leka

この世界のどこかに居る似た者達へ。

秋。

2013-10-30 00:15:22 | 日記
最近の日本列島を襲う気象の激しさに、絶句する事の多い日々です。

つい何日か前には季節にそぐわぬ台風が、この国を大きく荒らしながら通り過ぎてゆきました。



今日は急に気温が下がって寒いです。

昨日はとてもいいお天気だったのに。

だけど季節は順番どおりに進んでいます。







































道端には思いのほか草木・花が沢山育っています。

秋は春に負けないぐらい華やかです。

皆、美しく健気です。

冬になる前に目一杯命を燃やして生きています。





秋の空は高くて見上げる時間も長くなってしまいます。






それはすなわち誇り高いと言う事の様な気がして、何か崇高なものすら感じます。


この空はどこにでも続いているんです。


被害に遭われた方々の安否と、亡くなられた方々の御冥福をお祈りします。


東北にも祈ります。


この空に祈ります。



































チャレンジ SHIROH。

2013-10-25 21:31:18 | お芝居・テレビ
ゲキシネをまた観て来ました。

SHIROHと言う、これは「ロックミュージカル」だそうです。2004年。9年前。

ゲキシネ上映は2005年。


SHIROH


ミュージカル。私の苦手なミュージカル・・・。

しかし、この作品は延べ7万人を動員したそうで、たいへん人気のある作品らしいです。

しかも、幸村様した上川さん出てますし・・・。

観てみようかなと思い、品プリシネマへ。


上川隆也さん、中川晃教さん、お二人で主演です。「二人のSHIROH」の物語。

天草四郎の物語ベースで、上川隆也さんが世に伝わる俗に言う「天草四郎」の役です。本当は「益田四郎時貞」と言う名前なんですね。
幼い頃持っていた不思議な力を失ってしまった四郎です。


中川晃教さんも「シロー」と言う役なんですが、こちらは苗字がなくただの「シロー」。
でも、彼の歌う歌には人の心を動かす不思議な力がありました。


バンドが入っていました。役者さん達はバンドの生演奏にあわせて歌うんです。

これは凄いと思いました。舞台中央には階段が設置され、左右にスライドしてその向こうから役者さん達が登場したりするのですが、バンドの方々はどうやらその階段の影にいるらしく、お芝居の中では1回ぐらいしかその姿は見られません。素晴らしい演奏です。もう少し、登場させてあげて欲しかったりしました。

上川四郎のお姉さん「レシーナお福」と言う役で、杏子さんが出演されています。

でも、なんと言いますか、バンドサウンドを背に杏子さんが歌えば、それはもう元バービーボーイズの杏子さんでしかないわけで、「レシーナお福」とは思えないんです。歌声も歌い方も杏子さんなのだから・・・。しかも杏子さんはカツラもかぶっていないしメイクも普通のメイクなので、見た目も変わらない。

シンガー”杏子”としての破壊力はもう存分に観て来たのだから、「レシーナお福」としての破壊力を感じたかった・・・。

驚いたのは高橋由美子さんです。とても歌が上手かったです。こっちの破壊力の方が凄かった。

中川晃教さんと言う方を知りませんでした。ごめんなさい。宮城県の仙台市出身。
凄い方なんですね。このSHIROHに出演した時は二十歳そこそこなんですね
えらい度胸です。ビックリしました

流石に、歌が上手いです。歌唱力があるとか、そう言う言い方もまぁ、そうなんですが、この役の「シロー」みたいに、「歌のちから」のある人です。

こう言う人を「選ばれし者」と言うんだと思います。

上川隆也さんは頑張って歌ってらっしゃいました。

出演者の方々で歌の世界にいらっしゃらなかった演者の方は、相当な挑戦をされたのだと思います。

劇中で歌われる楽曲はR&R、HARDROCK、HEAVYMETAL等のサウンドです。アコースティックなバラードなんかもありました。曲はどれも素晴らしいです。演奏も。曲を手がけたのは聖飢魔Ⅱのデーモン閣下なのだそうで、このお芝居のバンドのメンバーの中には聖飢魔Ⅱのギターリスト、ルーク篁さんも。流石、プロのミュージシャンとして活動されて来た方々の曲と演奏です。


