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遊びをせんとや

人生総決算!のつもりで過去・現在のことなどを書きます
といっても肩肘はらずに 楽しく面白く書きたいと思います

明治・大正の作家たち~跳んでいる女性たち・その1 伊藤野枝

2023年06月24日 | 読書


クチナシ 撮影日:2015/07/04


今日から「跳んでいる女性たち」をテーマにした。
のはいいのだが、調べる範囲が拡大する一方で、弱っている。
でも、最初は「伊藤野枝」という女性に決めている。


伊藤野枝(いとうのえ)1895(明治28)-1923(大正12)
作家、翻訳家、編集者、婦人解放運動家、無政府主義者

まずは青空文庫で彼女の作品を読んでみよう。
3人の男たちが、ボロクソに書かれていて、読むと面白い。筆が立つ女性。

真っ先に書かれているのが「森田草平」。
漱石の十弟子の一人だが、奇行が多く皆もあまり相手にしなかったらしい。
「平塚らいてふ」と心中未遂事件を起こした人物である。
津田清楓の画を見ても、ひとり輪からはみ出している。



野枝の文章から引用する。
~ボワツとしたしまりのない大きな体躯、しまりのない唇・・・、「力」を抜かれたやうなどうにか人間の形にまとまつたと云ふやうなキリツとした処の少しもない体は、低能の人にしか見えません。~

2番目は西村陽吉という人で、出版社・書店の経営者。
これも野枝の文章から引用。
~西村は、理外の念を離れては何にもない人。(江戸っ子を気取っているが)江戸ツ子らしいスツキリしたところがない。商売上手な勘定高くて他の気持にさぐりを入れて話をする上方(かみがた)者。~

最後は岩野泡鳴、教科書にも出て来た有名人だ。
が、野枝の筆?ペン?にかかると、一刀両断である。
~たゞ単純な、えらがり屋~

伊藤野枝の観察眼の鋭さや的確さは、Tに教えられたところが大きい。
「成長が生んだ私の恋愛破綻」で彼女はそう述懐している。
そしてOと出会い、Tと別れてOと共に暮らす。

Tはダダイストの辻潤、Oはアナーキストの大杉栄である。
無論、野枝がこれを書いた時には、
Oと共に憲兵隊に虐殺されようとは夢にも思わなかっただろう。
時に野枝はまだ28歳の若さだった。

ところで、いつも世話になる国立国会図書館の「近代日本人の肖像」、
今日は一切見なかった。伊藤野枝もTもOも載っていないからだ。
しかし、彼女や彼らも日本の近代化に貢献した人たちだと私は思う。

辻潤や坂口安吾が伊藤野枝のことも書いていたような気がする。
書棚を引っ掻きまわしてみたが、まだ見つからない。
今日はこの辺りで終わりにする。
明日またお会いしましょう。
[Rosey]

明治・大正の作家たち~漱石と十弟子・その3(End)

2023年06月23日 | 読書
明治東京全図などへのリンクを外します。(必要時は復活させます)

アルペン・アスター 撮影日:2015/07/04

昨日に続き、漱石と十弟子・その3(End)。

同じ絵を三度(みたび)。


今日は「漱石大明神」の出番。敬意を表してポートレートを2枚。

夏目 漱石(なつめそうせき)1867(慶応3)-1916(大正5)文学者~本名:夏目金之助~

それでは青空文庫から漱石と十弟子関連の作品(小説は除外)を。
病気で入院・療養中のことを書いたもの。一~三十三章まで、かなり長い。



岡本一平は漫画家、妻は岡本かの子、息子が岡本太郎。



一平描くところの漱石先生。



ついでに、こんな絵も。モデルは自分たち夫婦?



岡本家に長居し過ぎた、戻ろう。

津田清楓との交友録かつ幽霊談義。不可思議な味わいが感じられる作品。

漱石の文章論とでも言うべきか。短いが簡潔にして分かり易い。

学習院での講演を記録したもののようだ。
同名の文庫本が家の書棚にある筈だが、同じ内容なのかどうか・・・。



漱石作品も数が多く、全部は私も見られないので、あとはご自由に。
漱石はハガキも小まめに書いていたようだ。
最後に直筆のハガキの宛名面と文面を。


私にはほとんど判読不能である。
郵便配達する人は、この宛名が読めたってことだよね? レベル、高っ!

