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中国-南京大学医学院 側彎遺伝子最先端研究 規模の差から見えてくるもの (从规模上的差异看)

2017-12-11 12:07:09 | 遺伝子研究
初回記載:2017年12月11日

中国-南京大学医学院 側彎遺伝子最先端研究 規模の差から見えてくるもの (从规模上的差异看)

国内においても、慶応大学、理化学研究所等において側弯症に関与する遺伝子研究が進められています。これは世界各国の脊椎外科医が、この原因不明の病気を治すために日夜努力していることのひとつです。原因として想定されている要因が多肢にわたるために、遺伝子解明のみで解決できるかどうかはまだわかりませんが、ひとつの方向性としては、「なぜ進行するカーブと進行しないカーブがあるのか?」ということの原因究明としては、非常に大きな意味を持つものです。これを解明することができれば、遺伝子検査をすることで、進行するカーブの遺伝子を持つ患者だけを装具療法あるいは手術治療をすればよく、その遺伝子を持たない患者さんについては、経過観察を継続すればよく、25°を超えたからといってもすぐに装具療法に入る必要はなくなるのですから。



引用文献
◇Nat Commun. 2015 Sep 22;6:8355.
Genome-wide association study identifies new susceptibility loci for adolescent idiopathic scoliosis in Chinese girls. Zhu Z,Tang NL, Xu L



To determine if there was any association between the novel associated SNPs and curve severity, we investigated a
subgroup of 632 patients with a mean Cobb angle of 37.2±9.4 (range 27–49). Of these, 214 patients received fusion surgery, and all other 418 who did not require surgical correction had been observed until skeletal maturity.


(comment by august03)
・特発性側弯症はとても複雑で難しい病気、ということをこのブログstep by stepの中で述べてきました。理由はいまだに不明ですが、なぜか同じような背景を持つ患者さんの中でも、「進行するカーブ」と「進行しないカーブ」が存在します。

・「進行するカーブ」の場合、装具をしても、その進行は止まりません。発見が早く、25°前後で装具療法に入ることができた場合は、進行を抑制して、手術をせずに骨成熟完了まで維持できる確率はおそらく30%前後と思われます。

・この「進行するカーブ」の場合、体操療法も効果はありません。 .......そもそも体操療法でリスクの高い思春期特発性側弯症患者が治癒した。という医学データは存在しません。

・「進行するカーブ」があるように、「進行しないカーブ」もあります。上記の南京大学医学院による遺伝子研究では、平均コブ角37.2±9.4°(27°から49°)の中度~重度の思春期特発性側弯症患者632人の遺伝子を調査しました。このうち、214人は最終的に脊柱固定手術を受けました。一方、418人 (66%) は手術をすることなく骨成熟完了まで維持することができました。

☞ビックデータという言葉を聞かない日はないほどに、「ビックデータ」の価値が注目されています。これは医学でも全く同じです。というよりも、医学・医療分野こそ、ビックデータの重要な分野はありません。 Schrothシュロス体操の文献を読みますと、たったひとりの患者で体操療法により40°のコブ角が20°に減少した、というような、いわゆる「1例報告 ( A case study)」というものが目立ちます。1例報告で何が得られるのか? 体操療法の場合は、その患者さんが非常に努力した。ということを示してはいますが、それ以上のものではありません。患者さん個人は褒められるべきであり、努力に拍手と祝福が送られるべきです。しかし、それはSchrothシュロス体操だから得られた結果ということを示しているものではありません。

もしSchrothシュロス体操が「思春期特発性側弯症患者のカーブを減少させる効果」があるのだとしたら、どうして「1例報告」なのでしょうか? どうして「100例報告」ではないのでしょうか?

1920年代から続けられている歴史のある療法です。すでに100年近い治療の歴史を持ちながら、いまだに正式な医学論文としての100例報告もありません。 

彼らの治療の歴史をたどるならば、そこには「改善できた症例」と「改善できなかった症例」が存在するはずです。なぜならば、特発性側弯症には「進行するカーブ」と「進行しないカーブ」があるのですから。 

もしSchrothシュロス体操であれ、民間療法の体操であれ、彼らが「できた例」と「できなかった例」の両方を示すのであれば、まだ少なからず、その施術者は信用できるでしょう。 

でも、彼らはそのような正直なことはしません。 というよりも、それは自分で自分の首を絞めることになりますから、絶対に「できなかった例」を示すことはありません。 

なぜならば、「できなかった」のはその子ども自身の努力が足りなかったのであって、「体操療法」自体の方法論には間違いはない、というのが、彼らのビジネスの大前提だからです。

ビックデータの存在しない治療法を用いて、患者さんとその両親に「治る」と宣伝するやり方は、まったく民間療法そのものです。

☞中国・南京大学医学院の研究に私august03は期待しています。中国14億人を背景として、大規模な患者数を背景として、最先端技術による研究が発表されたのは、あの世界的医学誌「nature」の1分野である「nature communication」です。この媒体の説明はリンクを貼りましたので、そちらを参考にして下さい。

☞なぜこの遺伝子研究に期待するかと言えば、日本人と中国人には人種間の近似性があるからです。そして、何よりも、その調査対象とする規模の大きさ、まさにビックデータによる事実の探求こそが、もっとも患者さんを治療する上での利益となるからです。

☞私は、同じ日本人として、民間療法者や、その民間療法者の特発性側弯症ビジネスモデルを模倣することしか考えない日本人がいることに悲しみを覚えます。彼らのやっていることはビジネスであって、患者さんを治療するという本筋からは大きく外れているのですから。

中国では、最先端医学による治療が研究され、一方、国内では、あいかわらず根拠のない民間療法者(及びその係累)が、日夜患者さんの治療に汗を流している整形・脊椎外科の先生がたに向かって「お前えらは患者を放置して何もしない」と、20年前と同じ言葉で患者さんがたを騙し続けているのですから.......

august03


☞august03は、メディカルドクターではありません。治療、治療方針等に関しまして、必ず主治医の先生とご相談してください。 医学文献の拙訳を提示しておりますが、詳細においてはミスが存在することも否定できません。もしこれらの内容で気になったことを主治医の先生に話された場合、先生からミスを指摘される可能性があることを前提として、先生とお話しされてください。
☞原因が特定できていない病気の場合、その治療法を巡っては「まったく矛盾」するような医学データや「相反する意見」が存在します。また病気は患者さん個々人の経験として、奇跡に近い事柄が起こりえることも事実として存在します。このブログの目指したいことは、奇跡を述べることではなく、一般的傾向がどこにあるか、ということを探しています。
☞原因不明の思春期特発性側弯症、「子どもの病気」に民間療法者が関与することは「危険」、治療はチームで対応する医療機関で実施されるべき。整体は自分で状況判断できる大人をビジネス対象とすることで良いのではありませんか?


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