ついこの間まで、雪と悪戦苦闘していたのが、まるで、嘘のように、穏やかなたたずまいを見せて、陸上競技場は、静まり返っています。
聞えるのは、水圧洗浄作業で使用している水が、排水溝に流れ落ちる音だけです。
それでも、気がつくと、メインスタンドの大屋根の下からは、小さな渡り鳥か何かの、のどかな鳴き声もしています。
風も少しは吹いています。
日射しに暖かさも感じられます。
青い空には、飛行機雲の白い線が、ぐんぐんと伸び、そして、過ぎ去った端から、少しずつ、薄れていきます。
春、うらら。
陸上競技場を埋め尽くし、白魔の様相を呈していた、あの雪は、今となっては、本当に、何なのだったのでしょう、どこに消えたのでしょう。
あっけらかんと、広がっている、競技場には、もう、雪の面影はなく、けれでも、どこからか、雪の降りしきる中、黙々とピッチを除雪する、ボランティアの皆さんの群像が、静かな幻影になって、ほのかに、浮かび上がってくるような、そんな気もする、やわらかい、春の兆しの日和です。
白いネットを風に揺らして、サッカーゴールが、静かに、ピッチに佇んでいます。
陸上競技場
水圧洗浄ポンプ
サッカーゴール