leka

この世界のどこかに居る似た者達へ。

9日間女王様だった女の子 6。

2014-03-25 17:00:52 | お芝居・テレビ
ヘンリー八世の最後の妻、キャサリン・パー。

メアリー、エリザベス、エドワードと言う夫の先妻達の子に教育を受けさせます。エリザベス、メアリーについては持っていなかった王位継承権をヘンリー八世に助言し認めさせたとか。

彼女はトマス・シーモアの子を妊娠しますが、トマスはエリザベスにちょっかいを出し・・・。

不幸な事に出産後キャサリンは亡くなってしまいました。

彼女は気にかかる沢山の事をこの世に残して逝ってしまったんだと思います。

産んだわが子の事、夫とエリザベスの事、可愛がっていたジェーンの事、エドワードの事。

この世の者ではなくなる寸前や、なってからも、彼女は実体を持って現れます。


キャサリンが破水しお産に苦しんでる時、一心に彼女の命の無事を祈るジェーンのそばにゆっくりふわふわと歩いて来ます。

また、エドワードが体が弱く長くは生きられない自分に、英国をどうして動かしてゆく事が出来ようかと悩み苦しんでいる時にも、ふわふわと現れます。

二人共キャサリンを見、その存在を認めます。

そして残念ながら二人共この世を去る運命なのですが、これは別にキャサリンが二人を迎えに来たわけではないとアタシは思いました。

ただただ、目をかけていたまだ10代の二人を残してそばを離れてしまった事が気がかりで現れたんじゃないかと・・・。


黙ったまま、それでいて何かを言いたげに自分の前に現れたキャサリンに、「僕を迎えに来たの?」と病床のエドワードは話しかけます。

ジェーンの時もエドワードの時も、キャサリンが姿を現す時は同じテーマをブラックバードが奏でます。儚くも優しいそのテーマの中で二人の視線は交差しますが、キャサリン・パーの霊魂はどこまでも心配そうな瞳を投げかけたまま去ってゆきます。

心身共に衰弱していたエドワード。英国の明日の事も自分の明日の事も、どうしたらいいのか見失いがちに・・・。

日本の昔もそうであった様に、長となる者が幼い子供であったりあまりにも拙いと、そばに仕える家臣的な役割の存在の人々がそのままブレインになってしまう事があります。

エドワードにしてもそれは同じ事でした。どうする事が最善なのか16歳の少年なりに頑張って考えますが、最後には大人にまかせてしまいます。「君の言う通りにするよ・・・。」と力なく言葉を吐いた相手は、事もあろうにジョン・ダドリーでした。

そして、エドワード6世はこの世を去ります。


エドワードがこの世を去ってから、物語はうなりをあげながら激しく波打つ嵐の海さながらの展開を見せてゆきます。


エドワード王の遺言書には次の王をジェーンにする、と書かれていたとしてジョンと共にジェーンの両親が若い夫婦の元に訪れます。

またしても大人達の横暴な言動を呑み込めずに居るジェーン。





自分で望んではいないと主張しても、ジェーン本人、もしくは夫婦の親達が罪に問われ処刑されるとジョンに一蹴されます。

16歳の少女は己の四方を屈強な鉄格子に囲まれ、王座へと無理やり上らされてしまったのです。


ジョンは後々ギルフォードに王位が移る事を見込んでジェーンを陥れたのでした。

しかし、ギルフォードは王位になど付きたいとは思っていません。「自分には不必要だ。」とつい口をすべらせ、ジョンの逆鱗に触れます。

父は息子の胸倉を掴み、思い切り壁に叩きつけます。「お前は甘い!何が不必要だ!!」と。

成河さんがもの凄い音を立ててセットの壁にぶつけられます。この時の田山さんは本当に怖かった・・・。

父は「こっちはお前のために大変な思いしてやってやってんのに、不必要なんてよく言えたもんだ!!」と言い、息子は「あなたはいつも与えるだけだ!僕の本当に欲しい物なんて知らないくせに!!」言い返します。

思い通りにならない子供達を前に、ジョンは苛立ち、ジェーンにさえも強い口調で物を言います。

思わず、

「女王に対して、その口のきき方はなりません!」

と、ジェーンが叫びました。





息子を床に蹴倒してもなお怒りの収まらないジョンに、


「女王の前で暴力はなりません!」とも。


とうとうジェーンは自分が女王になる事を受け入れます。こうするしかもう、自分に道は残されていないと16歳の少女なりに結論したのです。







悩み苦しんだ上に、ジェーン・グレイは王位に付いたのでした。









つづく。