「漱石と十弟子」はこれにて完。
明日またお会いしましょう。

[Rosey]

明治・大正の作家たち~漱石と十弟子・その2

2023年06月22日 | 読書

Dahlia pinnata 撮影日:2015/07/04

昨日に続き、漱石と十弟子・その2。
寺田寅彦の残り分に眼を通したが、漱石・十弟子関係は無かった。

同じ絵を再び。



2回目の今日は、「寺田寅彦」の右隣、「安倍能成」から。

安倍 能成(あべ よししげ)1883(明治16-1966(昭和41)哲学者・教育者・政治家

青空文庫に、漱石や十弟子に関する作品は無かったのでパス。

次は松根式部官~式部官は宮内庁の役職名。

松根 東洋城(まつね とうようじょう)1878(明治11)ー1964年(昭和39)俳人・宮内省官僚

この人は写真も作品も無かったのでパス。

野上豊一郎~臼川(きゅうせん)は号。 
野上 豊一郎(のがみ とよいちろう)1883(明治16)ー1950年(昭和25)英文学者・能楽研究者

この人には、文庫に「漱石のオセロ」がある。
本来、漱石の講義記録の筈なのだが、その「はしがき」だけ。
これでは中身が無い空箱みたいなものなので、これもパス。

次は鈴木三重吉。

鈴木 三重吉(すずき みえきち)1882(明治15)ー1936(昭和11)小説家・児童文学者

この人のものは文庫に31作品が公開されている。
が、すべて子ども向けで、漱石や弟子十人ものは無いのでパス。

次は岩波茂雄。

岩波 茂雄(いわなみ しげお)1881(明治14)ー1946(昭和21)出版人・岩波書店創業者・政治家

文庫に2作品。いずれも岩波文庫創刊のPRなのでパス。

みんなパスではないか・・・私に文句を言わないで欲しい。次は誰だ?

赤木 桁平(あかぎ こうへい)1891(明治2)-1949(昭和24)評論家・政治家
(これはペンネームで本名は池崎 忠孝 )

初めて夏目漱石の伝記を書いた人だが、青空文庫化はされていない。残念!

次は右端のテーブルを前にして座っている人。
內田 百閒(うちだ ひゃっけん)1889(明治22)ー1971(昭和46)小説家・随筆家

この人の作品は面白い。昔、百鬼園随筆をよく読んだ。
が、まだ著作権保持中(没後七十年)のため、青空文庫化は未だ。

次は、絵の左下、豊隆と書いてある人。
小宮 豊隆(こみや とよたか)1884(明治17)ー1966(昭和41)独文学者・文芸評論家・演劇評論家

ようやく文庫の作品が紹介出来る。
漱石大明神曰く、私ならもう少し面白く書けるのに・・・」。
というのは私の創作冗句。学者・評論家の肩書ゆえか、どこか堅苦しい。

阿部 次郎(あべ じろう)1883(明治16)-1959年(昭和34)哲学者・美学者・作家

文庫に作品はあるが「三太郎の日記」が中心なのでパス。
若い頃に読んで、私も日記をつけた。題して「与太郎の日記。
そのうち青空文庫化されると思う。

漱石大明神の作品は、次回にトリとして紹介させて貰う。
今日は実りが少なかったので、最後にこの人。


平塚 らいてう(ひらつか らいちょう)1886年(明治19年)-1971年(昭和46年)
思想家・評論家・作家・女性解放運動家~本名:平塚 明(ひらつか はる)~

この人は、22歳の時に心中未遂事件を起こした。
相手は、漱石山房図の中、それも一番目立つところにいる人。

森田 草平(もりた そうへい)1881(明治14)ー1949(昭和24)作家・翻訳家

青空文庫化されている彼の作品には、漱石や弟子十に絡むものは無い。
夏目漱石や煤煙(心中事件が書いてある)は、作業中のリストにあった。
が、2010年に入力取り消しになっている。
ただ、それらは復刻版が出ていてKindle版もあるので、読みたい時はそちらで読める。

それでは、次回に漱石大明神の作品紹介を。
明日もまたお会いしましょう。

[Rosey]

明治・大正の作家たち~漱石と十弟子

2023年06月21日 | 読書

サルスベリ 撮影日:2015/07/04

今日から新しいシリーズを始める。
と言っても、私の中で「漱石」は以前から通奏低音のように鳴り響いている。
このブログでは、「草枕」がきっかけ、これはグールドの世界へ行った。

