モグリッチョのフィールドノート

八丈島の自然などを紹介しています。

ユウグレミノウミウシ

2024年06月19日 | ウミウシ

学名:Trinchesia sp.

 

 投稿画像の個体は体長:3mmでしたが、5mm前後まで成長するようです。春から夏にかけて、比較的浅い水深のアオモグサ?上を移動しているところをよく見かけます。

 体色は半透明がかった白色をしており、頭部の短い黄身色の線が目立ちます。背側突起は基部から濃紺、青灰色、白色(投稿画像の個体は白色が目立ちません)、黄身色、先端部は透明がかった白色をしています。また、背側突起の濃紺部から白色部まで小さな白い星がちりばめられています。

 このウミウシ、肉眼では分かり辛いですが、背側突起内に星空を閉じ込めているようで綺麗です。

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アデヤカミノウミウシ

2023年09月01日 | ウミウシ

学名:Coryphellina exoptata

 

 投稿画像の個体は体長:13mmですが30mmほどまで成長するそうです。体地色は透明感のある朱鷺色、触角はオレンジ色、口触手と背側突起は中間部が赤紫色をしており、それから先端かけてが淡く緑がかった白色をしています。八丈島では冬期にやや減少するものの、それ以外は普通に確認できるウミウシです。

 このカラー・フォームから和名に“艶やか”が付けられたのではないかと思われますが、特出するのはやはり背側突起と口触手の先端部の色です。それらが日中でも仄暗い岩壁などで、ゆらゆらと揺らめく様は妖火の光輝に見えて目立ちます。

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テンセンウロコウミウシ

2022年09月14日 | ウミウシ

学名:Cyerce bourbonica

 

 

 

【擬態?している個体】

 

【若齢個体】

 

【ヒメイチョウと若齢個体】

 

 年間を通りして確認でき体長は10mmほどに成長し、背側突起は薄い花弁状で触角が二股状になっているのが特徴です。成長するにつれ頭部から触角にかけての黒褐色の模様は徐々に薄れていき、背側突起外縁部の紫色の模様も灰青色に変化していくようです。たしか背側突起縁上にある黄色の点線状模様が和名の由来だったような気がするのですが、記憶が曖昧になってしまい定かではありません。

 短い海藻に覆われた岩場や砂交じりの岩場で、触角を隠し背側突起だけを見せてじっとしていることが多く、背側突起に見覚えがあれば確認するのは容易かも知れませんが、知らなければ見過ごしてしまい、ウミウシであると認識することが困難なことより擬態行動と思われます。イソギンチャク或いはソフトコーラルのようなものに擬態しているのではないかと思われます…たぶん。

 10m以浅の砂交じりの岩場に生育するヒメイチョウを餌としそれへの依存度が高ためか、同ウミウシも同じ浅い水深で確認されることが多い。ヒメイチョウが抜殻のように透明になっていることがあり、このウミウシに体内の葉緑体を吸われてしまった結果のようで、海藻を食べるというよりは吸っているという方が適正な言い方かも知れません。このような摂餌方法は他の草食系ウミウシでも確認でき、透明になった海藻を見かけたら周辺を注意深く確認するとウミウシを見つけることが多々あります。

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ヒダウミウシ上科の仲間

2022年08月18日 | ウミウシ

学名:Fionoidea sp.

 

 

【背側突起拡大】

 

 体長:3mmの初めて確認するウミウシでした。体地色は透明感のある白色で、触角と口触手に黄褐色の色輪があり、背側突起にも先端部と基部に同色の斑紋が対になってあるようです。

 触角と口触手のカラーフォームがコマユミノウミウシのものに酷似しますが、背側突起が異なります。また、背側突起のカラーフォームはホノアカミノウミウシのものに似ますが、触角が異なります。ゴシキミノウミウシ属(Trinchesia)かユビワミノウミウシ属(Abronica)の仲間辺りではないかと思われますが、ガイドブックやネットで同一カラーフォームのものを確認できなかったため属や科すら特定できず、“ヒダウミウシ上科の仲間(Fionoidea sp.)”と同定しました。

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タマノミドリガイ

2022年07月17日 | ウミウシ

学名:Berthelinia limax

 

【側面】

 

【背面】

 

【軟体部を貝殻内に格納した個体の上に若齢個体】

 

 殻長:8mmほど。殻頂部に極小の渦巻状突起(巻貝の原殻/上段画像の水色矢印部)があり、同科(ユリヤガイ科)のユリヤガイと比較すると貝殻に厚みがなく薄いのが特徴です。また、頭楯目の巻貝を背負ったウミウシは軟体部を貝殻内に全て格納できないのものが多いのに対し、このウミウシは軟体部を全て貝殻内に格納して身を守ることができます(下段画像)。

 このウミウシは大きい個体の貝殻上に小さな個体を乗せているところを、しばしば確認することがあります(下段画像の赤矢印)。このようなことは同科のユリヤガイやゼブラユリヤガイでは確認できませんが、同じ上科(ナギサノツユ上科)であるヒメタマブドウギヌでも確認できます。

