そろそろ新情報が欲しい領事館員自殺

沈国放、新京報関連は続報待ちです。もしかしたら続報など出てこなかったりして。

新年一発目という事で『環球時報』の電波記事でもどうぞ。脅威論もやけに尾を引いていますし、この件もしつこいくらい同じような記事が出てるわけですが、さすがに電波放出量のケタが違います。長いですが、良かったらどうぞ。

 日本 外交官の自殺事件を煽る
http://world.people.com.cn/GB/3998206.html

日本駐上海総領事館員の自殺事件は、日本のメディアの率先によって報道されて中日間で話題となり、両国メディアだけでなく、事態が進展するにつれて政府もこれに参加し、国際世論をひきつけている。事件から一年半経過した今、日本が結論の出ている自殺事件を持ち出してきたのは、下心があり、憤慨させるものだ。


 中日外交戦の正面展開

2005年12月30日、中国外交部は定例記者会見を開き、ある記者の外交官自殺事件の質問に対して、外交部の秦剛報道官は中国側の姿勢を改めて述べ、また「その件は自殺事件だ。駐日双方はこの件で既に結論を出している。一年半もたって。日本側が昔の事を蒸し返し、しかも自殺の中国当局者を結びつけるなど、完全に下心があってのことだ。我々は日本政府がわざと中国のイメージを傷つける行為に対し、激しい憤慨を覚える」と強調した。

秦剛の会見が終わると、12月31日に日本外務省は公然と反論を行い、いわゆる3点表明をした。

※1 1:在上海総領事館の館員が、平成16年5月6日に自殺した事案の詳細については、ご遺族の強い意向もあり、公表を差し控えるが、在上海総領事館の館員の死亡の背景には、現地の中国側公安当局関係者による、領事関係に関するウィーン条約上の接受国の義務に反する遺憾な行為があったと考えている。

2:12月31日の在京中国大使館のホームページは、「日本側は、館員が職務の重圧のために自殺したと表明」したとしているが、日本側がそのような立場を表明したとの事実はない。本件については、日本政府として、中国政府に対し、事件発生直後から、事実関係の究明を求めるとともに、厳重な抗議を行っている。

3:また、「この事件は中国政府関係者といかなる関係もない」との中国側の立場については、我が方として受け入れられず、そのような中国側の立場は最近の中国外交部報道官の記者会見における発言を通じて承知しているが、それ以前に中国政府から本件の事実関係について説明を受けたとの事実もない。

中国駐日日本大使館は、この館員が職務の重圧のために自殺し、遺族の意思に基づいて、中国側に事件を公表しないよう求めたとの声明を発表している。

 日本外務省は談話を削除

日本政府はこの件に対して曖昧な態度を取り、逃げ隠れしており、明らかに腹に何か持っている。2005年12月28日午後、日本外務省の鹿取克章報道官は、初めて記者会見場で一部メディアの報道を"証明"し、「確かに職員一名が自殺した」、「これは中国公安当局関係者による遺憾な行為が原因だ」と述べたが、記者の「中国公安当局関係者の"遺憾な行為"とは何か」という再質問には「詳細はここでは差し控える」と述べるに留まった。

12月31日、日本外務省は再度この事件について声明を発表したが、同じように中国公安の"遺憾な行為"についてははっきりと言及しなかった。さらに奇妙な事に、この声明は更新されてから21時間後に突然削除された。外務省職員の今回の談話については、1月1日付の『産経新聞』など日本の多くのメディアが詳細な報道を行い、これら報道はいまだネット上で見る事が出来る。


 カラオケクラブに行って自殺などありえない

日本メディアの報道によると、死んだ職員はまだ30代で、日本の外務省職員は一般的に50歳前後で課長に昇進するという、日本の駐上海総領事館の暗号通信を担当しており、事務職なのでクラスは高くない。たとえカラオケや夜総会に出入りしようが処分を受ける程度で、このような誤りを犯したから中国へ情報を提供させられるというような事はないし、自殺しなければならないなどという事はない。

