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清明

2015-04-06 18:55:35 | 日記
清明
 清明や壺に満ちゆく水の音  片山由美子
 清明や古木伐りたる屋敷跡     拙


 近所の旧家の主人が亡くなり刀自一人となった。間もなく廃屋になる気配で、周辺の古木・竹藪などか
伐採され、たくさんの蔵や小屋が清明の陽の目をみた。空き家が目立つ農村での税金対策に苦慮しているようだが、近所では今後の成り行きに注目している。

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2 コメント

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清明 (願船)
2015-04-07 15:10:30
  清明や壺に満ちゆく水の音  片山由美子

 すべてのものが明るくてすがすがしい空気に満ちるのが清明。今年の暦には4月5日が清明となっているが、当地では雨の日が多く、海に発生した濃霧が流れてきて、目の先のビルが見えなくなることもあり、清明という気象には程遠い状況である。しかし自然は正確に巡って清明の節に入っているのだから、しばらく待てば、ああ清明だなと感じるようになることを期待している。

 片山由美子の句では、「壺に満ちゆく水の音」を取り合わせて清明の情趣を詠った。水の音とは何であろうか。水琴窟の音が清明の感じに近いかと思うが、壷に満ちゆく水には当らないので、これはやはり大きな壷に滴り落ちる水滴ではないかと思う。その澄んだ音を清明と取り合わせたのであるが、あまりにも近すぎる取り合わせで、微妙な関係を感じる前に、両者の近い関係が浮んできて妙味に欠けるのではないかと危惧するのである。

    清明や古木伐りたる屋敷跡   阿部

 阿部句でも取り合わせの形を用いている。清明に対する相手は「古木伐りたる屋敷跡」である。この相手は清明とは直接的関係があるとは考えられない。だから取り合わせの妙はどのあたりにあるのであろうかと想像力が働き始める。古木伐りたる屋敷跡から浮んでくるイメージは、何かの理由で没落した家の屋敷跡が先ず浮び、昔は庭に鬱蒼と茂っていた樹木が伐り倒されてそのあたり全体が明るくなっている。長い年月の間そこで繰り広げられた一族の生活の跡が取り払われることには一抹の哀感がそそられる。物悲しい気持ちになる。季語清明が与えるものは、明るくてすがすがしい春の喜びだけではなく、万物流転の哀感や悲哀の感覚が秘められているのではないかと感じるのである。
そう思うと、阿部句の取り合わせの妙味が分るような気がしてきたのである。
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有難うございました。 (阿部)
2015-04-07 19:53:59
願船さん。嬉しいコメントを有難うございました。
鬱蒼とした古木に囲まれていたた屋敷に、古木の伐採により清明の陽が入り蒼然としていたたてものが、眠りより醒めたようだと詠んだつもりでした。
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