でもやはり、どうしても会話を歌にする必要性とかが分からなくて、途中から「シロー」だけ歌えばいいんじゃないかとか思えて来て、それじゃぁミュージカルにはならんのかとか、そもそもミュージカルじゃなくて普通の芝居でやればいいんじゃないかとか考えたりで、さっぱり物語が頭に入って来なくてですね・・・。


客席で悶絶しまくり・・・。


しかし、「歌」による一体感とかはちゃんと感じました。
キリシタン達のコーラスって言うんですかね、素晴らしかったです。

あの一体感はある種宗教的な一体感で、素直に”良い意味での”鳥肌が立ちました。

中川さんの持つ「歌声のちから」と言うのが、多くの歌声の一番上に燦然と輝いているのを感じました。それはやっぱり奇跡みたいなことなのかなと感じます。

そんな風に歌える人はめったに居ないわけですから。

どんなに練習して上手くなったって、その先にある「生まれ持った物」がなければきっとあんな風には舞台に立てない。おまけにお芝居も出来るなんて、ちょっとずるいですね。

現在もミュージュカルや音楽の世界で御活躍中なのですね。


ああ、そうだ!!

真田十勇士で望月六郎役をやっていた植本 潤さんと言う役者さんが、上川四郎のお父さん役で出演されていました。

面白場面を何度も担当されていました

面白場面は多いです。一番印象に残ったのは植本さんではないんですが、「よろしこ。」ですね

それが全体を通して一番強く憶えてると言っても過言ではありません。

だって「よろしこ。」って言われた御本人が「よろしこってなんだ!?意味わかんないっ!」って素でウケてたもの

蛮幽鬼でもぶっちゃけ一番印象に残ってるのは土門の言った

「わっかりましたぁー。」

だったりするし・・・。

新感線のお芝居を観たのはこれで二つ目ですが、面白場面が面白すぎて、本編よりも印象に残ってしまう感が私にはあります。良いんだか悪いんだか・・・


ギャングのボスみたいな江守 徹さんとか、高音の歌声と表現力が印象的な大塚ちひろさんとか(大塚ちひろで検索したら水着画像とかあったけど、そんな事しなくたって歌で勝負出来ると思うんだけどダメなのかな。)、とても興味深くはあります。

公演中ずっと、生演奏でステージをやり続けた演者達にリスペクトを覚えます。きっと大千秋楽を迎えた時は、本当に感無量だったのではないかと思います。大きなチャレンジを終えた瞬間だったのではと。

