子供のアトピー性皮膚炎を苦に、
一家が心中してしまうという
事件が起こったようだ。
「疲れた」との書置きがあったという。
実はうちのタローも、
生まれついてのアレルギー体質で、
乳児のころのアトピーはひどかったから
他人事ではない。
「赤ちゃんの肌」と言えばだれもが
つるつる、ぴかぴか、もちもちとした
柔らかくて張りのある肌を想像するだろうが、
タローは生後間もなくから違っていた。
ぶつぶつ、かさかさ、などというのは
非常に良い方で、
大抵掻き傷だらけで血が滲んでおり、
ひどいときには
皮がずるりとむけてじくじくしていた。
会う人会う人
「顏、どうしたの?」
と驚きの声を上げるから、
私は一時期、タローを連れて外に出るのが苦痛だった。
何より、痒がって眠れずに泣くタローが不憫でならない。
ようやく眠れても朝起きたらシーツが血だらけなど
日常茶飯事だ。
直接的な原因も、
効果的な治療法もわからない。
わからないから躍起になって調べていると、
「胎児期の母体のミネラル不足」とか
「母乳の不足」とか
「生活環境が…」とか、
無責任にもさまざまな憶測があちこちで語られ、
どれを見ても自責の念に駆られる。
良いと言われるあらゆることを片端から試すが、
即効性のあるものは一つもない。
その上、
「親が思い悩むと子供にストレスを与える。
アレルギーには何よりもストレスがよくない。」
などと言われるから、もう八方塞だ。
一体どうしろというのか。
生まれていくらも経たない我が子が、
血にまみれて泣いていれば
何とかしてやりたいと必死になって当たり前ではないか。
救ってやりたい。
でも良くならない。
助けてやりたい。
でも悩んではダメ…。
あのころの自分の状態を考えると、
もしタローよりも重度の症状が長く続いていたら、
死を考えることもあり得るのかもしれないと思う。
でも。
アレルギーの子をお持ちの皆さん、
それでも、生きていてこそですよ!
お子さんに合った治療法が、
明日分かるかもしれないし、
少しずつ少しずつ良くなって、
何年か後には治ってしまうかもしれない。
現に今、アレルギーに即効性のある菌類が研究されていて、
数年後には注射1本で症状が緩和されるかもしれないそうだ。
タローは幸い、アトピー症状はかなり抑えられて、
3歳になった今はかなりつるつる、ぴかぴかに近い。
代わりにぜんそくや鼻炎が出てしまっているから、
アレルギー体質そのものが治ったわけではないが、
それぞれの対処法も分かってきて、
日常生活に支障をきたすことはほとんどない。
せいぜい、ぜんそくの予防薬を飲んだり、
ヴェポラッブを切らさないようにしておく程度だ。
「人事を尽くして天命を待つ」
アレルギーとのお付き合いのコツはこれに限る。
情報にアンテナを張り、できることは何でもする。
だが結果を期待しない。
何年か後に、少しでも改善していればよし、
というスタンスを持って、
子供の体力、発育を信じるのだ。
アレルギーっ子を持つ皆さん、がんばりましょう!
そうでない皆さん、
周りにアレルギーっ子を持つ人がいたら、
暖かい目で見守り、励ましてあげてください。
私も、公園ママ友達の励ましが
どんなに力になったか分かりません。