モグリッチョのフィールドノート

八丈島の自然などを紹介しています。

ツノトンボ

2021年08月15日 | 昆虫
学名: Hybris subjacens
 
【成虫♂の背面側】
 
【成虫♂の側面側】
 
【成虫♀の背面側】
 
【成虫♀の側面側】
 
【幼虫の背面側】
 
【幼虫の腹面側】
 
【幼虫の個眼?】
 
 夏になると羽化した成虫を時々見かけるようになります。体長は30㎜ ほどでトンボのような姿をしていますが、体長と同じぐらいの長い触覚を有しているのが特徴です。雄は尾の先端部分にトンボの付属器のような突起が2本あり、尾の部分が赤銅色を帯ています。雌は尾の先端部に付属器らしきものはなく、尾の部分が淡い黄色味を帯ています。

 幼虫はアリジゴクに酷似しており大きな顎をしています。特徴的なのは眼で、小さな個眼のようなものが複数ついています。成虫は完全な複眼なので、成虫になる過程で複数の個眼が密になり複眼を構成するのかな? まるで個眼から複眼への進化の過程を見せているような不思議な昆虫です。
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ケラ

2020年11月21日 | 昆虫
学名: Gryllotalpa orientalis
 
 
【地面直下を移動した跡】
 
 体長は30mmほどで前脚が土を掘るのに特化した形に進化しており、これはモグラの前足と同様でこれも収斂進化の一例です。食性は雑食性で代謝量が多いため飢餓に極めて弱いそうです。湿った土を好み餌を探して地面直下を移動した痕跡をよく見かけます。

 背中には短い前翅と大きく発達した後翅を有しているため飛翔することも可能です。また、体には短毛が密集してるため水を弾いて、水面をミズスマシのように泳いで移動します。この体毛は地中生活でも汚れを付き難くするという効果もあるようです。

 “地上を移動できる+地中に潜って移動できる+飛翔して移動できる+泳いで移動できる=環境適応能力の高い生物”といえるようにも思えますが、誠に残念ながら飢餓に弱いという最大の弱点がそれを台無しにしてしまっているといえなくもないですね。

 ちょこまかと動き回る仕草が愛くるしく、ずっと観察していても飽きないですよ。
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セグロアシナガバチ

2020年04月28日 | 昆虫
学名: Polistes jokahamae
 
【巣作りをしているところ】
 
【芋虫を肉団子にしているところ】
 
 体長は25 ㎜ ほどで、元々八丈島には生息していなかった外来種となる昆虫です。冬に姿を消してテントウムシのように雨風の当たらない物陰に集団を形成し身を寄せ合って越冬しているようですが、それ以外の季節は活発に活動しています。

 掲載した画像は畑の唐辛子の枝で一生懸命に巣作りをしているところです。畑のソラマメやディルなどの葉の生い茂った見えにくいところにも巣を作るので、驚かして攻撃されないように注意が必要なのですが、このような場合はハチが近くにいるのに気付かないことが多いので、何れ刺されて痛い思いをすることになるでしょうね。アナフィラキシーショックにならないことを祈るのみです。このように攻撃される可能性があるため害虫扱いされる反面、畑にいる芋虫などの害虫を退治してくれる益虫でもあるのです。捕獲した芋虫などを葉の上などで、強力な顎を使い嚙砕いて肉団子状にし巣へ運びます。

 女王バチや働きバチのような階層があるものを人間社会になぞらえて社会性昆虫と呼び、その中でも特定の階層のみしか繁殖を行わないものを“真社会性昆虫”と呼ぶそうです。現在では昆虫だけではなく、甲殻類や哺乳類などの一部でも真社会性が確認されているものがあるそうです。

 真の社会ですか、これこそが目指すべき社会システムなのか? 人間社会のように悪知恵を働かせた汚職や詐欺なんてもんはないだろうし、経済活動最優先ってことも…。
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オオツチハンミョウ

2020年03月06日 | 昆虫
学名: Meloe proscarabaeus
 
 
 ディープ・ブルーの金属的な光沢で体長は20 ㎜ ほど。大きな腹部で背中には退化した?小さな翅が付いています。そのためか飛翔できないようで、春に畑などで歩行して移動しているのをよく見かけます。

 外敵に襲われると脚の関節からカンタリジンを含んだ体液を分泌するそうです。カンタリジンは皮膚に触れると水膨れになることがあるそうなので注意が必要です。

 雌は地中に沢山の卵を産卵し孵化した成体に似てアリのような体形をした幼虫は花の中に潜り込み、そこへ運よくやって来るハナバチの仲間の雌に乗り移れれば巣まで運ばれて行くそうです。巣の中で幼虫は蜜や花粉、ハチの卵を食べ成長し、一旦、蛹のような体形に変態し、これを“擬蛹(ぎよう)”というそうです。それから芋虫のような幼虫に変態(これが幼虫本来の姿であり、それ以前は蜂の巣に移動するためのものなのかも知れません)。その芋虫のような幼虫は真の蛹へ変態し成虫となるようです。このように多くの変態過程を経ることを“過変態”というそうです。また、殆どの時間を巣の中で過ごし成虫になっても広範に移動しないため、飛翔する必要がなくなり翅が退化したのかも知れません。何れにしろ変わった生態をした昆虫のようです。
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ハチジョウネブトクワガタ

2019年08月04日 | 昆虫
学名: Aegus laevicollis fujitai
 
 
 体長:20mm 程で自宅の庭で初確認した ハチジョウネブトクワガタ の雄で、ネブトクワガタの八丈島固有亜種です。庭で確認できるクワガタは確認回数が多い順に、チビクワガタ(マメクワガタの可能性があるが素人には同定が困難)、ハチジョウコクワガタ、ハチジョウノコギリクワガタ。今回、確認した個体で4種目となりました。