ゲキシネSHIROHの最後には、出演者全員が本当に楽しそうに歌い、踊っている映像が流れます。観ているこちらも思わず笑顔になってしまう位、皆さん素敵な表情です。

音楽の力と言うのは、ハンパないと改めて思いました。


でも、やっぱりアタシは

「神よ、何故私から力を奪った!!!」

と嘆き歌う四郎の心よりも、

「そんな事ではオレは倒せない、もっとしっかりかかって来い!!」

と憎しみで瞳を燃え上がらせている土門の心の方が響いて来てしまうんだなぁ・・・。


ミュージカルを観る事にチャレンジしてみましたが・・・やはり手ごわい相手でございました。



蛮幽鬼よりも客席は埋まっておりました。流石に人気です。

品プリシネマで上映延長です。



「あなたのアッキーでした


と言う、中川さんの声まで聴いてから席はお立ち下さいね。


















































































































蛮幽鬼 4。

2013-10-19 17:58:11 | お芝居・テレビ
なかなかに立ち回りの場面が多い、この蛮幽鬼。

斬って斬られ、斬られては斬る。

血がね。見えるんですよ

役者さん達の衣装にどうやら仕掛けがあるみたいですね。

お芝居の初めの方で土門の親友が殺された時も、ちゃんと流血します。

痛そうです


あと、「シャキーン、シャキーン!」って言う、刀のぶつかり合う音がします。

それと拍子木の音。「チョンチョンっ!」と音がして、見せたい場面を強調して観客に見せたり。

漫画っぽい感じが少しします。


蛮幽鬼クライマックスは、土門の体に毒がまわり、大変な局面をむかえてしまいました。

サジを相手するのは、美古都のためになら命すら投げ出してもかまわない刀衣です。

この刀衣とサジは実は同じ「狼蘭族」と言う部族の出なのです。剣術に長けた者達。その技量は主に暗殺などに使われると言う・・・。


感情を覚えた殺し屋など、もう死んだも同然と言う考えのサジ。

「誰かのために死ねる気持ち良さなどお前には分かるまい」と、そんなサジにむかってゆく刀衣。

殺し屋殺し屋の激しい戦いが幕を開けます。


蔵人は美古都に逃げるよう促しますが、体の震えが止まらぬ土門を見捨てる事が出来ずにためらって居ます。


刀衣が土門のそばまで来て「逃げて!」と言い、土門の肩のあたりを刺しました。

すぅーっと両の黒目が真ん中に寄って行く土門。そのまま横たわり動かなくなりました。


この蛮幽鬼のセットは回転する大掛かりな物で、回転して場面転換を成していました。

建物の中と外を瞬時に観客に見せてくれたりして、とても面白かったです。

サジと刀衣の戦いのさなかも、確か一度セットが回転しました。


そして姿を現した美古都。

逃げてはいませんでした。土門も死んではおらず。


刀衣が土門にはトドメを刺したのではなく、毒消しを刺したんだと言います。

狼蘭族には薬を使う者もおり、どうやら刀衣はそうらしい。

全ては美古都のため。

いや、もしもサジと言う男を自分が仕留められなかったのならば、後は土門に託すつもりだったのでしょうか。

複雑な心境を乗り越えて戦った刀衣ですが、残念ながらサジを仕留められませんでした。


サジと土門の一騎打ちの始まりです。

サジから戦い方を伝授された土門。

監獄島を脱出する手助けをしたのはサジであり、今、自分がここにあるのは彼の力があってこそなのを感じながら戦っているのか。

お互い退きません。

サジは自分の戦法と戦います。自分と戦っているのと同じです。

土門は存分に斬られます。気付けば、胸といい、足といい、服もろとも斬られ赤い血が見えています。

しかし、倒れても何度も立ち上がるのでした。

サジが不思議に思っていると、「痛くないんだよ・・・」と土門。

毒のせいなのか毒消しのせいなのか、ここへ来て土門の体はなんの痛みも感じなくなってしまったのです。

それは何だか「心も体も」と思えてしまい、悲しい事の様に思えました。

監獄島へ投獄されて、充分に傷ついた土門の心は、もはや疲れ果てているはずです。


でも、大量に出血すれば死ぬじゃんねー、みたいな事を言って嬉々として殺しにかかるサジ。

おめーってヤツはよぉ・・・・。



そんな二人の足元から白い靄が立ち込めて来ます。

「なんだ・・・ここはまだ監獄島じゃないか・・・。」

遠くを見て土門が言います。何を言っているんだ?と言う感じのサジ。


そろそろ二人共、戦いを終結させたい頃合です。

土門はサジに、いつかお前の本当の名前を教えて欲しいと言います(今度出逢ったら、みたいな感じだったかな?)サジとは本当の名ではないんです。

そんな土門にサジが、君には本当の名前なんてあるのか?と言う様な事を聞きます。

