【バンコク=岩田智雄】タイでタクシン首相と報道機関の対立が激化している。辛口の政権批判で知られるメディアグループ創設者ソンティ氏の番組が国営テレビ局で突然打ち切られたうえ、報道内容をめぐって首相が同氏を刑事告発したり、同氏に損害賠償を請求したりする事態になっているからだ。両者の対立を伝える他のメディアに対しても、首相は報道が不正確だとして定例会見をとりやめ、反発を招いている。
ソンティ氏はプーチャッカン紙などを傘下に置くマネジャー・グループの創設者。国営テレビ局チャンネル9の政治討論番組「週刊タイ」で、首相が親族の企業に便宜を図り、国王の権威を侵しているなどとして批判を展開したところ、今年九月に放映が打ち切られた。
その後、プーチャッカン紙は、王室関係者しか宗教行事を行うことができない寺院で首相が同行事を行っていたと報道。ソンティ氏支持者が首相を不敬罪で刑事告発した。首相もソンティ氏らが国王と首相を不適切に比較したとして刑事告発。さらに損害賠償を求める訴訟も起こした。
しかしソンティ氏は、首相の圧力に屈するどころか、政権批判を強め、最近は、首相の妹が自分の誕生会に、タイ軍機を使って招待客を運んだとの疑惑を報道。数万人を集めて「週刊タイ」を収録し、インターネットを通じて生中継もしている。
タクシン首相は過去、携帯電話事業などで成功し、通信王の異名を持つ。企業の最高経営責任者(CEO)型の政治手腕が支持されて今年二月の総選挙では党首を務めるタイ愛国党が空前の大勝利を収めた。
だが、これまでに親族経営の企業が民間テレビ局を買収したり、最近まで国軍最高司令官にいとこを置いて軍系テレビ局の会長に据えていたりしたことで、首相がメディアを支配しているとの批判もある。
九月には首相と親しい人物が会長を務める企業がマティチョン紙の買収を発表しながら、市民の反発で計画撤回に追い込まれる事態も起きた。市民には言論の自由に対する危機感がくすぶっており、首相とメディアのぎくしゃくした関係は今後も続きそうだ。
(産経新聞) - 11月27日2時47分更新
ソンティ氏はプーチャッカン紙などを傘下に置くマネジャー・グループの創設者。国営テレビ局チャンネル9の政治討論番組「週刊タイ」で、首相が親族の企業に便宜を図り、国王の権威を侵しているなどとして批判を展開したところ、今年九月に放映が打ち切られた。
その後、プーチャッカン紙は、王室関係者しか宗教行事を行うことができない寺院で首相が同行事を行っていたと報道。ソンティ氏支持者が首相を不敬罪で刑事告発した。首相もソンティ氏らが国王と首相を不適切に比較したとして刑事告発。さらに損害賠償を求める訴訟も起こした。
しかしソンティ氏は、首相の圧力に屈するどころか、政権批判を強め、最近は、首相の妹が自分の誕生会に、タイ軍機を使って招待客を運んだとの疑惑を報道。数万人を集めて「週刊タイ」を収録し、インターネットを通じて生中継もしている。
タクシン首相は過去、携帯電話事業などで成功し、通信王の異名を持つ。企業の最高経営責任者(CEO)型の政治手腕が支持されて今年二月の総選挙では党首を務めるタイ愛国党が空前の大勝利を収めた。
だが、これまでに親族経営の企業が民間テレビ局を買収したり、最近まで国軍最高司令官にいとこを置いて軍系テレビ局の会長に据えていたりしたことで、首相がメディアを支配しているとの批判もある。
九月には首相と親しい人物が会長を務める企業がマティチョン紙の買収を発表しながら、市民の反発で計画撤回に追い込まれる事態も起きた。市民には言論の自由に対する危機感がくすぶっており、首相とメディアのぎくしゃくした関係は今後も続きそうだ。
(産経新聞) - 11月27日2時47分更新