雨だれの忍がごとく春の闇
季語 月のない夜の闇や、月の出る前の暗さを言う。屋内にも屋外にもつかう。他の季節については秋の闇や冬の闇とは言わないところをみると、春と言う語のもたらす初々しさ柔らかさ、香しさをこそ闇に重ね、奥行きをもたらせた言葉と言えよう。闇の奥に咲く花の色や香り、芽吹こうとする木々の息吹、闇の奥ににうごめく生き物たち、それらの生命力を秘めた闇でもある。歳時記抜粋。 今日は旧暦で三日。十日前なので、上弦の月。したがって月の入りも早い。雨でも降れば闇夜になる。音もなく降る雨の中 恋猫の悩ましそうな声もある。
例句 裏山の大きくありぬ春の闇 伊藤政美