土門は力なく少し笑って「それもそうだな。」と言い、サジを殺します。


クライマックスの土門は現実と幻影を行ったり来たりしています。

土門は己の中から生まれた、己の復讐のために己を支え続けた、「サジ」と言う自らの憎しみを葬り去ったのです。


事態は収拾がつかなくなっています。美古都はどうにか土門が救われる方法は無いかと考えていたはずですが、どうにもなりません。

衛兵達が騒ぎを聞きつけてここへやって来るのも時間の問題です。

「土門!」

美古都は、かつて愛した男をかつて愛した男の名を呼ぶように叫びますが、土門は「オレは飛頭蛮だ!!」とさえぎります。


この国の王、美古都として逆賊、飛頭蛮を殺せと土門は刃を彼女に持たせて刃先を自分に向けさせます。

そして、「この監獄島から救ってくれ」と。

美古都の手に持った刀をグッと引き寄せ、土門は自らの体を貫きました。

何かを掴むように手を伸ばし、宙を泳ぐ視線で「外の光がっ・・・」と言いかけ、土門は死にました。

復讐を遂げても監獄島から開放されずにいた土門の魂は、美古都の胸の中でついに自由になったのかもしれません。


しかし、土門は何も救われてはいないのです。

美古都の胸の中に帰る事と引き換えに、傷だらけになって命を失ったのです。



気付けば、観客女子達の鼻をすする音が映画館の客席のあちこちから聞こえて来ました。

暗がりでハンカチを握る手。

悲しくも美しい最期の場面に酔っているかのような客席。

で、ございました。





これは新宿バルト9にあったポスター。


暗く、救われる者の無い物語なために、あんなに爆笑シーンがあるのかすら。

せめて、ここは笑って、と。

ま、そう言うわけじゃないんでしょうけども。



土門の魂が救われたかどうかは、きっと土門自身にしか分からないんだろうなぁと思う帰り道でございました。


ゲキシネ上映は日本のあちこちでまだ続くみたいですね。

間に休憩15分を挟んで3時間半。

あなたの街で「蛮幽鬼」。

いかがでしょうか。





































































































































蛮幽鬼 3。

2013-10-19 15:17:54 | お芝居・テレビ
土門を陥れた男達は死に、彼はとうとう復讐を果たました。

しかし、土門の瞳はどこか空虚であり、次に何をすべきなのか見失っている様に見えました。

監獄島から助け出して来たハマン国と言う国の姫、「ペナン」。ガラン、ロクロクと言う名を持つその家臣達。皆、土門の復讐の名の元に集まった仲間達ではありますが、いつしか彼らは小さなファミリーの様になっていたのです。

「もう、終ったんだよ!海に出よう!!こんな国なんて捨てて・・・全部捨てて・・。」

念願の復讐を遂げたのにも関わらず、どこかやり場のない虚しさを抱えてる様な土門に、ペナンは言います。


しかしまだ、親友を殺した真犯人は分からないままなのです。

この場にあの笑顔の殺人鬼サジは居ません。


国の衛兵達がやって来て、美古都の命により、土門達の命を取ると告げます。

美古都は国王であった夫をサジに殺され、今は自らが国の長なのです。


土門の小さなファミリーは衛兵達の手により、あっと言う間にこの世を去って行ってしまいました。

息も絶え絶えなペナンを腕に抱き、彼女の行きたがったこの国の外へ行こうと土門は言います。「イマ?」と問いかけるペナンに「ああ。」と土門は笑顔で答えますが、「嘘はイケナイ。」と言って彼女は死んでしまいます。自分から大切な者達を奪った美古都に向かい、土門の怒りが爆走します。


舞台・蛮幽鬼のクライマックスは、土門、美古都、サジ、刀衣(とうい:早乙女太一)、蔵人(クランド:土門の旧友)によって織り成されてゆきます。

美古都は夫を殺された頃から、飛頭蛮が土門だと気付きます。

蔵人もまた、飛頭蛮と言う男が旧知の友なのではないかと言う思いを胸の中でくすぶらせていました。昔から知る男と自分との間でしか交わされた事のなかった言葉を飛頭蛮が口にした時、蔵人の心が決まったのです。

さて、全ての刃が土門に向けられますが、怒りと憎しみで突き動かされている土門の刀は邪魔立てするありとあらゆる物を唸りながら蹴散らしてゆきます。

それは戦いのさなかに刀の達人、刀衣に「強いっ・・・。」と言わせしめるほど。


だがしかーーーし


美古都は土門達を殺せとの命令など出してはいないと言います。

では誰が?


美古都に「何故、待っていてくれなかった」と言う土門。確かに、心に決めた人は居たが死んでしまった。私を殺して気がすむならそうしなさい、この首を持ってこの国を出て行きなさい、と彼女は父から貰った短刀を自ら胸に突き刺そうとします。


