかった。

感情のメーターが振り切れると声がうわずったり、「音割れ」を起こしている様な、それまでとは別人みたいな声になって凄まじかった。


そしてまた泣けてしまった。

昨日同様、客席にはハンカチで目の辺りを押さえながら観ている人が多かった。

女の子のすすり上げる声があちこちで聞こえた。


カーテンコールではずっと稲葉さんが泣いていた。

アタシも泣き顔で拍手していた。

いつもなら

お芝居は終わったのだから、演技ではない涙を観客に見せるべきじゃないんじゃないかとかなんとか言いそうなアタシだけど、

そんなことどうでも良かった。



カーテンコールは3回。

出てくる度、今にも大声で泣いてしまいそうになる稲葉さんの姿にこちらも涙をこらえられなかった。

これでいいんだ、これでいいんだと繰り返し思いました。



帰宅してパンフレットをゆっくり読ませて頂いたら、20年前のイギリス公演に於いても、同じ現象が起きていたと知り驚きました。

お芝居が終わって泣いていなかったのは刑事役の役者さんぐらいで、主役の役者さんは号泣に近い状態であった、と。

観客もまた。

やっぱりこれがこの舞台の正体なんだと強く思います。



相馬さんと稲葉さんが演じた青年は「イーブ」と言う名前です。

演ずるお二人によって、各々の物語はまるで違う印象でした。

”二人のイーブ”についてはまた、ゆっくり書こうと思います。


御出演された皆様、関係者の皆様、無事千秋楽を終えられた事、おめでとうございます。

強く心に残る舞台でした。

「そこにしか救いがなかったのか」

「どうにかして救えなかったのか」

「これはSOSだったのか」

「そもそも救えるのか」

「救うなんて考える事自体、かど違いなのか」



色んな事を考えました。




観終わって感じたのは嫌悪感ではありませんでした。

泣いてしまう程の愛しさと切なさがこのお芝居にはありました。




お疲れ様でした。

そして、ありがとうございました。























































”クロードと一緒に”。

2014-05-17 18:55:06 | お芝居・テレビ
青山円形劇場にて上演中の「クロードと一緒に」と言う舞台を観てきました。

相馬圭祐さん主演。


お芝居の殆どが客を殺した若い男娼と刑事の会話でなされています。


男娼役=相馬さん。

刑事役=伊藤陽佑さん。



しかし、このお芝居の主演はダブルキャストで、もう片方のコンビは


男娼役=稲葉友さん。

刑事役=伊達暁さん。


登場人物はこの他にあと二人、速記役の方と警官役の方がおります。



クロードと一緒に公式



真田十勇士に出演した役者さんの他の舞台を観たかったんですが、今までなかなか行けませんで、今回やっと真田で豊臣秀頼役をやられた相馬圭祐さんの舞台を観る事が出来ました。


これはカナダの作家の方が書いた物語で、本国カナダやイギリスで30年に渡り公演されて来たお芝居だそうです。

日本ではこれが初公演。



男娼とは。

男性相手に売春する男性のこと。

その男の子が客の男性を殺したとして自首して来て、警察に話をしている所からお芝居は始まります。


金髪・・・と言うより、もう少し柔らかい色の髪。

紺色のズボン。ペラペラな白いTシャツの首元は大きく開いていて、浮き出た鎖骨があらわになった少年。

その瞳は何物も信じていないかの様に空虚で、疑り深く、そのくせ鋭く、刑事を上目遣いで見てはどこかあざ笑うかの様に口元が歪む。

彼が客を殺した男娼。



真田十勇士から8ヶ月ぐらいぶりの相馬圭祐さんがそこに居ました。





恐ろしく綺麗だった。







物語についてはまだネタばれはやめます。

明日、千秋楽なので。




とても痛かった。

とても寂しかった。

でも、どうしようもなく人の体温を感じて、その温かさに心が震えてしまう。

思いもよらず、涙が出ました。


オトコ相手に体を売る男の子が見た一瞬の「光り」。

それがアタシにも見えて、でも、すぐに力なく消えてゆきそうになってゆくのも見えて・・・。

きっとその一瞬の光りが舞台をぐるりと取り囲んだ他の観客達にも見えた。

何かと戦うように叫ぶように、顔を紅潮させ頬を濡らして息つくまもなく言葉をつむぐ男の子の肩越しに。



だから、女の子達は泣いてた。



なんでだか、アタシはカーテンコールで泣きの山場を迎えてしまった。

謎。





もう片方のコンビも観てみたくなって。


明日行って来ます。



















































































放置。

2014-05-16 14:58:39 | 日記
あらやだ。

1ヶ月も更新ナシの放置っぷり。

いやはや。1ヶ月は長いな。


皆様、お元気ですか?



4月下旬にハワイ旅行へ出発し、5月上旬に帰国。

時差ぼけデイズを堪能した後ブログの更新をサボっているなぁと気にしつつ、何故か帰国してからなかなか片付かないスーツケースの中身と格闘したりしなかったり。

ハワイは温かい国なので、持って行く洋服は夏物。

しかし、4月下旬の日本はまだ肌寒く、生活で夏の物は着ない。

よって、出発前の荷造りの際には、箱やら何やらにしまってある夏物を引っ張り出してパッキングするわけです。

帰国後は持って帰って来た夏物と、日本で活躍中であった冬物でアタシの部屋は大変なことに


夏物と冬物を入れ替えなくてすむ広い部屋ならば何の問題もないけれど、そんなスペースはありません。


「こ、今年着なかった冬物は捨てよう・・・

と自分の部屋で力なくつぶやき、ビニール袋がひとつ膨らんだ所でヨロヨロしながら生還したのがおとといの事でございました。






今年もハワイは美しかった。

でも着いてから2、3日は寒くて雨が降る時間もけっこうありました。





長袖買いに走る始末・・・

でも、後半はばっちり晴れてくれました





真ん中の黒っぽいのは、サーファーの神様”デューク・カハナモク”の像。サーフボードを背に立っています。

見えづらくて申し訳ないです

差し出した両腕にいつもレイがかかっています。


テレビ番組の「もやもやさま~ず」がハワイロケをする時、オープニングは必ずこのデューク像前からですね。

とても有名なスポットで、沢山の観光客が記念写真を撮っています。

この像の向こうがワイキキビーチです。







ハワイ情報などは、ゆっくり寄り道しながら書こうかなぁと思います。