モグリッチョのフィールドノート

八丈島の自然などを紹介しています。

アズキガイ

2022年11月01日 | 貝類

学名:Pupinella rufa

 

 殻高は10mm前後でキセルガイ科のものより少しずんぐりした形をしています。貝殻は赤紫褐色(老成個体なのか?白色をした個体もいます)をしており、このことから“アズキガイ”の和名がついたようです。特徴的なのは円形角質(赤色矢印)の蓋を持ち、軟体部を貝殻に格納し殻口を完全に塞ぐことができます。この蓋があるおかげで、外敵から身を守り乾燥にも強いのかも知れません。また、カタツムリのように触角の先端に眼があるのではなく、触角の基部にあるようです(水色矢印)。このことからも解るように、陸棲のカタツムリよりも水棲のタニシに近い種だそうです。

 地域によっては生息数が減少しており、絶滅危惧種に指定されている地域もあるようです。八丈島では今のところ人家の近くではあまり見かけませんが、林道などの苔類が繁茂しているところで群生しているのを確認できます。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

誰ですか?

2021年09月09日 | 貝類
学名: ???
 
 
 岩壁にソフトコーラルのような白いものが密生していたので手で煽ってみると、オレンジ色の基部と共にゆらゆらと海底に落ちて行きました。着底と同時にかなり速いスピードで移動し始めたのでウミウシかと思ったのですが、水管らしきもの(水色矢印)とその基部に眼があり、触角(黄緑色矢印)らしきものも確認できたのでそうではなさそうです。

 体長は10mm で軟体部は透明感のあるオレンジ色をしており、外套膜らしきもの全体に多数の白い樹状突起があります。指で触れると樹状突起を縮めるだけで、貝殻らしきものは確認できませんでした。また、前述の通りゆっくりと沈下することより大きな貝殻を有していないと思われますが、退化した小さな貝殻を体内に有している可能性はあるのではないかと思われます。タカラガイかベッコウタマガイのような生物なのでしょうか?

 あなたは一体、誰なのですか?
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

イボアナゴ

2009年06月21日 | 貝類
学名: Haliotis varia
 
 
 
 イボアナゴウとも呼ばれているようです。長径:6~7cm ほどに成長するアワビの仲間でトコブシに似ていますが、軟体部はトコブシよりもボリューム感があり見分けるのは容易です。潮間帯岩礁域の窪みや穴などに殆んど移動せずに定住しているので、八丈島では“アナマモリ”と呼ばれています。トコブシよりも身は固いのですが、個人的にはアナマモリの方が風味があり美味しいと思っています。このアナマモリの身を茹でて細かく刻んだものを、八丈島の郷土料理のブド(カギイバラノリを煮詰めて寒天状に固めたもの)に入れると、更に風味が増して酒がすすむのであります。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

モノアラガイ

2008年03月02日 | 貝類
学名: Radix auricularia japonica
 
 
 池や沼に生息し藻や落ち葉、死骸などを食べ、殻高:20mm 前後に成長する淡水産の巻貝の仲間です。眼の後方に尖った耳のような突起(触角?)があり、このような軟体部や貝殻の形状が、八丈島の海に生息しているウミウシの仲間のヒメタマブドウギヌに似ているような気がします。分布域は北海道、本州、四国、九州と広範囲に及んでおり、繁殖力も強いようですが、河川改修工事や生活排水による水質の悪化などの環境変化、サカマキガイなどの移入種との競合により個体数が激減し、準絶滅危惧(NT)に指定されています。しかしながら、このような環境悪化が時として進化を促すようなことがあるようです。モノアラガイは有肺目モノアラガイ科に分類され、鰓(エラ)ではなく肺呼吸するそうなので、水中の酸素濃度が低下しても水面で肺呼吸するとのことです。カタツムリなどの陸生の巻貝の仲間もこうのような進化を遂げてきたのでしょうか? 自然淘汰…不思議。

 八丈島のような離島でモノアラガイが海を渡って自然繁殖をしたとは考えにくく、人為的に持ち込まれたものが自然に放たれ、自然繁殖をしているのではないかと思われます。とは言っても、カタツムリなどは鳥に丸呑みにされても、消化されずに生き残る個体が稀にいるようです。

 また、モノアラガイはカワニナも餌にするそうなのでホタル水路に移入されれば、ヘイケボタルの餌として放たれているカワニナが激減あるいは全滅する可能性もあります。しかしながら、ヘイケボタルの幼虫はモノアラガイも餌にするそうなので、ヘイケボタルが八丈島からいなくなってしまう心配はなさそうです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

キセルガイ科の仲間

2005年11月02日 | 貝類
学名: Clausiliidae sp.
 
