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特発性側弯症治療方針について - 米国小児病院HPより -

2007-03-27 00:51:52 | 特発性側弯症治療方針
(H19年7月4日追記 : この項は、august03が和訳したものです。
私は医師ではありませんので、医学的に誤解や誤りが含まれている可能性は
ありますので、どうかそのことを考慮されてお読みいただきたいと思います。)

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脊柱側わん症患者交流広場 (http://www013.upp.so-net.ne.jp/sokuwan/Welcome.htm)
を拝見していて、思ったのですが、特発性側弯症の治療の方針やステップについて
もっと整理して情報が提供されたほうがいいのでしょうね。
先生からの言葉が、うまく患者さんに伝わっていなくて、整形外科不信を
生み出しそうで、ちょっと心配になりました。

日本の先生がたは、日常診療等に忙しくて、なかなか患者さん向けホームページ
を作成したりする時間がなさそうです。
やはり、こういうときは、米国のサイトが役立ちますので、そんな中から
ひとつ見つけましたので、それを和訳してみました。


Columbia Orthopaedic Pediatric Orthopaedic Surgery
The University Hospital of Columbia and Cornell

http://www.childrensorthopaedics.com/sksd.html#adolescent


特発性側弯症治療のステップ

発症時期による区分
Infantile scoliosis (幼児期側弯症 0~3歳)
Juvenile scoliosis (学童期側弯症 4~9歳)
Adolescent scoliosis (思春期側弯症 10歳以上)

学童期側弯症の治療方針は、脊椎変形の重症度、年齢、変形進行具合の見通し
などを勘案して決定することになります。
マイルドな変形(10~25度)では、しばらく様子を見ることになります。
この状態のときは、何ヶ月かおきに病院に定期検査にいき、X線写真や外来検査で、
進行具合を検査します。
もし、最初はマイルドな変形であったものが、進行がかなり早いスピードで
進んでいるようであったり、25度以上の変形になっていた場合は、ただちに
治療が開始されます。

もし、変形が、「フレキシブル」なものであった場合は、

……(訳者注 :これは、体軸を右に傾けたり、左に傾けたりした状態でX線撮影を
行い、変形が発生している特定の脊柱(特定の範囲の椎体)が、凝り固まった
脊柱変形なのか、まだ緩みがある脊柱変形なのかを見極める検査になります)

もし、変形がフレキシブルなものであれば、ブレース(装具)による治療がスタートラインとなります

……(訳者注: 装具には様々なタイプのものがあり、どのタイプを使用するかは、
医師の経験と判断によるのが実態のようです) 

装着のタイミング、装着期間、装着時間(一日に何時間装着するか)等も、医師の
判断によりますが、もし変形の進行スピードが速いときは、18~23時間/日の装着
が必要となります。装具療法が功を奏して、変形角度が減少したら、装着時間も
短くできます。
変形矯正の状態に応じて、装具療法を一旦休止することもあり、また定期観察期間
に移行し、もし変形がまた進んできたら、装具を再装着する、ということを繰り返
すような治療となります。こどもが思春期の成長期に入ったら、

……(訳者注 :この時期は再び、変形進行が進むことが多いため…)

装具を再装着して、矯正位置を保持することに努めます。
どうしても、進行スピードが止められないときは、手術による治療が選択肢と
なります。

比率は少ないのですが、学童期側弯症患者のお子さんの中には、変形部位が強く
凝り固まったタイプの側弯症があります。このようなタイプの側弯症の場合は、
ブレースが効果を持たないため、ギプス固定が治療のスタートラインになります。
6週間から12週間ごとにギプスを変えて、少しづつ矯正位置にもっていくように
固定をするのです。ギプスは、石膏で型作り、手術室で全身麻酔下で行います。
こうすることで、お子さんは寝ているうちにギプス固定されるので、不快な思いを
できるだけ最小限にできるはずです。ギプス固定で矯正が得られたら、その後は、
引き続きブレースを装着して矯正位置を保持します。

手術治療については、幼児側弯症も学童期側弯症も方法は基本的に同じです。
変形した脊椎をできるだけ伸ばして、チタン製ロッドで固定することになります。
このとき、脊柱の幾つかは骨移植により骨癒合させることになります。一般的に
は、背中側からアプローチするので、背中に真っ直ぐな切開を行うことになりま
す。一方、内視鏡を用いた手術方法も開発されています。

(....訳者注 : 国内でも側弯症手術を内視鏡下で行っている施設はあります。
   詳細は、下記URLを参照下さい。
   昭和大学   http://hw001.gate01.com/hiraizumi/naishikyo/
関東労災病院 http://www.kantoh.rofuku.go.jp/hanasi/sokuwan.htm )

3~8歳のこどもに対する手術方法としては、「グローイングロッド」という
デバイスを使用する方法もあります。これは固定術ではなく、ある一定期間ごと
に、デバイスを延長させる方法となりますので、身長が伸びることをある程度は
許容してくれます。

手術方法の進歩により、患者は、手術の翌日から歩くことができ、一週間ほどで
退院できます。およそ四週間ほどで学校に戻ることになり、一年以内には、
通常の生活動作ができるようになります。ただし、ぶつかり合うような激しい
スポーツは推奨できません。

学童期側弯症に立ち向かうこと :
ブレースを装着する治療は、こどもにとって、そして親御さんにとっても、
チャレンジングな治療となります。一方、もしその必要があったとしても、
「手術」はできれば避けたいという気持ちになるものです。
しかし、調査によれば、手術による学童期側弯症治療は、一般的にはかなり
満足のいくものであることが示されています。
こどもは制限を受けることなく動き回り、日々遊び回って、スポーツを通じて
友達の輪を広げていきます。
遊びざかりの時期を、装具というチャレンジングな治療で制限する代わりに、
手術による治療を選択することで、お子さんに、自然で健康的なこども時代を
送らせて、次の成長期へ歩ませる、という選択肢もありえます。


思春期側弯症において :
ブレースによる装具療法の考え方は、幼児期、学童期と同じです。
40度を超える変形が進行するタイプでは、ブレース療法は効果を持たず、
さらに変形が進行するリスクの高い側弯症です。50度を超えた場合は、
手術治療が必要と言えます。

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姉妹Hp VEPTR COM JAPAN ( http://www.sokuwan.googlepages.com/home )

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1 コメント

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手術の種類について質問 (ジェイ)
2007-04-13 09:22:04
13歳の女子45度の側湾で手術を勧められています。
グローイングロットを勧められていますが 何度も手術をしなければならない事を考えると一度の手術で済ませたいと思います。身長の伸びが止まることを納得できれば グローイングロットを使用しなくても良いでしょうか。他に利点があるのでしょうか。
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