実際には、風俗店に出入りしていても日本の政界もなんとも思っていなかったのだ。小泉の外交補佐を勤めた山崎拓も同様のスキャンダルで困った状況にあったが、この外交官よりずっとマシだとでも言うのだろうか。小泉は依然として彼を重用している。自殺の理由としては成り立たないのだ。

さらに言えば、日本政府の海外機構に属する職員の管理は厳しく、彼らの活動も制限を受ける。大使館の通信暗号を握っている職員ならなおさらだ。常識から言えば、日本の駐中外交官が誰と知り合いどこに出入りしているか、日本政府は把握しているはずだ。自殺後に事件の真相が分かったなどということがあるだろうか。もし、この件にいわゆる"政治的背景"があるなら、それならなぜ当時発表せず、一年半後になぜ公表したのか。その上、遺族がプライバシー保護を求めたのに、『週刊文春』はどのような"真相"を手に入れたというのか。

ここ数年、日本の自殺者数は高いまま推移し、毎年数万人が自殺している。この原因は不景気な日本経済、失業者増加、仕事と生活のプレッシャーの増大、同僚の無視や尊厳を傷つける一言、家庭内の問題、性格欠陥が全て自殺の原因になると分析されている。日本人の自殺の原因は非常に多く、日本社会の難題であるといえるだろう。

この自殺事件に対しては、日本社会の環境と本人から原因を探すべきだろう。例えば、彼の性格や家庭、同僚との関係、上司の圧力などだ。もし彼が駐上海領事館員で、中国と関係があり、自殺の責任を中国に擦り付けるなら本当に正義を失うだろう。この外交官の駐在先が中国でなければ、日本も責任を他人へ押し付けるだろうか。

実際、日本人外交官の職業上のプレッシャーは大きく、海外機構の外交官の自殺はそれほどまれなものではない。記者はこれ以前に駐カナダの日本人外交官が自殺したという話を聞いたことがある。日本政府は類似する偶発事件を国際政治問題にしてまで処理しているが、中国に対するイメージを落とそうとする悪意を持った行為としか考えられない。


事件の注目は続く

目下、中国政府は厳正な立場を表明したが、日本側はこの事件を注視しており、八方手を尽くしてこの機会に文章を書かせている。これは日本社会が作り出した悪い影響だ。ここ数日、日本の各大マスコミは事件の関連報道を行っている。一部の地方紙も重視しており、その注目度は国内の"重大ニュース"にも劣らない。

その中でも見られるのが、日中関係は特殊かつ敏感なため、すでに日本社会の注目の的となったというものだ。一部の日本人もブログなどで「日本もスパイ活動を強化するべき」、「中国、朝鮮など共産圏の諜報能力を過小評価しないほうがいい」など、事件に対する見解を述べている。

AFP通信、AP通信、亜州新聞網など海外メディアも続いて追跡報道を行っている。AP通信は「中日間の舌戦は両国衝突の一つであり、こういった事件は第二次大戦の口論や、東シナ海の石油資源や、日本の中国の発展に対する焦りもある」と論評している。

中日関係は低調がずっと続いている。新年の初め、日本はまたいわゆる外交官の自殺事件を持ち出し、今年中の駐日関係改善にまた影を落とした。日本は責任をもたずに中国を中傷しているが、こういったやり方は双方の感情の隔たりを深めるものだ。しかし事実はやはり事実であり、ある者たちがこの事件を機に中国のイメージを貶めようとしているがそれは徒労なのだ。

※1削除されたらしいですが
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/17/rls_1231a.html

参考 12月28日の外務省報道官記者会見:http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/kaiken/hodokan/hodo0512.html#3

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自殺増加と結びつける力技には感心しました。ヤマタフは中国当局者に脅されていないので問題の性質から違うし、削除されていないのに削除したと言い張ってみたり、すぐにでも突っ込みどころがみつけられる記事です。

