らくがき帖

ノンジャンル心象風景

たまこんの季節

2011年10月12日 | 生活
私はあまり食べたことないのですが、
仙台ではすごくポピュラーです。
「玉こんにゃく」。

おでんづゆに似た感じの味付けで煮込みます。
串に三つぐらい刺してあるのを
屋台で売っていることも多いです。

夏でも、夏祭りには屋台が出ます。
この季節になるとスーパーの店先に屋台が出たり、
コンビニのレジ横で大量に煮込んでいたりします。

…そうすると、思い出すのです。
6、7年前の出来事を。


夕方近所のスーパーに買い物に行ったら、
小さい、3~4歳かと思われる男の子が、
泣きながらお母さんに頼んでいました。

「ねぇ~たまこん買ってよー。たまこん!たまこん~!!
 ねぇねぇたまこん食べたいよー。たまこん買って~~~!!」

男の子は串に刺して煮てあるものではなく、
こんにゃくコーナーでまだ袋に入っている、
味付けされていない白い玉こんにゃくを欲しがって泣いているのでした。
たぶんお母さんが煮込んでくれるたまこんが大好きなんでしょう。
この時点で私には軽く衝撃でした。
チョコとかアイスとかおもちゃでなく、
こんなに小さい子が、たまこんをねだって泣くなんて…!

するとまだ若いこの子のお母さん、
何て答えたと思いますか?

「だーめ! 今日はたまこんにする予定ありません!
…大体、たまこん買うんだったら

タコも買わなきゃならないでしょ!?

今日はタコ買わないもん!たまこんは無ー理!」

「いやだぁ!たまこん~ったまこん~~~っっ!!」



…そんなに!? そんなにたまこんにタコって必須なものなの!?
男の子の泣き声を背に、
申し訳ないけど吹き出すのをこらえながら買い物を続けた、
暗くなるのが嫌に早くなったあの日。

たぶんこの先もずっと、この季節には思い出すことでしょう。
あのお母さん、今年もおいしいたまこん煮てあげてるかな…

お久しぶりです

2011年10月09日 | 生活
皆さん、地震の節はいろいろとご心配、お心遣いいただき、
本当にどうもありがとうございました。

仙台は…もちろん津波の被害を受けたところはまだまだ大変な状況ですし、
つぶれてしまった飲食店、まだ修復が終わらない公共施設などいくつかあります。
道路も、陥没、隆起、ひび割れ、液状化してまだ直っていないところあります。
つうか我が家も、ひび割れた基礎部分や室内のクロスの割れなどまだそのままです。
半分以下になってしまった食器類も、まだ買い足さずにあるもので何とかしてます。
(だって1年間はマグニチュード7以上の余震の可能性あるって言われてますから、
買ってまた割れちゃったらショックじゃないですか)

それでも!
私たちはもうほとんど、以前と同じ生活をできるようになりました。
学校給食は7月に復活しました。
夏休みにはちょっと遠くの映画館が復活したのでポケモンの映画を見ることができましたし、
子供たちは秋田にキャンプに行くことができました。
大きな被害を受けたり、また無事でも避難所や支援物資倉庫として使われたりしていた公共施設も
最近徐々に修復され、本来の役割を果たすようになってきました。
89ersは見事復活し、10月29日にはホーム開幕戦を迎えます。

今回の地震で本当に、
普段なかなか連絡を取れない遠方の皆さんが
どんなに私たちのことを思ってくれているか実感しました。
そして不自由な生活の中、そのことから本当にたくさんのパワーをいただきました。
どうもありがとうございました。



夏休みのある日、仙台郊外の町の小さなお祭りで
家族で花火を見ることができたのですが、
そのとき、地震を経験してずいぶん自分の心に変化があったことに気がつきました。

私は今までいつも、花火を見るとき、
「やっぱりね、花火は次々上げてくれないと!
全体の数が少ないのはしょうがないにしても!
上げるときは続けざまに!バババババンと!ダメ!間を空けたら!!
そのねずみ花火みたいなやつは盛り上がらないからやめてよね!
あと照明弾みたく明るいやつもまぶしすぎてヤダ!
ナウシカじゃないんだから……」
…と…申し訳なくも、非常に文句の多い女でした。

でも今年の花火は、別に全然豪華じゃなかったけれど、
なんか…こんなものをだれかが作ってくれて、ここまで運んでくれて、打ち上げてくれて、
こんなお祭りの場があって、そこまで私たちも来ることができて、見ることができて、
すごく、1発見れるのも奇跡な気がして、涙出そうになりました。
そして出てきた言葉が
「なんか…この花火1発、この焼きそば1つに、感謝だね…」
でした。

身の回りのもの、一つ一つに、
だれかの手がかかっている。
世の中は、たくさん、たくさん、たくさんの人の力で成り立っている。
せっかく気づくことのできたこの事実を決して忘れずに、
いつも感謝の心を持って、
またこれからしっかり生きていきたいと思います。

皆さん、これからもよろしくお願いします。


8月末に庭で咲いてくれたナツズイセン