遠花火

遠花火
山国や空にただよう遠花火　　　金子兜太
心経をマシンが唱ふ遠花火　　　　　拙

田舎での盆の楽しみに花火がある。最近は大広場で行う花火大会がはやり大勢の観客を集めている。
高齢になると出かけることも億劫になり、留守番をしながら故人の写真とか位牌と話し合っていることも多くなる。最近は携帯電話でもお経を聞いたり・勉強したりすることもできるので、こんな機会にも使用することもある。

美徳

責任を譲り合いして再稼動　拙

九州電力川内原発が再稼動した。電力会社の責任で行ったのだろうが、事故発生の場合は東京電力福島原発のように電力会社のみで賠償できるものではない。そこで、国のバックアップが必要になるので、政府としても再稼動に口を出す。政府は世界最高水準の基準をクリアしたことを強調し　審査会は適合しても事故は起きる　再稼動の是非は禁断しないといい、互いに責任を逃れている。謙譲の美徳という言葉があるが、責任の譲り合いは悪徳である。

虎杖(いたどり)

虎杖
　いたどりや麓の雨は強く降る　　山本洋子
　草葉とはいたどりなりや墓掃除　　　拙

　八月七日　当地では墓掃除の日　近くに墓地があるので掃除に行った。墓の周りにいたどりが繁茂しており、墓碑が見えにくくなつていた。墓参りは彼岸以来していなかつたので、伸び放題になっていた。
草場の影から云々という言葉を思い出した。我が家の墓の草花はいたどりだつたかと苦笑した。
虎杖は雌雄異株ノタデ科の多年草。茎は太く直立し、高さは二メートルにたっする。生食したり塩漬けにしたりする。戦後春先の下校の際小さなスカンポを小刀で切り取り口にしたこともあった。

原爆忌

原爆忌
雀しきりに砂を浴び原爆忌　　　鷹羽狩行
廃絶を唱えしわれは傘の内　　　　　拙

　昭和二十年八月六日広島に世界初の原子爆弾が落され13万人の命を奪った。それから今日で七十年目だ
以来核の廃絶を我が国は唱えてきた。しかし、アメリカの核の傘に身を置きながら叫んできた。何と自分勝手なんだろう。しかも、核保有国と集団的自衛権をかざし国を防衛するという矛盾。
核廃絶を叫ぶならば、核保有国との軍事同盟を結べば、誰も付いてはこない。

溽暑

溽暑
　骨の音させて溽暑の立居かな 　　　大野林火
　塩飴を妻が差し出す溽暑かな　　　　　　拙

　連日記録的な暑さが続く。東京では猛暑日が五日続いた(八月四日現在)。当地も36°cの気温が本日予測
された。初めての体験であり、通院日でもあるので心もとない。食前の検査なので、妻が差し出した塩飴
は検査の後に舐めることにして携帯した。