また少し間が空いてしまいましたが、新婚旅行記の続きです。
南仏にサント・マリー・ド・ラ・メールという小さな街があります。日本語で「海の聖マリアたち」の意味を持つこの街には、紀元40年ごろ、聖母マリアの妹マリア・ヤコベ、使徒ヤコブとヨハネの母マリア・サロメ、マグダラのマリアが他のキリスト教徒と共にこの地にやってきたという伝説があります。キリストの処刑後に、ユダヤ人たちによって帆も櫂もない船に乗せられて海に流され、ここへ流れ着いたのだそうで、この街の教会やアルルの博物館でその様を描いた絵を見ることができます。マリア・サロメとマリア・ヤコベはこの地に留まりましたが、マグダラのマリアはサント・ボームの洞窟へ行き、そこで余生を過ごしたとされています。
サント・マリーには'09年の留学中にも行ったのですが、サント・ボームにはどうやって行けば良いのかわからず行くことが叶いませんでした。一般的なガイドブックにはまず載っていませんし、ネットで行き方を調べても、車で行ったとか連れて行ってもらったというのが多く、マルセイユやエクスから麓の村までバスが出ているということはわかっても詳細は謎、ツアーがあるとかないとか埒が開かず…必要な情報だけを取り出すのにひと苦労する、これが私がインターネットでの調べものを苦手とする所以なのです。
しかし帰国後、偶然知人宅でキリストの弟子たちのその後を特集したナショナル・ジオグラフィックを目にし、そこへサント・ボームの記述があるのを見て、再び行きたい熱が湧き上がってきました。バスの乗り方とか、わからないことはもう現地で聞けばいいや!!と(笑)
というわけで3/19(火)、大冒険の幕開けです。まず、バスの乗り方を聞きにエクスの観光案内所へ行きました。朝、観光案内所が開く時間ジャストにです。サント・ボームへ行きたいという問い合わせはよくあるようで、すぐバスの時刻表を出してくれました…が!!
朝イチのバスはもう出てしまい、次のバスはお昼しかないことが判明せめて前日に観光案内所へ行けていればと思うも時既に遅し。泣く泣くタクシーでサント・ボームの麓の村、サン・マキシマンへと向かいました。
サン・マキシマンのバジリカ聖堂。ここにマグダラのマリアの頭蓋骨があります。
教会に隣接する市庁舎。この裏に観光案内所の入り口があります。
聖堂内部。
この階段を下りていった先で、マグダラのマリアに会えます。
これがマグダラのマリアの頭蓋骨。1200年代に発見されたそうです。保護ガラスが邪魔をしてよく見えませんが、教会の売店にリアルなポストカードがあります(笑)マグダラの聖日には、彼女の頭蓋骨を掲げて行進が行われるそうです。
観光案内所入口。ここで山登り用の地図などがもらえます。サンティアゴ巡礼中らしき、ホタテ貝を首からぶら下げたおじさんとすれ違いました。
桜かと思ったけど、近付いてみると実が。アーモンドでしょうか?
マグダラのマリアが晩年を過ごしたサント・ボーム山の麓まではタクシーを使うしかないようです。タクシー乗り場へやってきましたが、タクシーは一台も止まっていません。どうやら電話で呼び出さないと来てくれないようです。フランス語での電話が不安だったので、近くの雑貨屋さんの方に頼んでタクシーを呼んで頂きました。
タクシーの運転手さんは親切なマダムでした。麓へ向かう間ずっと英語でサント・ボームの説明をして下さいました。
麓到着。山の頂上に見える小さな建物が、「サン・ピロン」というチャペルです。
3時間半後くらいに麓へ迎えにきてもらうように約束をして、山登り開始。
しばらく平坦な道が続きます。
泉が湧いていました。ルルドのようにご利益があるかどうかはわかりませんが記念に持ち帰ってみました(笑)
だんだん上り坂になってきました。
かわいらしいクロッカスが咲いています。
先のナショナルジオグラフィックには「冬の厳しさは格別で、洞窟まで登ってくる人はほとんどいない」と書いてあったので、3月も寒いだろうと覚悟してそれ相応の服装で行きましたが…暑い!!半袖でも良いとまではいかないかもしれませんが、途中で耐えきれなくなってダウンジャケットを脱ぎました。ちなみにこの翌日に訪れたサント・マリー・ド・ラ・メールも同様に暑く、拍子抜けしてしまいました。寒い時期にしか旅行の時間が取れないなら、南の方がおススメかもしれません。
頂上到着!!
