AR(エーアール)どうぶつ病院ブログ

川崎市登戸にあるARどうぶつ病院

院長やスタッフの日々のブログです

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● ARどうぶつ病院です。抗がん剤~人類の英知~(後編)

2019-10-09 18:35:09 | 腫瘍コラム
皆様こんばんは、いまだに台風は発生し、これからまた関東地方に猛威を振るうようですが、朝晩は徐々に涼しくなって過ごしやすくなってきたと思います
こんな季節には温泉でお月見なんて風流ですね…今はまだそんな暇はありませんが時にはゆっくりとしたいものです
 
さて、前回の続きです。
人類の英知として讃えた『抗がん剤』ですが
なぜ、悪いイメージが先行しているのでしょうか
 
それは、抗がん剤には副作用があるからです。
断っておきますが、薬というものは、そもそも副作用があります。
抗生物質は細菌を殺すために使用しますが、時に肝臓や腎臓に負担をかけ、また下痢や嘔吐といった消化器疾患を引き起こすこともあります。
つまり、抗がん剤だけが副作用があるわけではありません。
ですが、抗がん剤はその薬の作用上、正常細胞も無作為に殺してしまうのです。
すなわち、
細胞分裂している細胞は全て抗がん剤の攻撃対象
となるのです。
これが他の薬と大きく違うところだと思います。
 
 
上記に記載した副作用が抗がん剤の副作用として最もよく知られているものです。
 
また、抗がん剤が嫌われるもう一つの理由は
抗がん剤だけでは癌を根治することが困難であるということ。
そもそも、抗がん剤は細胞レベルの腫瘍に対して90~99.9%細胞を殺す効果を持っています。
しかし、抗がん剤の効果は投与して数分~数時間で失活します。つまり殺せるのはほんの一瞬…対して副作用のせいで、ガンガン投与すると正常細胞が死滅してしまう可能性もある
そのため、抗がん剤の投与には一定期間間隔をあけて使う必要があるのです
 
 
 
腫瘍の種類にもよりますが固形の腫瘍1g中に約100万個の細胞があるといわれております。
もし、直径1㎝の腫瘍があった場合、
5×5×3.14×1000000=78500000個
抗がん剤で99.9%殺しても
78500000/1000=78500個
これだけの腫瘍細胞が生き残り、数時間ごとに倍々の細胞分裂をして
また増殖していくのです。
 
 
困った、困った。 みんなで相談しよう
 
 
つまり、副作用がこんなにあるのに得られる成果はこんなもんか…
というのが多分抗がん剤を嫌煙する根源なのかと思います。
 
 
しかし、癌の宣告を受けてから亡くなるまで、抗がん剤が発見される前より余命が延びたのは紛れもない事実ですし、
今後、必ず抗がん剤は更なる進化を遂げ、徐々に副作用も少ないものになっていきます。
それは、生理学や医学の進歩により簡単に言うと
正常細胞と腫瘍の見分け方がより細かくできるようになってきたため
です。
今後の医学の発展に期待して今回のブログのまとめとしたいと思います

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