李登輝再来日も中共に止める術なし

前回のエントリーでは、つい泣き言を漏らしてしまい申し訳ありませんでした。また暖かい励ましの言葉をいただき、ありがとうございました。

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李登輝が5月に日本へ来るそうで、いよいよ定期訪問状態になってきました。台湾メディアはこの訪日を報じた読売新聞の記事を引用しています。

 日本メディアが李登輝の5月訪日を報道 李に近い筋「信頼度高い」
http://tw.news.yahoo.com/060111/43/2r2hi.html

日本の読売新聞は、前総統李登輝が、5月10日に訪日を計画していると報じた。李に近い筋によると報道の信頼性は高く、日程は調整中だという。今回の訪日の目的は李登輝が夢に見た奥の細道(本州の中部から北部)への旅である。5月は機構も暖かく、心地よくなっている頃だ。

読売新聞は李登輝の訪日を2~3週間と報道している。その際東京、秋田、そして松尾芭蕉で有名な奥の細道を訪れる予定だという。李登輝の日本の友人は午前にこの件を知り、次々と台湾の関係者に日程などを尋ねてきた。

李登輝は昨年訪米を果たしており、台湾帰国後の記者会見場で再度日本を訪問したいと明かしている。李登輝に近い人物によると、李登輝は数回日本を訪れ、日程の調整には全く困難はなく、さらに小泉首相の衆院選圧勝で新内閣の複数のメンバーが李登輝と友情で結ばれており、今回の訪日は決して問題にならないとしている。

またこの人物は李登輝の今回の訪日計画は、李登輝自身が様々なパイプを使って根回しをし、日本の友人の協力も得たもので、読売新聞の報道は信頼性の高いものであり、日程を5月にしたのは、4月だと奥の細道のある地域の気候がまだ暖かくないだろうと懸念しての事だと明かしている。

奥の細道は日本の俳聖(中国の詩聖に当たる)である松尾芭蕉が、1689年に江戸(東京)から徒歩で日光、黒羽、松島、山寺、最上川と北に向かい、そこから日本海に沿って新潟、富山、石川、滋賀と西に向かい、最後に岐阜に到達した苦難の長旅。1694年に完成した『奥の細道』は、日本文学史上に残る紀行文学となった作品。

素晴らしい。松尾芭蕉の補足が詳しい。「信頼性がかなり高い」とお墨付きもいただきましたし、訪日の日程などはほぼ間違いないかと。しかし同じ記事の引用でも、書き手に含むところがあるとこうなります。

 日本メディアが李登輝の5月訪日を報道
http://news.sina.com.cn/c/2006-01-11/15457955393s.shtml

台湾メディアが日本メディアの報道を引用したところによると、李登輝が今年5月10日に日本を2~3週間訪れ、東京や秋田、日本の詩人松雄芭蕉が旅行したことで有名な奥の細道などを訪問したがっている事が分かった。報道によると、日本は既に台湾人観光客の短期ビザを免除しているが、李登輝のような人物の訪問は更に審査の必要があるとしている。

日本政府は2004年12月21日、李登輝に入国ビザを発行し、入国を許可した。当時中国外交部は強烈な不満を表明し、抗議を行った。李登輝は台湾の急進的な"台独"勢力の総代表であり、国際的に徹頭徹尾のトラブルメーカーである。日本政府が李登輝の訪日活動を許可するなら、"台独"勢力の黙認、支持となり、"台独"勢力へ誤ったメッセージを発信する事になり、中日関係に深刻な障害となると考えられる。

報道では、李登輝の今回の訪問は民間団体の訪日要請に応じたもので、訪問日程は調整中であり、もし実現すれば2004年暮れに京都、金沢、名古屋などを訪問して以来、約一年半ぶりの訪日となる。日本外務省は、李登輝の訪日計画についてまだ正式には聞いていないと発表している。

先ごろ中国外交部の報道官は「李登輝は島内の"台独"勢力の代表的な人物であり、日本政府が彼に日本での活動を認めれば、中日関係を損なうだろう」と厳しく指摘している。

当時王毅は「戦争メーカー」という名言を作ったもののその年の流行語大賞には相手にされず、外交部も報復措置を取るとまで脅しておきながら何も無く、中国は結局何も出来ないと証明してしまいました。記事ではそれには触れられていませんね。

ああ、発給した後に王毅や劉建超が取り消すよう求めたというのもありました。王毅が「(李氏は)台湾独立勢力の代表的な人物。公職から退いたとはいえ分裂活動を進める急先鋒(せんぽう)だ。考え直していただきたい」で、劉建超が「日本政府は誤った決定を正すべきだ」でした。日本政府はマスコミを指導すべしとした発言と同種で、「中国は自由を理解していませんよ」といういい宣伝になりましたね。騒げば騒ぐほど、みんなが中国は異常な国だと気付く仕掛けになっております。

そういえば台湾人のビザ免除を決定した際、中国は不公平だとか言ってましたが、李登輝訪日に事実上障害がなくなることを恐れての発言だったのでしょうか。さてこれからどんな恫喝が出てくるのやら、楽しみです。

とりあえず12日の孔泉発言を置いておきます。

http://www.fmprc.gov.cn/chn/xwfw/fyrth/t230722.htm(外交部1月12日)

この問題においては、我々は何度も厳正な立場を表明してきた。我々は日本側が日中関係の大局から、日中共同声明など3つの政治的文書の原則に沿って、この問題を適切に処理する事を望む。

前回の訪日当時は3つの政治的文書などの原則に背くとか、報復措置を示唆したとか、激しかったんですけどねえ。しかし李登輝帰国後に行われた記者会見では、

http://www.fmprc.gov.cn/chn/xwfw/fyrth/t178684.htm(2005年1月6日)

一部日本のメディアがこの人間の事に非常に関心を持っているようだ。この問題は唐の有名な詩人杜甫のこの詩を思い起こさせる。

「爾曹身与名倶滅、不廃江河万古流」(好ましくない人物の名やその体は滅ぶが、大河の悠久の流れは途絶えない)

こういった急進的な"台独"勢力の総代表に対してだが、彼の一挙一動全てが正義感のある者の唾棄にあうだろう。

報復措置は無し!言葉責めだけ!ああ、愛知万博に格下の呉儀をよこしたのが仕返しなんでしたっけ。凄い報復だ。安心してお越しください。


追記(15:01):やっぱりまだ頭が動いてないんでしょうか。いや、頭が動いてないのはいつもか。昨日最後まで目を通さなかった、外交部記者会見の模様を読んでみると。

記者李登輝訪日に関してだが、あなたの発言の意図はどのような理由があっても、ビザを発給すべきではないという意味なのか。

孔泉:あなたの解釈は正しい。


記者:現在台湾市民は日本への観光ビザは免除となっている。もし日本政府が李登輝を普通の旅客として、いかなる政治活動もしないとして訪日に同意するとすれば、中国側の反応は。

孔泉:一人の人間の過去を見れば、その現在が分かる。現在を見ればその将来が分かる。李登輝はどのような人物なのか、日本側はよくご存知だ。我々は日本政府が中日間で交わした3つの政治的文書に基づき、台湾問題上で行った約束を守り、「一つの中国」政策を堅く守り、"台湾独立分子"に活動の場を与えないよう望む。

ビザ発給するなって言ってる。やっぱりただのアホだアホ。そもそも3つの政治的文章では、日本は中国の「台湾は中国の一部」という主張を理解、尊重すると言っているだけで、支持とか同意とかはしてないんですけど。悔しかったらペルーみたいに大使召還くらいしてみな。
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