Vばら 

ある少女漫画を元に、エッセーと創作を書きました。原作者様および出版社とは一切関係はありません。

続・王宮馬車博物館

2016-05-15 12:30:11 | つぶやき

 ヴェルサイユ王宮馬車博物館について、もう少し詳しく書かせていただきます。

 ヴェルサイユ宮殿の敷地内にある王宮馬車博物館は、9年間の修復期間を終え、今年5月10日からリニューアル・オープンした。17世紀からの馬車、そり、子ども用馬車などが展示されている。

↓ これが王宮馬車博物館正面

↓ 前回の記事で「ナポレオン時代の馬車」と書いた下の写真。実はこれナポレオンよりも前の、シャルル10世の治世期である1825年5月29日の戴冠式で使用されたもの。8頭立ての馬車で4トン。もちろん当時はNの字や鷹の紋章はなく、代わりにシャルルの頭文字であるCと、ブルボン家の象徴であるユリの花の飾りがあったとのこと。シャルル10世の戴冠式で使用された後は、ナポレオン3世の息子の洗礼式で用いられ、その時にボナパルト家用に改造された。

↓ これは細部。古代神話の神々に守られながら、馬車は進む。なぜこれほどまで豪華に馬車を飾り立てたのか?馬車部門の責任者であるHelene Delalexさんは次のように語っている。「馬車は野外つまり多くの人の目に触れる部分で使用される。だから王侯貴族たちにとって単なる乗り物以上に、自分の権威をこれみよがしに見せびらかすことのできる絶好のシンボルとなった。シャルル10世の戴冠式用馬車を作るにあたり、当時最高の技術者が集められた。」

 金メッキした彫刻、スライドする窓ガラス、革に刺繍を施した折りたたみ式階段、内装はベルベットの生地に金糸で刺繍を施したり、本革がふんだんに使われている。

 シャルル10世は1830年に退位させられたが、ナポレオン3世はこの馬車を1870年まで使用した。

↓ ナポレオン1世の結婚式に使用された馬車

↓ この写真を見た時「手前右側の小さい守衛ブースみたいなものは何だろう?」とずっと疑問に思っていた。これはヴェルサイユ内を移動する時に用いたもの。昔の日本でいえば駕籠(かご)?いちいち馬に繋がず、近衛兵たちが王族をお運びしていた。アントワネットがプチ・トリアノンに行く時は、この駕籠の先頭にオスカルが馬にまたがって誘導していたかもしれない。

↓ ルイ18世の棺を運んだ馬車。チュイルリー宮殿のチャペルから、サン・ドニ教会に埋葬するために使用した。ルイ16世やアントワネットがもしギロチンで処刑されていなければ、このように手厚く葬ってもらえたかもしれない。

 今回馬車博物館をリニューアルオープンした理由の1つは、鏡の間などがある本館への観光客の混雑緩和を考えてのこと。馬車博物館を開館することで、観光客が多少なりとも分散することを狙った様子。今後ヴェルサイユ宮殿を観光する予定のある方は、ぜひこちらも訪れてみてはいかがでしょう?

 読んでくださり、ありがとうございます。



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