らくがき帖

ノンジャンル心象風景

シネマ歌舞伎「鰯賣戀曳網」

2021年07月11日 | 感想
こんばんはー。

それにしてもねぇ。
5年間まったく動きなしのアカウントをこうしてしっかり保存してくれていた
gooブログさんに感謝ですわ・・・
もしかしてアカウントなくなってたとしても文句言えないなと思ってましたもん。
こうして気まぐれに帰って来ても何のペナルティも恨み言もなく
すんなりとまた受け入れてくれるなんて本当にありがとうだよ。


この5年間私は・・・とあるKPOPグループの追っかけをしてました
頭の中の9割そのことで埋まったまま生活してましたけど、
最近は2-3割に落ち着き、またいろんなことに興味津々の自分が戻ってきた感じです。
どちらにしても、追いたい物を追い切れなくていつもあたふたしてるのは変わりないです



シネマ歌舞伎の話題が続きますが、先週はこちらを見てきたので感想書いておきます。




読み方は「いわしうり こいのひきあみ」です。
私も最近知ったんですけど、歌舞伎の演目って読めないタイトル多いです。
伝統を守るが故ですかね。

脚本は三島由紀夫だそうなんですけど、彼にしては珍しく()
明るくて楽しくてコメディタッチ、ハッピーエンドのお話で、初めて見るシネマ歌舞伎を大いに楽しめました。

主役の鰯売りは、故中村勘三郎さん。
これが当て書きしたんじゃないかというくらい役にぴったりで。
お調子者だけど愛嬌があって憎めないキャラを生き生きと演じてらっしゃいました。
かわいらしくて奔放で、ずっと見ていたい気持ちにさせてくれる役者さんだったんだなぁと改めて。

お相手の傾城(高級遊女)蛍火を玉三郎さん。
蛍火が引き立つような演出がされているとは言え、
もう登場したその瞬間から
ぱぁぁぁぁぁぁあっと、後光が差すような華やかさと上品さでした。

この蛍火、あとから実は高貴な生まれだったと分かるんですけど、
(さもありなんという玉三郎さんのお姿でしたけど)
遊女として売られてしまった経緯とか、
鰯売りの主人公と結ばれる理由とか、
そもそもこの二人が出会うことになるいきさつとか、
ラストの話の収め方とか、
もう今の社会の常識の中で生きてたら
え~~~? そんなんアリ???
って思うことの連続なんですけど、この感覚、古典落語聞いててしばしば感じる驚きと同種だと気づきました。

ってことは、江戸時代とか今よりもっとずっと何でもアリで自由だったのかもしれないな、と私は思うんです。

なんか、情報が速く詳細に伝われば伝わるほど、それと自分を照らし合わせて不自由になってくってあるじゃないですか。
80年代の入社式はみんなわりと自由な服装で出席してたけど、今は全員黒のリクルートスーツって、ちょっと前に話題になりましたよね。
分からなかったころは、友達はこう、私はこう、ぐらいだったのが、ネットで調べて「これが常識です」って言われちゃったらもうそれしかできなくなる。

昔、福山さんが大河で龍馬を演じたときに言ってたんですけど、「龍馬は何も知らなかったからできたんだと思う」って。
もしも情報が今みたいに速く伝わって、今幕府の動きはこうなってる、薩長は誰がどう動いてる、とか全部知ってたら、とてもじゃないけど何もできなかったと思う、何も知らなかったから、ただ自分の理想や信念を追い求めて動けたんだと思う、って。

それなんですよ!

もちろん世間で何が起こっているのか知るのは今の時代大切だけど、それはそれとして、でも自分はこう思う、こうしたい、将来自分はこうなりたい、みんなと違うけどこんな自分が好き、みたいなの、もっと大切だと思うんですよね。
そして自分が大切なのと同じくらい、ほかのすべての人の個性や存在も大切なんだと気づくこと。

江戸時代は江戸時代で、身分制度とか差別とか未成熟な社会でのいろいろなハラスメントとかそりゃあたくさんあったとは思いますけど、ユニークな個性や生き方を今よりも大らかに見守る視点もあったのかもしれないなーと。
これは、古典落語ももっと聞かなきゃいけないな・・・

なんだろう、全然「鰯賣戀曳網」の感想ではなくなっちゃってますけど、
見たことが引き金となってどんどんどんどんいろんなこと考えちゃうんですよねー。
まだまだ思ったことあるんですけど、これからもシネマ歌舞伎は見ていこうと思っているのでおいおいに。
(おいおいばっかり)

あ、あと一つ!
この演目、勘三郎さんと玉三郎さんのお芝居がハマりすぎてて、
ほかの役者さんはちょっとやりづらいだろうな思っていたら、
今は勘三郎さんの二人の息子、勘九郎さんと七之助さんが演じているそうです!
うわ、それも見てみたい!