その次はつい先日、漱石に絵を教えた「津田清楓」を取り上げた。の
それから「大塚楠緒子」、「大塚楠緒子と漱石」と続く。
その後、3回は歴史的音楽遺産に寄り道した。(これはいつかまたやりたい)

前置きが長くなった。「漱石と十弟子」を始めよう。
これは津田清楓の著作名である。元本は2149(昭和24)年発刊。
といっても私は読んでいない。(活字本しかないので思案中)

1枚の絵から見てもらおう。(拡大可)


名前くらい知っている人、知らない人・・・が混ざっている。
座席表を作ろうか、と思ったが、1回では紹介しきれないのでやめた。
紹介といっても、私が書くわけではなく、青空文庫で読んでもらう。

1回目の今日は漱石大明神の隣に座る「寅彦」。


寺田 寅彦(てらだ とらひこ)1878(明治11)ー1935(昭和10)物理学者・随筆家・俳人

彼は多筆で青空文庫で読める作品も304・・・探すのが一苦労。
でも、読んで(私が)面白いと思ったのを何篇か選んでみた.








最後は、留学先から漱石に宛てた手紙(新聞連載)。
寅彦の観察眼のお陰で、当時の海外の風俗事情がよくわかる。

昨日、今日と青空文庫漬けの時間を過ごした。
それでも、元々活字人間だから、苦にはならない。
でも、これでようやく寅彦作品全体の2/3、残りで何かあったら明日に。
それでは明日またお会いしましょう。

[Rosey]

明治・大正の作家たち~詩歌・音楽編その3

2023年06月20日 | 音楽

オオハルシャギク 撮影日:2015/07/04

今日は昨日の続きで、詩歌・音楽編は今回で終わり。
残っている人は、島崎藤村、与謝野晶子、山田耕作、三木露風、

 
島崎 藤村 1872(明治5)-1943(昭和18)        与謝野 晶子 1878(明治11)-1942(昭和17)

 
山田 耕筰 1886(明治19)-1965(昭和40)      三木 露風 1889(明治22)-1964昭和39)

最初に島崎藤村の詩「千曲川旅情の歌」を。
曲が長いので上下に分かれている。作曲は弘田龍太郎。
ソプラノ独唱はベルトラメリ能子。三浦環の妹弟子で、 山田耕筰にも師事。
(彼女はイタリアの詩人・アントニオ・ベルトラメリと結婚した) 

次に、与謝野晶子、自作短歌の朗読があるが、聞き取りづらいのでやめよう。
代わりに彼女の作詞、信時潔作曲の「我が手の花 」という曲を。
ソプラノ独唱は荻野綾子、弦楽六重奏の伴奏。

三木露風作詞・山田耕筰作曲のコンビで、お馴染みの「赤とんぼ」
ソプラノ独唱は原信子、伴奏オケは日本コロムビア交響楽団。

山田耕筰は東京音楽学校(今の東京芸大)で声楽を学んだあと、ドイツに留学して作曲も学んでいる。
西洋音楽の普及や教育に努め、音源も教育用に録音したものも多い。
同時に、戦意高揚のための作曲も多く、戦後は戦犯論争も生じた。

このシリーズもこれで最後、多様なものを選んでみた。(軍歌?は除く)
軽やかに始まり、夢や朝の緩やかな描写が続き、最後は足どり軽く遠足へ。

独唱は三浦環、やはり日本語で歌っている。日本語で聴くのは私も初体験。
ただし、この訳詞は妹尾幸陽という人。
オケ編曲・指揮は耕筰、オケは日本コロムビア交響樂團。

白秋作詞・耕筰作曲の歌曲。ソプラノ独唱は辻輝子。
因みに、童謡の「砂山」は、白秋作詞・中山晋平作曲である。

♪海は荒海 向こうは佐渡よ・・・子どもの頃は毎日のように眺めていた。
30代の頃、何気なく口ずさんだら、Roseyに言われた。
「大人向けはこっちよ!」と。そして彼女が歌った曲がこの「砂山」。

耕筰は声楽科出とあって、歌い方のレッスンの録音もある。一例だけ。

私が面白かったのはこれ。
演奏付きなので、私のような素人にはうってつけ。
ベートーヴェンの悲愴で、ソナタ形式の解剖も。(三)まであるが(一)だけ。

ネットで聴ける耕筰の遺音?は、たぶん数百(一つは3分強)を超える。
あとは自分でお好みを探してみてください。
それではこのシリーズは今日で終わり。
明日またお会いしましょう。

[Rosey]