昨日国分寺のデパートに行きまして、用事を済ませて帰ろうとエレベーターに乗り込みました。
そのエレベーターはほぼ満員で、僕はなんとか真ん中あたりに入り込みました。
すると僕の後の方からクスクス笑い声が聞こえてきました。
なんだろうと思っていたのですがどうやら僕のことで盛り上がっているようでした。
外国人の方がカタコトの日本語で「チョウチョチョウチョ」と言うのです。
何だろうと思い、振り向くとその外国人男性が「アナタノセナカニシロイチョウチョツイテル。アナタノコトダイスキネ」と言うのです。
あまりにも可笑しそうに満面の笑顔でそれを言うので僕も「ではこのまま家まで連れて帰ります」と精一杯のコメントを返してエレベーターを出て外国人男性と別れました。
駐めておいたバイクのところにたどり着き、ミラーで背中を確かめてみるとそこに確かに白いチョウチョがついていました。
可愛らしいなと感じましたが、このままチョウを他の町に連れて行くのも何となく嫌だったのでソフトに振り払おうとしましたがチョウは飛んで行きませんでした。
ソフトタッチの範囲内で何とか飛んでいくように手を尽くしましたが全く飛んでいく気配を見せず、チョウはむしろ僕の顔の方に近付いてきます。
観念した僕はまぁ気の済むまでついておいでとばかりにバイクを走らせました。
そのうち風で飛んでいくだろうと思いバイクを走らせました。
そして道の途中、白いチョウはいなくなりました。
良かったと思いつつも、なんだか寂しい複雑な気持ちにもなりました。
しかし帰宅してバイクを降りたら、なんとその白いチョウは僕のズボンのところにしがみついていました。
嬉しくなった僕はおお無事だったかと内心ホッとしてチョウをソフトに触れようとしました。
すると、その白いチョウはまさに今、死を迎える最期の苦しみを耐えぬいている、震えた最期のあがいている姿を見せました。
とっさにしっかりしろと脳内でつぶやいた瞬間、白いチョウは死んでしまいました。
今思うとあの満員のエレベーターに乗らなかったら、
後ろにあの外国人男性がいなかったらこのチョウのことは何も知らずに1日を終えていたのに、と思います。
まるで気付いてもらうためにあの国分寺のデパートのエレベーターに乗らされたような気分。
何だか不思議な日でした。