それともう一つ!
「あい、あーいー」っていう返事、かわいい。
私今までの人生、人の言うことは聞かない、が信条みたいなとこあって、何も言わずに素直に「はい」と答えたことがほとんどないような気がするんです。今振り返ってみると。でも「あい、あーいー」を聞いて、素直ってかわいいと初めて思いました。使うチャンスあったら使ってみたい。外ではないだろうから家庭内で・・・いや、心の中で!つべこべ言わずまずは「あい、あーいー」っつってやってみる。私には必要なことだと思いました。


ではでは今日はこの辺で。
最近文章書いてなかったから確実に書くのが下手になってます。
ホント何事も修行。

また~(^_^)/

シネマ歌舞伎「阿古屋」

2021年07月09日 | 感想
投稿約5年ぶりらしいですwww
近況などはおいおいにして、今日は少しですが感想書いておきたくて。

こちら↓ 見てきました。




とにかく! とにかく!!!
板東玉三郎さん!!!!!

まず美しいです。だけどそんなんじゃなくて・・・
慎ましさ、奥ゆかしさ、繊細さ、少女のようなかわいらしさ
気丈さ、意地と誇り、気高さ・・・
古来日本女性の美徳と思われるこれら要素のすべてを
お一人で体現してしまってるんです。
物語やセリフで表現してると言うよりも、
表情や動きやたたずまいにすでにそれらが立ち昇ってしまってるんです。
映画だからお顔のドアップを見ることができて、
目元や口元のほんの少しの動きもしっかり見ることができたから、
より一層感じられたのかもしれません。
まだ歌舞伎のことほとんど知らないけど、不世出ってきっとこういうことだなと感じてしまいました。
以前バレエの評論で、ギエムと同じ時代に生を受けた幸せを語っていた方いらしたんですが、
玉三郎さんにも同じことが言えると思います。
劇場で直接ではないけれど、この人の存在を、お芝居を、知ることができてよかった!
あと瞳のお色がとても明るい茶。
イエベ春とお見受けしました


それから重要な男役で、尾上菊之助さんが出てました。
この方、バラエティなどで拝見していたときは
お母様の富司純子さんに瓜二つだなーーーとそればかり思ってたんですけど、
今日の役はとっても凜々しく!清々しく!品があり!男前で頼りになる!
素敵な演技でした。ちょっとファンになりました。
女方でとても有名な方なのでいつか見てみたいです。


あと特にこのお二人についてなんですけど、衣装のすばらしさ!!!
私は今着物にもハマっているので、もうじっくりじっくりじっくり見てしまいました。
今日のお話は動きが少なくて、お二人の衣装も見どころの一つだったと思うし、
カメラがしっかりと煽るように舐めるように衣装のアップも映してくれたのでそれもすごくよかったです。
劇場の臨場感、緊張感を感じてこその舞台ではあるだろうけれど、
映画館ならではのこういった楽しみ方も私は気に入っています。


今日の「阿古屋」は鎌倉時代の話で、
平氏の重要人物を追っている鎌倉方が、その愛人である阿古屋を捉えて
居場所を吐かせようとしてる場面なんですけど、
拷問する代わりに、3種類の楽器を弾かせるっていう・・・
嘘をついていたら楽器の音色が揺らぐはずだからっていう・・・
信じられないほど風流な話なんです。
なんかあの、那須与一の弓技を両軍で讃えるのと同種の感性だと思いました。
鎌倉時代って、ものすごく前時代的な野蛮で残忍な部分もあるけど、
平安の雅な香りを引き継いだ、こういう風流な面もあり、
何でもありの混沌の時代で面白いですよね!

だから私来年の大河ドラマ、三谷さんが描く鎌倉時代のお話がとっても楽しみです。
よく分かっていないからこそ自由に描ける鎌倉時代をどんな風に見せてもらえるのか・・・

と、歌舞伎の話ではなくなってしまったところで今日はおしまいです。

ときどき更新できたらいいなと思っています。
皆さん大変な時代ですがお元気で (^_^)/