~step by step~[ 側弯症ライブラリー]患者の皆さんへ

側弯症(側わん症/側湾症/そくわん)治療に関する資料と情報を発信するためのブログです

道のりは長く遠いけれど  (患者会講演会を聴講して)

2010-06-13 23:30:30 | VEPTR COM JAPAN
どなたの言葉でしたでしょうか、「私の前に道はない、私の後に道はできる」
まさに、患者会は何もないところに道を切り開いていく活動です。多くの方が
参加することが「患者さんがた」の様々な環境を向上させていく力になります。
と、同時に、多くの方々が参加することで生まれるすれ違いや誤解、感情や意見の
差というものも発生してくるでしょう。側弯症という病気で悩んでいる患者さん
ご自身としての気持ち、病気のお子さんを持つお母さんとしての気持ち、家族の
気持ち、兄弟姉妹の気持ち、様々な「思い」がめぐる世界が今後どんどんと発生
してくると思います。人には善意があります。善意ゆえに誰かのために尽くそうと
いう気持ちも生まれます。と、同時に「善意」は「善意」とぶつかります。私の
善意は、誰からでも受け入れられるわけではなく、皆さんの善意が私とぶつかる
こともあります。ときに、善意というものは、悪意よりも厄介な種になることも
あります。

どうか、そういう壁をひとつずつ乗り越えて、前進していってください。
いいえ、立ち止まってもいいと思います。無理をすることは禁物です。少しづつ
でいいんです。少しづつ一歩づつ、昨日よりは今日、去年よりは今年、何かが
生まれていくことが、きっとこの病気に悩み苦しんでいる患者の方々、お母さん
お父さん、ご家族、兄弟姉妹の皆さんの環境を変える力になると思います。

顔と顔が見える関係で話ができること、表情にあらわれる機微、声に現れる気持ち
そういうものを通じてこそ、いままでは知り得なかった新しい感情や知識、情報
が正しく伝わると思います。一度会って話をしたことのある方とは、その後は
メールでも「気持ち」を正しく伝えることができるようになります。
人が人として支え合える、その原点はやはり、お互いを知り合うこと、そこから
生まれると思います。

そこに「患者会」の持つ最大のメリットがあると思うのです。

いま皆さんは、患者同士が支え合うこと、その為に、側弯症専門の先生に支えて
いただこうと考えていると思います。でも、やがて気付かれるときがくると
思いますが、先生がたは皆さんに支えられてこそ日々の診療への力ともなり、
そして皆さんが先生を支えられる存在になりえることが、この日本の側弯症を
とりまく医療環境を変える力になるのです。どうか、このことを忘れないでいて
欲しいと願います。

そして、患者のみなさん、お母さん、お父さんへのお願いとして、ひとこと
言わせてください。
いまは、きっと五里霧中のなかで、この病気に関する知識と情報を集められるのに
必死になられていると思います。知識をえること、情報を得る事は病気と闘う
ための第一歩です。わからないことだらけで最初はたいへんだと思いますが、
くじけないで、少しづつ理解を深める努力を惜しまないでください。
お母さんは、自分を責めないでください。お母さんが悪いのではありません。
お父さんが悪いのでもありません。皆さんは何か「悪いこと」をしたから、
お子さんが病気になったのではありません。何も悪い事などはしていないのです
この病気と向き合うときの第一歩は、そういう意味のない罪悪感から抜け出て
ともかく、ご自分等に何ができるかを考えてください。
お子さんは、ご両親が仲違いすることが一番見たくないこと、聞きたくないこと
なのです。それが自分の病気に原因があるとしたら、こどもは「自分の存在」を
否定するしかなくなります。自分が生まれてこなければよかったのか??

どうかお子さんをそういう思いに追い込むようなことのないように、
そして、その第一歩が、ご両親自身が自分たちを非難しないこと、否定しない
ことです。

患者会の会報のアンケートのひとつに、次のようなものがありました。

 •いじめ、偏見を受ける
 •本人が精神的に不安定
 •兄弟が精神的に不安定
 •家族の意見があわない

日本の社会環境はまだまだ未熟です。人のこころがまだまだ未熟です。
見て見ぬフリ、そうかと思えば異質なものを排除することに異常なまでに力を
注ぐやからもいます。おもしろおかしくはやし立てる馬鹿がいます。
でも、こういう社会とか、精神的な面については側弯症の先生がたにとっても
手助けしてあげたくとも、できない次元のできごとなのです。
患者さんをとりまく環境、精神環境をいまよりももっと優しいものにしていく
ためには、誰かに助けてもらうこと以上に、皆さんご自身が強くなることが
必要です。そのために、いまは患者さん同士の繋がりを求めることで得られる
ものがあるはずです。人はひとりでは生きられません。いまは助けが必要な方は
大きな声でヘルプと叫べはいいと思います。ひとりで悩まずに、誰か助けて下さい
と叫んで下さい。

きっと、誰かが助けてくれます。
そして、そのひとつの道しるべが「患者会」にはあると思います。

いまの苦しみから抜け出ることができた患者さんは、お母さんは、お父さんは
どうか、次は、誰か苦しんでいる方に手を差し伸べる役にまわってください。
病気を治療するのは、医師の役目です。でも、医師の役目にも限界があります。
皆さんの心の苦しみ、辛さ、患者さんの悩み、そういう世界には踏み込めませんし
またそういうことの解決策までを医師に求めることは、現実の世界のこととして
してはいけませんし、それ以上は過剰な要求というものです。

そして、それらの受け皿になるもの、それが「患者さん同士の交流」であり
「お母さんどうしの交流」というものなのではないかと思います。

皆さんはひとりで闘っているのではありません。
皆さんを支えてくれる仲間がいます。
そして、皆さん自身が、その仲間を救うことができるのです。

道のりは長く、辛いものですが、逃げずに向き合えば、必ず道は開けます
ご自分の持つ力を信じて下さい
人生は、決して辛いことばかりではありません
しっかりと向き合えば、必ず道は開けます

august03
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