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側弯症(側わん症/側湾症/そくわん)治療に関する資料と情報を発信するためのブログです

側弯症:発見から治療、経過予想図作成 - 参考として (脊椎アライメント良好、不良例付)

2017-11-10 15:32:04 | 側弯症手術について
初回記載:2017年11月10日

思春期特発性側弯症の発見-初回診察時コブ角から、その後辿るであろう経緯の予想図を参考までに作成してみました。これは、医学文献に提示されている経緯をできるだけ分かり易いように、視覚的に理解できることに努めたものです。それぞれのパターンの中での説明は不足もあるかと思いますが、状況については主治医の先生とご相談されて下さい。手術は、脊椎固定術に限らず、しなくて済むのでしたら、しないにこしたことはありません。身体にメスを入れる、ということは、無ければないに越したことはありません。理想は、コブ角がまだ小さいうちに発見されて、仮に装具療法になったとしても、コブ角の小さい状態で装具療法が終えられることです。しかし、現実にはそれが満たされているわけではありません。いまだにコブ角40°、50°、あるいは60°以上で初めて側弯症が発見される子どもさんもおられます。

august03は手術を推奨しているわけではありません。しかし、進行が進むカーブをそのままにしておくことで、どういうことがその人に生じるかはおわかりいただけていると思います。進めば進むほど、その手術も難しいものになっていきます。 手術は怖い、手術をすると後々たいへんな目にあう、だからやらない、とご自身が結論するとき、それもひとつの結論です。でも、その結論が間違った情報や、「側弯症は施術で治る、側弯体操で治る」「医者にいっても治らない」「手術しなくても治る」「手術するとたいへんな目にあう」というような宣伝から導かれたものだとしたら、それは正しい結論と言えるのでしょうか?


予想図は、5枚に分割したものを下記に掲示しました。多少、視認性の悪い部分もあるかもしれませんが、ご了承ください。 また、手術に当たっての私見も加えさせていただいております。あくまでも私見ですが、手術全般において言われていることですので、大きくは間違ってはいないと思います。 また脊椎手術は、「固定」するだけで完了するものではなく、ヒトとして本来有するアライメントを再現しなければなりません。それが再現できない場合、術後に患者さんにとっては腰痛、不定愁訴などなどの手術に伴うトラブルの原因となりうることです。 術後の良好なアライメントのとれているレントゲン写真と、不良例も提示しましたので、これも見ていただけば、august03の言わんとしていることの内容はご理解していただけると思います。アライメントを適確に再建するには、大きくふたつの要素が関係すると考えます。ひとつは医師の経験、知識、技術面。そしてもうひとつが、患者の脊柱変形の状態です。これもひとつの参考として、主治医の先生と話し合われてはいかがでしょうか



◇図内に記載した手術に伴うリスクは下記のとおりです。先生がたが述べられることと大きくはズレてはいないと思いますが、このようなことが想定されるという予備知識として持っていただいて、主治医の先生と「手術」について納得のいくまで話し合われて欲しいと思います。

・手術一般のこととして、リスクはある
・手術に伴うリスクは増大
・術前と比較してカーブが減る矯正率はコブ角が大きければ大きいほど戻りは良くはならない
・リプハンプの回復も同様
・術後のコブ角が大きければ大きい程、後々の不満足(例:外観、隣接椎間変性による痛み、腰椎)の度合いも高くなる。
☞脊椎の本来のアライメントの獲得が術後のアウトカムに影響します
・固定範囲が長くなればなるほど術後の動き、生活動作への影響も大きくなる
・固定範囲が長くなればなるほど術中・術後の不具合のリスクは高くなる
・リスクが高い手術ほど、術後の不満足(例:手術部位の痛み、腰痛、不定愁訴)も多くなる
・リスクが高い手術ほど、再手術の場合のリスクも高くなる
 
また患者さんの立場として、確認しておいたほうが良いと思う事項として下記を記しました

・(手術件数の多い) (有名な先生のいる)側弯症専門病院で診てもらう
・気になること、質問はメモにして聞き取りを行い、納得ができたら手術を受ける
・過去の合併症、不具合の内容とその発生率を質問する(手術するかどうか納得を得る為の情報として)
・(系列の異なる先生の)セカンドオピニオンも得たほうが良い
・術中脊椎モニタリングが「(麻酔科、看護師、検査部も含めた)チーム」として実施されているかを確認する。(チームとして連携がとれていれば、術中にもしもトラブルがあっても直ちに対処可能。怖いのは、発見が遅れること)




ブログ内の関連トピックスも参考にされて下さい。カテゴリー「側弯症手術について」より

 「中程度の側わん症の場合の手術決断について」
 「手術するかどうかについて」
 「脊椎手術後のレントゲン写真を見て手術をためらう気持ち
 「手術をするならいつが良いか (私見)」
 「
側弯症手術は誰のため ? 決めるのは「あなた」です」



全体図




装具療法を終えた時点でのコブ角の大きさが、その後の生活に及ぼす影響を簡略図にしてみました


装具療法を終えた時点でのコブ角の大きさが、その後の生活に及ぼす影響を簡略図にしてみました
コブ角が大きいほど、将来手術になる可能性もありうるということを視覚化してみたものです




アライメント良好例


アライメント不良例


アライメント不良例


アライメント不良例




☞august03は、メディカルドクターではありません。治療、治療方針等に関しまして、必ず主治医の先生とご相談してください。
 医学文献の拙訳を提示しておりますが、詳細においてはミスが存在することも否定できません。もしこれらの内容で気になったことを主治医の先生に話された場合、先生からミスを指摘される可能性があることを前提として、先生とお話しされてください。
☞原因が特定できていない病気の場合、その治療法を巡っては「まったく矛盾」するような医学データや「相反する意見」が存在します。また病気は患者さん個々人の経験として、奇跡に近い事柄が起こりえることも事実として存在します。このブログの目指したいことは、奇跡を述べることではなく、一般的傾向がどこにあるか、ということを探しています。
☞原因不明の思春期特発性側弯症、「子どもの病気」に民間療法者が関与することは「危険」、治療はチームで対応する医療機関で実施されるべき。整体は自分で状況判断できる大人をビジネス対象とすることで良いのではありませんか?

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