石造りの質素なチャペルの中には、マグダラのマリアの像が。
頂上から、先ほどタクシーで降ろしてもらった辺りが見えます。随分高いところまで来たものです。
現在は洞窟だけを目的に訪問する人は少ないようです。むしろその自然環境の素晴らしさからでしょう、頂上には遠足らしき小学生たちや、ハイキングの方々が大勢いました。確かに、ちょっとした運動にも良い山だと思います。
マグダラのマリアが住んでいた洞窟を探して、岩肌とちょぼちょぼとした高山植物の続く道をしばらく迷子になる
しかしいつまでたっても洞窟が見当たらないのでこれは違うぞと引き返し、ハイキング中の方々に道を聞いたところ、何と洞窟の近くまで連れて行ってくださいました。留学中にもそう感じましたが、フランス人は親切にする時はとことん!!親切にしてくれる人が多い気がします。
先ほどの泉の近くに「GROTTE」という矢印を発見しました。もっと目立つようにしてくれればいいのに……。
洞窟へと続く階段。緑色の十字架が何本も立っています。
入口にはゴルゴダの丘が再現されています。
何と、全部全休符!!このセンスには脱帽です……
ちなみに私たちが着いた時、聖堂周辺には誰もいませんでした。やはり巡礼目的で来る人は少ないのでしょうね。
聖堂内は洞窟になっていて、神秘的な雰囲気に満ちていました。また、マグダラのマリアの生涯を描いたステンドグラスがありました。この次にまとめて写真をアップします。
中央祭壇。
瞑想するマグダラのマリア。視線の先には星が…一体何を象徴しているのでしょうか?
階段を下りて行った先にはまたしても泉が湧いていました。これも何の象徴なのか気になるところです。
暗くて見えづらいですが…。
フランスにはこのような興味深い伝説や奇跡譚のある地が、他にも沢山あります。それらが本当であるかどうかはともかく、そういった地が人々の心の癒しに繋がっていることは間違いないことだと思います。旅の間親切な方々にも巡り合え、心温まる思いでバス停に到着し、エクスへ戻るバスへと乗り込みました
南仏にサント・マリー・ド・ラ・メールという小さな街があります。日本語で「海の聖マリアたち」の意味を持つこの街には、紀元40年ごろ、聖母マリアの妹マリア・ヤコベ、使徒ヤコブとヨハネの母マリア・サロメ、マグダラのマリアが他のキリスト教徒と共にこの地にやってきたという伝説があります。キリストの処刑後に、ユダヤ人たちによって帆も櫂もない船に乗せられて海に流され、ここへ流れ着いたのだそうで、この街の教会やアルルの博物館でその様を描いた絵を見ることができます。マリア・サロメとマリア・ヤコベはこの地に留まりましたが、マグダラのマリアはサント・ボームの洞窟へ行き、そこで余生を過ごしたとされています。
サント・マリーには'09年の留学中にも行ったのですが、サント・ボームにはどうやって行けば良いのかわからず行くことが叶いませんでした。一般的なガイドブックにはまず載っていませんし、ネットで行き方を調べても、車で行ったとか連れて行ってもらったというのが多く、マルセイユやエクスから麓の村までバスが出ているということはわかっても詳細は謎、ツアーがあるとかないとか埒が開かず…必要な情報だけを取り出すのにひと苦労する、これが私がインターネットでの調べものを苦手とする所以なのです。
しかし帰国後、偶然知人宅でキリストの弟子たちのその後を特集したナショナル・ジオグラフィックを目にし、そこへサント・ボームの記述があるのを見て、再び行きたい熱が湧き上がってきました。バスの乗り方とか、わからないことはもう現地で聞けばいいや!!と(笑)
というわけで3/19(火)、大冒険の幕開けです。まず、バスの乗り方を聞きにエクスの観光案内所へ行きました。朝、観光案内所が開く時間ジャストにです。サント・ボームへ行きたいという問い合わせはよくあるようで、すぐバスの時刻表を出してくれました…が!!
