掃除屋の仕事は
決められた場所の中に落ちている物を
拾ってきれいにすること
煙草の吸いがら
枯れて散らばった葉っぱ
もう読まれることのない雑誌
決められた場所をきれいにする
と、そこに
動かなくなった虫が転がっている
掃除屋は悩んだが拾わなかった
これはまた他の虫のご飯になるから
と思ったから
しかし
この悩ましい選択はおれがやるべき仕事じゃない、と掃除屋はふと思う
「神よ、
おれはどこからどこまできれいにするべきなんだ?」
と掃除屋はなんとなく上を向いて聞いた
しかし
これでは掃除屋は一生を掃除に捧げる、
そんな表明をしてしまったようなものだ
(僕はこれまでに
こんな表明ばかりしている気がする)