ARどうぶつ病院の盛田です。
今回はワクチン接種の注意点について記載したいと思います。
『うちのワンちゃんはもう何年もワクチン打ちに行っているから今更…』
なんて思っている方は要注意です!!
また、これまでワクチンを適当に注射していた獣医師の方も基礎からしっかり勉強しましょう
混合ワクチン、狂犬病ワクチンどちらについてもいえることですが、
ワクチンは予防のために注射するのであり、健康状態が良くない場合は接種できません。
インフルエンザワクチンを体調悪い時に接種しないのと同じです。
また、ワクチンは身体の中に異物(ウイルスの断片や弱らせたウイルスなど)を注射し、その異物に対して免疫力を上げるためのものです。
そのため、ワクチン接種後にアレルギー反応が起こる可能性があります。
ワクチンアレルギーはそんなに多い頻度で起こるものではありませんが、
経験では重度なものから軽度なもの含めて数百頭に1頭は出ていると思います。
アレルギー反応は花粉症やソバアレルギーと同様に複数回の暴露によって起こりますので、
「去年まで大丈夫だったから今年も大丈夫」
ということはありません。
むしろワクチン接種2回目以降にワクチンアレルギー反応がおこる方が普通です。
これらをふまえ、ワクチン接種は午前中におこない、飼い主様が就寝するまで(12時間)よく様子を見る必要があります。
また、(甚)急性アレルギーが出る場合は接種後30分以内に起こる場合が多いですが、それ以外でも注射後に激しい運動や極度の興奮をした場合にアナフィラキシー様症状やけいれん発作を起こすこともありますので、注射接種後2.3日は安静にしてお風呂やペットホテルなどストレスとなることは1週間控えてください。
また、以前にワクチンアレルギー症状が出たことのある場合は、免疫機能を少し抑える薬を投与してからワクチンを接種することもあります(下記参照)。
(因みにこの注射はワクチンの効力を下げることはないと製薬メーカーで検証済のものを使用します。詳しくは動物病院の先生にお聞きください。)
また、万が一アレルギー症状が出た場合はすぐに動物病院にいき、アレルギー反応を抑える注射をする必要があります
このようにワクチン接種には手間・暇・リスクを伴います。
しかし、これは人のワクチンでも同様であり、地方自治体でも同様のことを訴えています。
一方、ワクチン接種が面倒だな…とか思っている方、自分の子供のワクチン時にも同じようなこと考えますか
以前のブログを読んでいただくのが良いですが、
混合ワクチンの中には予防していれば感染しても致死率を激減させてくれるようなワクチンも入っています。
混合ワクチンをしなかったことにより伝染病に罹り死んでしまった仔を看取ったこともありますが、
その時の飼い主様の後悔してもし足りない、あの嘆きは一生覚えていることでしょう。。。
年に1回の注射をしていなかっただけで…
ワクチン接種がいかに重要か。ひとりでも多くのひとに理解してほしいと思います。
地域柄もあるのでしょうが、昨今ジステンパーウイルス感染のワンちゃんは少なくなったと感じます。しかし、都内でもまだまだウイルス感染例は多く、予防接種の重要性が薄れることはありません
恵まれた環境だと病気の予防を深く考えることを忘れがちですが、ワクチン接種についての注意事項や予防接種の重要性を今一度認識していただきたいと思い、今回このブログを書きました。
混合ワクチン・狂犬病ワクチン、両者ともワンちゃんには必要なワクチンですので、
少なくとも予防の知識をしっかり持っている病院で適切に接種をしていただけたらと思います。
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