新樹光
新樹光産湯に伸びて子のふぐり 今瀬剛一
泣き声にさっと軍配新樹光 拙
みずみずしい若葉に覆われた初夏の樹木をとおして差し込んでくる明るい陽射しがいっぱいの頃だ
花巻市の「全国泣き相撲大会」は幼児の健全成長を祈る行事として、近隣の市町村に人気がある。
五月上旬の三日間に行われる「毘沙門まつり」のイベントとして二歳以下の男女が参加できる。
土俵上には赤子を抱いた人が仕切り線と行司を中にして赤子を向い合せ、先に泣き出した者を勝とする
ユーモラスな相撲である。神社の境内といっても樹木に囲まれた狭い所である。
新樹光産湯に伸びて子のふぐり 今瀬剛一
泣き声にさっと軍配新樹光 拙
みずみずしい若葉に覆われた初夏の樹木をとおして差し込んでくる明るい陽射しがいっぱいの頃だ
花巻市の「全国泣き相撲大会」は幼児の健全成長を祈る行事として、近隣の市町村に人気がある。
五月上旬の三日間に行われる「毘沙門まつり」のイベントとして二歳以下の男女が参加できる。
土俵上には赤子を抱いた人が仕切り線と行司を中にして赤子を向い合せ、先に泣き出した者を勝とする
ユーモラスな相撲である。神社の境内といっても樹木に囲まれた狭い所である。
産湯に浸っている新生男児のふぐりがゆったりと伸びている。輝くような真新しい身体を相手に任しきって伸びをしているような姿が新樹光にぴったりだと思う。自分の経験を思い出すと、昭和23年に田舎の家で生まれた長女は産婆さんが取り上げてくれた。提灯をつけて長い夜道を歩き、産婆さんを迎えに行ったことを今でもよく覚えている。大きな釜で湯を沸かした。その湯を産湯に使ったのであろうが、産湯を使う風景は頭に残っていないのが残念である。長男、次女はその数年後になるが、二人とも近隣の村にあった病院で生まれたので出産の状況は覚えていない。たぶん自分は出勤していて家にいなかったのだと思う。
この句の産湯がどのような場面であったのかは分らないが、自宅でも病院でもいいのではないかと思う。いずれにしても、若葉を通した明るい日差しの中で産湯を使うことはまずないので、「新樹光」は初夏の季節感、窓に差し込む爽やかな日の光を浮かべればいいのだと思う。とにかく「産湯に伸びて子のふぐり」との取り合わせが絶妙である。
泣き声にさっと軍配新樹光 阿部
最初「泣き声にさっと軍配」を見たときには何だろうかと思ったが、作者の説明を読んで幼児の成長を祈る花巻市の「全国泣き相撲大会」だということが分った。このユーモアたっぷりの伝統行事をテレビで見たような気がするが、別の神社の行事であったかも知れぬ。この句の新樹光からは、もともと土俵の周りにある樹木の若葉から落ちる初夏の明るい日差しを身に感じる様な気がする。ちゃんと礼服をまとった幼児と幼児を抱く介添人や行司、土俵を囲む父兄や見物の明るい声援や笑い声が感じ取れる一句であると思います。
この季語は私の歳時記には掲載されていませんでしたので、ネットで調べたら沢山ありました。派生季語はネットで
検索して見つけるのも楽しみです。