どんなに土門が変わり果てようとも、美古都には受け入れる心があったはずでは。

しかし、もはや一国の長である彼女に、己の感情ひとつで好き勝手に動くなど出来うるわけもありません。

もう、出来ないのです。

彼女の王としての姿勢と気迫に負けたのは土門の方でした。

短刀の刃を握り、美古都が自ら死するのを阻止します。


「オレはお前を殺しに来たのではない!」と土門。

とうとう、彼は自分が何をしようとしているのか分からなくなってしまいました。


自分を止めた土門の手が短刀の刃で切れているのに気付いた美古都は、布を巻いて手当てします。

束の間、心が通じ合うかの様な。

そして今一度土門は、自分達を殺せとの命令を美古都が下していないと確認するのです。


「随分、殺すのに時間がかかっているようだねぇ~~。」

とそこへ、満を持して笑顔の殺人鬼サジ登場。



全ては。

全ては土門の殺された親友、その妹である美古都の父の仕組んだ「はかりごと」と一同にここで判明。


そして直接手をくだして土門の親友を殺したのは、サジだったのです。

無論、サジはとっくにその父を殺して来ています。


驚愕の真実を上手く飲み込めない一同。

と、土門の体が激しく震え出します。

刀衣が美古都の父から送られた短刀を確認すると刃に毒が。

美古都の父「惜春(せきしゅん)」は息子も殺し、娘までも殺そうとする、悪の根源でありました。



つづく




































































蛮幽鬼 2。

2013-10-18 21:19:45 | お芝居・テレビ
監獄島に居た時、土門がまるで気のふれた様な場面がありました。


自分は罪など、おかしてはいない。

自分は親友を殺してはいない。

そんな思いが、土門を狂暴で残酷な行動へと向かわせていました。

看守の目をくりぬいたんですねぇ。



土門の牢獄の前に、古株看守が「餌」と書かれた入れ物を背負った新人看守を連れて来ます。食事の時間です。

監獄島に響く囚人達のわめく声に怯える新人。「囚人達は食事を貰う時は大人しい。」と古株が言います。

しかし、新人が土門の檻へ近づこうとすると、「そいつには気をつけろ!」と古株が言いました。古株は眼帯をめくり、見事にぐっちゃぐちゃな片目を新人に見せます。土門がエグったんですねぇ。

「十年前の話だ。」と古株が言うと、暗がりから

「十年っ?もうそんなに経っちまったのか?」

と言う、とうてい土門とは思えない、又は、上川隆也だとは思えない高い声が聞こえました。

「おめーの目玉はうまかったよ、今度はそっちの若いヤツの目玉を喰わせてくれ!」

と牢獄の暗がりを背に己を閉じ込めてている檻にしがみつき、甲高い声でまくし立てる土門はマジで狂っており、非常に怖いのです。

「頭の芯まで狂ってやがる。」と古株は言いますが、看守が居なくなった後土門は一人、

「誰が好きこのんで目玉なんて喰うか!」

と、独白します。先程とは別人の様な低くて激シブな声で。こちらが土門の本当の声です。

ホッとします

土門は狂ったフリして脱獄の準備を進めていたのです。


しかし上川さん、色んな声が出せるんですねぇ。言い方も、狂ったフリの時は語尾がなんだか曖昧で、あやうい印象だし。

マジでやばーい。何が?


そんなこんなで大変な思いをして十年と言う長い年月、我慢に我慢を重ね土門は外の世界に出て来たのでした。


白髪の教祖を、昔なじみの人々は誰も土門だとは気づきません。

何者かに殺された親友の妹、土門の婚約者であった、稲森いずみさん扮する「美古都(みこと)」も、初めは彼をかつて愛した男と気づかないのです。

土門は、国の王の后となった美古都さえも憎み始めますが、時折彼女の見せる「弱さ」に心中は揺らいでいます。それをサジは見破ります。

一秒、一秒、殺しの事しか考えていない監獄島で出来た土門の「友人」、サジと言う男の言動が少しづつ土門の進むべき策略にヒズミを生じさせてゆくのです。

策略につぐ策略の果てに、ついに土門は自分を陥れた二人の男と伊達土門として対峙します。

目の前に居る男が土門だと気づいた二人は慌てふためき、相手をしようとするも力が入りません。そんなふがいのない二人の元に向かって刀を放り、自分が越えて来た年月はそんな事では倒せない、もっとしっかりかかって来い、と土門は凄みます。

憎しみの炎がメラメラ燃えている土門の目。

しかしながら、この男達はお互いを売り合い斬り合い、土門が手を下す事もなく死にました。

死にさらしました。

最初からそんな嘆かわしいやつらだったのです。

劇中の台詞の言葉をお借りするなら「見下げ果てた」奴らだったのです。




つづく