春出水 然様ならとて 電話切れ
秋の長雨が続くと思い出す事がある。何年も前の事で記憶違いは有ろうが、大雨による土砂崩れで増水した川に押し流されまさに沈もうとする車中の女性から家に電話が掛かり、夫や子供に別れの言葉を残して切れたというニュースに接した。携帯電話というものが在って良かったものか否かを考えさせられた。声は間近で聞こえるのに手を差し伸ばす事ができないのである。勿論最期に声を聴く事が出来て良かったという思いもあったかも知れないが、当事者で無い私には此の上無い悲痛さが想像されるばかりである。斯様な事を敢えて題材にして下手な句を捻るのは自身切なくもあり又死者と遺族への蹂躙になりそうで長い間出来なかった。併し長年を閲して、爾後も吾人を襲い続ける数多の災害を生き延びた人々の言動に接する事で、思いは変わって来た。残った者がささやかにでも亡くなった人々の最期を能う限りつぶさに語り継いで行く事こそが死者への鎮魂と成り得るようである。
風邪を惹いたらしく打ち沈んだ気分の今宵、降りしきる雨の音に眠られぬまま綴ってみた。
こんにちは、はじめまして。
興味深い記事をお書きで、楽しみが増えました。
石川には雄陽丸さまのような論客が多いようで、yahooには能登の方でいつも健筆をふるっておられる方がいらっしゃいます。
私のところは、これといった面白い記事は少ない過疎ブログですが、時折、お立ち寄りくだされ度。
読者登録ありがとうございました。
izukun様のブログこそ、プロフィールから察せられる通りの御博識に裏打ちされた、大いに意義あるものとお見受けします。楽しませて戴きますので、今後共どうぞ宜しく御願い致します。
P.S. 能登情報、有難うございます。