 
 名誉毀損訴訟を誘発する『週刊文春』
http://www.takungpao.com/news/06/01/01/ZM-505271.htm

『週刊文春』は政治家、官僚や文芸界の著名人のスキャンダルを派手に宣伝し、発行部数を高めてきた雑誌だ。

『環球時報』はグローバルと名乗りながら日本の話題ばかり扱う基地外雑誌として、これまた日本にしか興味の無い基地外に愛され部数を伸ばしてきた、とでも言っておきましょうか。言ってるのは『大公報』ですけど。

『環球時報』は文春が報じた谷垣財務大臣のあの報道も取り上げていますし、"産経がやってる反中週刊誌"(訂正:産経ではなく文藝春秋でした。申し訳ありません)の信頼性を揺るがせようとするのは当然。『人民日報』対『産経新聞』の代理戦争ですね。

同紙は『人民日報』傘下で、売れるために日本関連の話題をこの様に書き散らしている媒体ですから多少の割引は必要ですが、「中国のイメージを損なわせようとしている」と外交部の援護を行っているのは明白で、逆に文春のイメージを落とそうとしているようで。

自殺の原因を日本社会と結んでみたり必死なんですかねえ。必死になると日本の能力を高く見積もる傾向がありますが、この記事はまさにそれ。

日本政府がここに来て事実認定したのは、外相が川口から麻生に変わったという外務省自体の変化もあるでしょうし、日本全体の空気が変化したこともあるでしょう。ただ、証拠もなしに言い続けてると中国と同じになるので、そろそろ新しい情報が欲しいところです。

外交部の言う"既に結論が出ている"について説明があれば納得できるんでしょうけど、同じ内容を繰り返すだけですし、こちらも相変わらず芸の無い事で。文春は5日号で続編やるらしいので、その反応でも見てみましょうか。


追記(01/06/08:22):文春ではなく、安倍発言に食いついてきました。

 安倍官房長官、中国側に条約順守を要求・領事館員自殺問題(日経新聞)
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20060105AT1E0500305012006.html

 安倍晋三官房長官は5日午前の記者会見で、上海の日本総領事館の日本人男性が2004年5月に自殺した問題で、「中国大使館がホームページで『日本側は館員が職務の重圧のために自殺したと表明した』としているが、日本がそのような立場を表明したことはない」と中国側に反論した。そのうえで「国際条約に沿った対応を行うことが大切であり、国際社会や両国関係の信頼につながっていく」と指摘し、中国側に外交官の保護に関するウィーン条約の順守を求めた。 (13:02)

 領事館員自殺、中国は誠意ある対応を(TBS)
http://news.tbs.co.jp/headline/tbs_headline3196708.html

 「中国側公安当局関係者による、領事館員に対するウィーン条約上の接受国の義務に違反する遺憾な行為があったという風に考えております」(安倍晋三 官房長官)

なかなかしつこくて好きです。

http://news.xinhuanet.com/world/2006-01/05/content_4014216_3.htm(外交部1月5日)

記者:今日、日本の安倍官房長官が「上海総領事館員の自殺は中国の国際法違反によるもの」と発言しているがこれについて。中国側はこの問題について日本と協議する用意はあるのか。

秦剛:この問題では、中国外交部と中国大使館は既に非常に明確に立場を表明している。中国は責任を負う国家である。中国政府は一貫して外交関係に関するウィーン条約と、領事関係に関するウィーン条約を遵守しており、在中外交員の合法的な権益を保護している。この事件の性質は我々が既に何度も述べている。

中国側は調査で得られた結論は厳粛で責任を負う。日本側の非難は全く道理の無いものであり、故意に問題を引き起こそうとしている。我々は日本に冷静に、適切にこの問題を処理し、日中関係に新たな問題を作らぬよう求める。

中国困ってます。

 麻生外相、自民総裁選への出馬「覚悟決まっている」
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20060105AT1E0500H05012006.html

 外相は中国・上海の日本総領事館勤務の男性が自殺した問題について「昨年12月31日以前に中国から正式な釈明や、説明を受けたことは1回もない」と指摘。「外交官の保護に関するウィーン条約から考えてもおかしい。中国公安当局関係の話として『これはおかしい』と抗議している」と力説した。(イスラマバード=天野豊文) (20:35)

泥仕合になってきました。
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