朝イチのバスはもう出てしまい、次のバスはお昼しかないことが判明せめて前日に観光案内所へ行けていればと思うも時既に遅し。泣く泣くタクシーでサント・ボームの麓の村、サン・マキシマンへと向かいました。
サン・マキシマンのバジリカ聖堂。ここにマグダラのマリアの頭蓋骨があります。
教会に隣接する市庁舎。この裏に観光案内所の入り口があります。
聖堂内部。
この階段を下りていった先で、マグダラのマリアに会えます。
これがマグダラのマリアの頭蓋骨。1200年代に発見されたそうです。保護ガラスが邪魔をしてよく見えませんが、教会の売店にリアルなポストカードがあります(笑)マグダラの聖日には、彼女の頭蓋骨を掲げて行進が行われるそうです。
観光案内所入口。ここで山登り用の地図などがもらえます。サンティアゴ巡礼中らしき、ホタテ貝を首からぶら下げたおじさんとすれ違いました。
桜かと思ったけど、近付いてみると実が。アーモンドでしょうか?
マグダラのマリアが晩年を過ごしたサント・ボーム山の麓まではタクシーを使うしかないようです。タクシー乗り場へやってきましたが、タクシーは一台も止まっていません。どうやら電話で呼び出さないと来てくれないようです。フランス語での電話が不安だったので、近くの雑貨屋さんの方に頼んでタクシーを呼んで頂きました。
タクシーの運転手さんは親切なマダムでした。麓へ向かう間ずっと英語でサント・ボームの説明をして下さいました。
麓到着。山の頂上に見える小さな建物が、「サン・ピロン」というチャペルです。
3時間半後くらいに麓へ迎えにきてもらうように約束をして、山登り開始。
しばらく平坦な道が続きます。
泉が湧いていました。ルルドのようにご利益があるかどうかはわかりませんが記念に持ち帰ってみました(笑)
だんだん上り坂になってきました。
かわいらしいクロッカスが咲いています。
先のナショナルジオグラフィックには「冬の厳しさは格別で、洞窟まで登ってくる人はほとんどいない」と書いてあったので、3月も寒いだろうと覚悟してそれ相応の服装で行きましたが…暑い!!半袖でも良いとまではいかないかもしれませんが、途中で耐えきれなくなってダウンジャケットを脱ぎました。ちなみにこの翌日に訪れたサント・マリー・ド・ラ・メールも同様に暑く、拍子抜けしてしまいました。寒い時期にしか旅行の時間が取れないなら、南の方がおススメかもしれません。
頂上到着!!
石造りの質素なチャペルの中には、マグダラのマリアの像が。
頂上から、先ほどタクシーで降ろしてもらった辺りが見えます。随分高いところまで来たものです。
現在は洞窟だけを目的に訪問する人は少ないようです。むしろその自然環境の素晴らしさからでしょう、頂上には遠足らしき小学生たちや、ハイキングの方々が大勢いました。確かに、ちょっとした運動にも良い山だと思います。
マグダラのマリアが住んでいた洞窟を探して、岩肌とちょぼちょぼとした高山植物の続く道をしばらく迷子になる
しかしいつまでたっても洞窟が見当たらないのでこれは違うぞと引き返し、ハイキング中の方々に道を聞いたところ、何と洞窟の近くまで連れて行ってくださいました。留学中にもそう感じましたが、フランス人は親切にする時はとことん!!親切にしてくれる人が多い気がします。
先ほどの泉の近くに「GROTTE」という矢印を発見しました。もっと目立つようにしてくれればいいのに……。
洞窟へと続く階段。緑色の十字架が何本も立っています。
入口にはゴルゴダの丘が再現されています。
何と、全部全休符!!このセンスには脱帽です……
ちなみに私たちが着いた時、聖堂周辺には誰もいませんでした。やはり巡礼目的で来る人は少ないのでしょうね。
聖堂内は洞窟になっていて、神秘的な雰囲気に満ちていました。また、マグダラのマリアの生涯を描いたステンドグラスがありました。この次にまとめて写真をアップします。
中央祭壇。
瞑想するマグダラのマリア。視線の先には星が…一体何を象徴しているのでしょうか?
階段を下りて行った先にはまたしても泉が湧いていました。これも何の象徴なのか気になるところです。
暗くて見えづらいですが…。
フランスにはこのような興味深い伝説や奇跡譚のある地が、他にも沢山あります。それらが本当であるかどうかはともかく、そういった地が人々の心の癒しに繋がっていることは間違いないことだと思います。旅の間親切な方々にも巡り合え、心温まる思いでバス停に到着し、エクスへ戻るバスへと乗り込みました