 
 
 八丈島に生息する陸棲貝類で、殻高:10mmほどの小さなカタツムリの仲間です。ハチジョウノミギセル(Metazaptyx hachijoensis)かゾウゲツヤノミギセル(Hemizaptyx purissima)のようですが、残念ながら私には同定できないため、キセルガイ科の仲間(Clausiliidae sp.)としておきます。キセルガイ科の仲間は貝殻が細長く、普通のカタツムリと比べて尾が短いため貝殻を引きずって移動します。

 「カタツムリの仲間は、貝殻の成分であるカルシウムを摂取するためコンクリート上によくいる」といったことを聞いたことあるような…。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アオイガイ

2005年06月13日 | 貝類
学名: Argonauta argo
 
 
 貝殻だけで中身のタコはお星様になってしまったようです。表層をただよっているようで貝殻が海岸に打ち上げられていたり、ウミネコの餌になっているのか?ウミネコの営巣地でも見かけます。貝殻は薄く手で強く持つと割れてしまいます。また、雌だけが貝殻用の分泌液を出して貝殻をつくるそうです。近種にタコブネがいますが、こちらは貝殻の畝の間隔が広いようです。いつかはダイビング中にこの生物が漂っているところを確認したいものです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ヒメクボガイ

2005年04月11日 | 貝類
学名: Omphalius nigerrimus
 
 
 八丈島ではシタダミという地方名で呼ばれており、ついこの間までは潮間帯から浅い水深の岩礁地帯でよく見かけましたが、残念ながら現在ではその姿を殆ど見かけなくなってしまいました(八丈島独自のレッド・データ・ブックがあったら記載されていたことでしょう)。この貝が少なくなった原因については明らかになっていませんが、乱獲や海水温の上昇などの影響ではないかと言われています。

 八丈島では他の伊豆諸島と異なり、いろいろな磯もの(磯の貝や海藻などの海産物)捕りに制限がかけられています。「おッ! 他の伊豆諸島より環境に配慮しているではないか。さすがはエコ・アイランド!!」と思われた方も多いかと思われますが、実は180°逆なのであります。通常は自分の食べる分のみを捕るので、個体数が激減する可能性が低く制限をかける必要がないのですが、八丈島ではこれらを大量に捕り民宿などの宿泊施設に売って商売にしてしまう人がいるのため、いろいろなものに制限がかけられてしまうのです。金のためなら根こそぎ。節操がないのですよ。エコ・アイランド(このエコって“Ecology”ではなく“Economic animal”のエコだったりして)を自称しているなら、観光客を呼ぶために上辺だけ取り繕うのではなく、まずは島民の環境保護に対する意識改革からでは? って能書きたれてる私も八丈生まれの八丈育ち、蚊帳の外ではない訳で…トホホ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スクミリンゴガイ

2005年02月28日 | 貝類
学名: Pomacea canaliculata
 
【殻長:40mmの個体】
 
【卵塊】
 
 今回は淡水産の巻貝の仲間です。八丈島は伊豆七島で唯一、水田のある水が豊富な島です。その水田でよく見かけるのがこの貝で、俗名:ジャンボタニシと呼ばれています。日本には南米から食用として輸入されたようですが、稲などを食い荒らすため1983年に農林水産省が有害動物に指定しています。しかしながら、卵塊は毒々しいピンク色をしており他の動物に捕食されにくく繁殖力が強いため、なかなか駆除できないでいるようです。この卵塊は水中ではなく、水面よりやや高い稲の茎や水辺の石あるいはコンクリートに産み付けられています。ちなみに産卵直後の卵を水中へ落とすと死んでしまうそうです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

シラナミガイ

2004年09月19日 | 貝類
学名: Tridacna maxima
 
 
 殻長:10mmほどの可愛いものでした。成長を楽しみにしていたのですが、台風で何処かへ吹っ飛ばされてしまいました。和名は八丈の獅子さんに教えてもらいました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ウミギクガイモドキ

2004年09月14日 | 貝類
学名: Pedum spondyloideum
 
 
 東海大学出版会の フィールド図鑑・貝類 には、「サンゴの隙間に入って、足糸で固着している」との記述があり、そうやって体をガッチリとサンゴに固定しているようです。鮮やかな色彩で綺麗ではありますが、オレンジ色の目玉が沢山並んでいるのが、ちょっと不気味~(m゚ ゚)m
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする