ARどうぶつ病院の盛田です。桜の開花に間に合わせようと思いましたが見事に遅れました
これから狂犬病予防注射が始まるので動物病院は1年で一番忙しいシーズンとなります。
今回は前回に続き診療の流れについてです。
診察はまず問診から始まり、
視診・聴診・触診、体温測定などを行い、表面的な身体検査を行います。
その際に上記検査や問診で異常がありそうな場合は更なる検査を行っていき、診断します。
診断は大体の場合は~の疑いとして仮診断となりますが、
可能な限り確定診断(~という病気で間違いない!)を出せるように当院では日々奮闘しています。
そして診断に対して必要な治療を行い、治療の反応を見て診断と齟齬が無いかを検討し、必要であれば治療を継続していきます。
上記検査には簡単に行える神経学的検査や糞便検査、尿検査などから
眼球の検査、血液検査やX線検査、バリウム検査や超音波検査、細胞診、病理検査など
時間も費用もかかる検査まで様々あります。
上記は下痢の仔の検査一例
また、外耳炎、皮膚炎、胃腸炎などに関しては軽傷例ではあまり検査を行わず、
治療に反応しない/治療して悪化したなどの条件がある場合のみ検査することもあります。
これは、典型的な症状があることから経験測で行う治療なので(確定)診断をしていません。
治療に関しても「診断的治療法」といって治療に反応すれば病気の診断が出来るといった本末転倒な検査となります。
勿論治れば問題ありませんが、同じ治療に固執して診断を見失う獣医師もいますので、
治療期間が長期になる場合はご家族の方から検査を希望することも必要になります。
上記以外のケースにおいても、検査の時間や手間、ご家族の費用などの問題から検査を行わず治療する動物病院が多々見受けられます。
これは検査を提示しない獣医師がいる場合、全面的に獣医師側に問題があります。
現在でも検査をしないことが名医とされる風潮がありますが、大きな間違いです。
なぜかといえば、もし予測と違っていた場合、患者に全く合わない治療を行うことになります。
また、それによって病気の治療が困難になるケースもあります。
診断的治療法を行った患者さんの90%は診断(治療)が正しくても残りの10%が違っていれば…
この10%を減らすために検査があるのです
そのため、一次診療に携わる者として獣医師も必要な検査は可能な限り行うべきです。
一方、獣医師から検査を提示されても希望されないようであればご家族の側にも問題がある可能性があります。
説明がわかりにくければ獣医師に再度聞き直すのもよいですし、セカンドオピニオンを頼るのもよいかと思いますが、
「時間がかかるから」
とか、
「費用がかかるから」
という理由で検査を受けないのはいかがなものかと思います。
費用を抑えたいという気持ちはもちろんわかりますが、
「命はPRICE LESS」
なのですから、その点を重視して検討いただければと思います。
皆様が間違った診察・治療を良しとして受け入れないよう
人と動物により良い関係を築きたいと思う者として切に願います。