 特徴は大顎の基部が太く(和名の由来)前羽に太い縦筋が入ります。ネブトクワガタの幼虫は通常、シロアリの活動によって生じた栄養分が豊富な腐植土中に生息しそれを餌にしているとのことですが、ハチジョウネブトクワガタの幼虫はしばしば土中で確認されることもあるようです。このように幼虫はシロアリ依存度が高いようですが、成虫は樹液などを餌としており他のクワガタムシと変わらないようです。また、この種は九州や沖縄の南の離島を中心に固有亜種が確認されています。
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不思議なもの

2019年07月12日 | 昆虫
【背中側】
 
【腹部側】
 
【腹部側拡大】
 
 林道を散策中に20mm ほどの大きさの羽毛の様な不思議なものを拾いました。鳥の羽毛かとも思ったのですが形状が立体的(球状)であることから可能性は低いと思い、更に細部を目視で確認した結果、表と裏があるようなので花の可能性あると判断。頭上を確認したのですがそれらしきものを確認できず。自宅に持ち帰り再度デジカメで撮影してPC画面で拡大確認してみると、表と裏だと思っていたものは背中側と腹部側だったようです。腹部側には脚らしきもの(青矢印)があり、どうも毛虫の様な昆虫の抜殻だったようです。多分…。
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トラカミキリ

2010年07月19日 | 昆虫
学名: Xylotrechus chinensis
 
 
 
 畑のクワノキにいました。体長は20mm ほどで黄色と黒のトラ模様、スズメバチかと思ったのですがハチ特有の透明の翅がない。不思議な虫だと観察していると、産卵管らしきものを樹皮の隙間などにさしている。どうやらクワノキに産卵に来たようです。もう1本のクワノキも確認してみると数個体が産卵している。今まで全く気付きませんでした。梅雨が明けたから産卵をはじめたのでしょうか? ネットで調べてトラカミキリであることを確認、トラフカミキリとも呼ばれているようです。

 どうやったら、このようなスズメバチそっくりの模様に進化するのだろうか? ウィルスによって、被擬態虫などの一部のDNAに書き換えられるという説もあるようです。その結果、スズメバチに似た模様となり、天敵から襲われなくなって生き残ることができたのか? 自然界にはまだまだ不思議がいっぱいです。夏になり山奥では様々な昆虫を確認できるかもしれません。ちょっと楽しみ!
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電気虫

2010年07月11日 | 昆虫
学名: Parasa lepida
 
 
 トゲトゲいっぱいのサボテンではありませんよ。体長:15mm ほどのヒロヘリアオイラガの幼虫と思われます。八丈島ではオオバヤシャブシやマダミの木でよく見かけます。イラガを漢字で書くと“刺蛾”となり、これらイラガの幼虫の毒針に刺されると電気ショックを受けたようにヒジョーに痛いので、別名“電気虫”とも呼ばれています。また、越冬するための繭は、1cm ほどのまだら模様の卵型で小型ながら鶏卵のような硬さをしています。

 本日、マダミの木の下で草取り作業中に、突然、左肘に激痛が走る。やってもーたか、風で樹上から落ちてきた電気虫にやられてしまいました。激痛は1~2分程度で治まり、患部が2cm ほど赤く腫れてきたので、流水で洗い流しムヒを塗っておきました。その後、殆んど痛みもなく腫れは1時間ほどでひきました。痛みが長引かず、不幸中の幸いといったところですかね。電気虫の電気ショック、小学校低学年以来ですよ。

 イラガの幼虫、嚢舌目みたいで綺麗なんですけどね…。
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マガリケムシヒキ

2010年04月05日 | 昆虫
学名: Neophyllaphis podocarpi
 
 
 畑で草取りをしていると、眼の前に体長:15mmほどの細長いハエのような昆虫が地表でじっとしているのを確認。小さな翅虫を捕食しているようだったので、静かに後退し家へ戻ってコンデジを持ち出す。現場に戻って被写体を驚かさないように静かにひざまずき、コンデジを持った腕を被写体へ向けて伸ばしパシャリパシャリ。思った通りヨコバイのような小さな翅虫を捕えて吻を突き刺し、チューチューと体液を吸っておりました。ヨコバイも鋭く尖った針のような吻を持っていますが、こちらは昆虫の体液を吸うものではなく、植物の液汁を吸うためのものです。マガリケムシヒキは、このよなヨコバイやハエなどの小さな昆虫を捕食するとのことです。

 翅の付根の後方に白いラッキョウのような形をした小さな突起がありますが、これはどうやら平均棍(へいきんこん)のようです。平均棍は後翅が退化したもので、以前はバランスをとるためのものと考えられていたようですが、現在、この器官の機能はハッキリわかっておらず、角度を検出する器官という説が有力とされているそうです。
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寄生蜂に…

2010年03月16日 | 昆虫
 
 庭の防風林として植えてあるモチノキの葉の裏で確認しました。中央部の黄緑色をした葉のような形のものは、シジミチョウ科の仲間の幼虫ではないかと思われます。体長は15mmほどです。その周りを取り囲んでいる白いものは、寄生蜂の仲間の繭ではないかと思われます。寄生蜂の幼虫はシジミチョウの幼虫などの体の中で成長し、その宿主の表皮を食い破って繭をつくるようです。繭は先端部が蓋のように開いていることから、繭の中の蛹は既に成虫となり外へ飛び立ったようです。残念ながら、このシジミチョウの幼虫は、成虫となって飛び立つことはありません。
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