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側弯症(側わん症/側湾症/そくわん)治療に関する資料と情報を発信するためのブログです

骨移植について Part 2 : 痛みについて

2009-04-23 23:39:07 | 側弯症手術について
 脊柱固定術あるいは骨移植の為の手術に限らず、「痛み」というもの全般について
少しお話をさせていただきたいと思います。
これは医学(科学)の話なのですが、内容は実に観念的なものにならざるえないことを
最初に記しておきたいと思います。

 血圧は血圧計で測定できます。血圧が高いとか低いとか、数値にもとづいて判断が
可能です。その数値は、AさんとBさんとを比較することも可能です。尿を検査する
ことでも様々な生理学的な現象を測定し、その数値にもとづいてなんらかの病気の
危険性があるとか、治療が必要だ。というような判断ができます。現代医学は、まさ
にありとあらゆる検査機器を開発し用いることで、ヒトの健康(あるいは病気)を測定
し、治療に役立てることが可能となりました。

ところで、「痛み」測定機器というものを見たり、聞かれたことはおありでしょうか?
痛み測定機器?? こうしてあらためて質問されて初めて気付かれると思うのですが
「痛み」を客観的に測定する医療機器(検査機器)というものはありません。
でも、多くの病気で患者さんを苦しめるのは「痛み」です。ある意味で病気の治療
とは患者さんの痛みを取り除いてあげるためのもの、ということも言えます。

前回の「骨移植について Part 1」のなかで、私は骨移植をすることで採取した部位
に痛みを訴える患者さんが何パーセントか発生することを述べました。
書き終わった後で気付いたのですが、「痛み」とだけ書きますと、読み手の皆さん
は様々な想像をされることになります。ある方は、なんだかとても痛いそうだ、と
思われたかもしれません。ある方は、どの程度の痛みなんだろう、なんだか嫌だな
という感覚をもたれたかたもいるかと思います。そういうことが想定されましたので
今回はここで「痛み」についてもう少し説明をしたほうがいいだろうと考えました。

ただ上記に記しましたように、痛みには「客観的数値」というものが存在しない為
に、骨移植にともなう「痛み」というのは、5という数値ですとか、10という数値
です。というような説明が一切できません。
痛みとは、個人ひとりひとりの個別の「感覚知」ですので、外からは見えませんし
他人(医師にも、看護師さんにも、親にも、誰にも)には、「あなた」の痛みがどの
程度であるかということは判断はできないのです。
ただひとつだけ客観的事実として存在するのが、採骨する前までは痛くなかった
部分に「痛み」を覚える人がいる、ということなのです。その痛みも、同じ採骨の
措置をしているのですが、ある方は、薬を服用しなくてもよい程度の痛みであり
ある人は薬を服用しないと我慢できないが服用すると消えるという程度の痛みで
あったり、ある人は、薬を服用してもなんだかなかなか良くならないという程度の
痛みの場合もあるかもしれません。......激痛とか、というたぐいではないのですが。

いわば健康体でなにも傷のなかったところに、傷を作るわけですから、痛みが発生
するのはいたしかたないこととも言えるのですが.......でもできればそのような
煩わしい目には会いたくないというのも人の心情です。

こうして書き連ねてみても、何も解決にはならないのですが、どのような事実が
存在するのか、ということだけは知っておいていただいたほうがよいと考えて
記してみました。

追記--- 患者さんが自分で自分の感じている痛みを表記する方法は存在します。
    VAS(バスとよばれます) Visial analogu scale(ビジアルアナログスケール)
    というものなのですが、これは記入用紙の上に 横棒が一本引いてあり
    右端が 痛みゼロ、左端が“想像される最大の痛み”というような感じの
    説明が書かれていて、患者さんはそのゼロと最大を目安として、ご自身が
    その線上のどのあたりの痛みかをマークします。

    測定者(医師、研究者等)はそのマークの位置が右端から何センチかを測定
    して、数値化して、データ処理に用います。

    こういうことをくり返すことで、その患者さんの術前の痛み、術後の痛み
    を比較したり、ある手術に100人の患者さんが同じ手術を受けたとして
    その患者さん方の痛みの程度の傾向を把握しよう。というようなことは
    実施されてはいます。
   
    そういう意味では、たとえば、採骨にともなう痛みはおおよそ 5 程度
    でしたと、調査研究論文としては成立するのですが、.....
    でも、結局は、この文章を読んでいる皆さんにとっては 5ってどんな
    痛みなの ? ということには回答できていないのです。

    そういうものが「痛み」というものの性質だ。という意味で冒頭に述べ
    ましたように、観念的な話になってしまいます。

 (august03)

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