 イワヅタ類に着生し以前はイワヅタが繁茂する春から初夏にかけてワラワラと湧いて出てくるように沢山生息していましたが、近年は海水温上昇の影響か?そのイワヅタが激減し生息個体数も激減しています。人為起源の二酸化炭素排出で大量の二酸化炭素が海に吸収されて、海の酸性化が進んでいるそうです。貝殻を有する生物には、住み辛い環境となってしまっているのも激減の一要因だったりして…。

 1999年に発売された小野篤司さん著のウミウシガイドブックで、このウミウシを観て「二枚貝のウミウシがいるの!!」と衝撃を受けました。同ガイドブックは他にも不思議なウミウシが沢山掲載されており、私がウミウシにのめり込むきっかけにとなったガイドブックです。また、ウミウシ毎に生息環境も記載されていたので、八丈島でウミウシを探すのに参考にさせてもらいました。

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ヨツスジミノウミウシ科の仲間

2022年01月23日 | ウミウシ
学名: Facelinidae sp.
 
 
 
 
 体長:50mmの大きな個体でした。カラーフォームはオレンジ色と白色で彩られ、触角と口触手の先端は白色をしており、触角基部から口触手基部をつなぐ明瞭な白線も特徴的です。この特徴はトウリンミノウミウシ属(Godiva)やセトミノウミウシ属(Setoeolis)などでも見受けられるようです。背側突起は透明感のある淡いオレンジ色で紫色をした中腸線のようなものも確認でき、先端部は浅黄色をしています。また、触角には皺が寄ったような僅かな凹凸が多数確認できます。

 トウリンミノウミウシ属かセトミノウミウシ属と思われるのですが、属までは同定できなかったので、両属の共通の上位タクサである“ヨツスジミノウミウシ科の仲間(Facelinidae sp.)”としました。
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ヒョウモンミノウミウシ

2021年12月18日 | ウミウシ
学名: Aeolidida sp.
 
 
 
 体長:10mm程で体表に黒色の細かな点が密にあるのが特徴の地味なウミウシで、個体数が極端に少ないという訳ではないようで時々見かけます。

 ウミウシのガイドブックやサイトでは属名が区々であるため(何れも種小名はなくsp.となっているようです)、共通の上位タクサであるミノウミウシ小目(Aeolidida)の仲間としました。個人的には特徴的な触角などのフォームから、シャクジョウミノウミウシ属の仲間(Phidiana sp.)に同定したい誘惑にかられてしまいますが、残念ながら所詮は素人同定の悲しいところ、そのように同定したガイドブックやサイトは見当たりません。

 興味深いのはガイドブックやサイトでは、確認されたポイントが八丈島だけのようです。もし今後、八丈島以外の場所で確認されなければ、このウミウシは八丈島の固有種ということになるやも知れません。八丈島で独自に進化したのか、はたまた八丈島だけで生き残り他の地域のものは死滅してしまったのか、今後が楽しみなウミウシです。
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ゴシキミノウミウシ属の仲間

2021年11月19日 | ウミウシ
学名: Trinchesia sp.
 
 
【背側突起拡大】
 
【ガヤのような生物を摂餌している?】
 
 学名も和名もまだ無いようです。体長:8mm、独特のカラーフォームをしています。触覚と口触手は白とオレンジ、背側突起は基部から先端へかけて次のように変化していきます。パステルブルーをバックに白い泡粒が沸き立ち、パステルブルーの帯、白地にオレンジ色の斑点が目を引き、脳裏にくっりと焼きついて忘れることができなくなります。このようなパステルブルーが際立つカラーフォームのウミウシを、他には見かけないような気がします。ガヤのような生物に着生しているところを確認したこともあり、それを餌としている可能性もあります。

 これは私の個人的な見解ですが、数年に1回ほどしか見かけないので、八丈島では個体数がかなり少ないのではないかと思われます。
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リュウキュウカスミミノウミウシ

2020年10月02日 | ウミウシ
学名: Cerberilla affinis
 
 
 体長は30mm でした。日中は砂の中に潜り夜間に活発に活動することが多いようです。前足隅が大きく張り出しており口触手も細長く発達しています。口触手を真横に張り出し、辺りを探りながら意外と速いスピードで移動します。この移動する光景を何処かで見た記憶がある。…サソリモドキ。サソリモドキが移動する際、細長い第1脚で辺りを探りながら移動する光景にそっくりです。

 この個体は夜間ではなく早朝に確認したもので、“早起きは三文の徳”といったところでしょうか。
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ゴシキミノウミウシ属の仲間

2019年09月03日 | ウミウシ
学名: Trinchesia sp.
 
 
 体長:10㎜ 程で八丈島では時々見かけるウミウシです。カラー・フォームは卵の黄身の様な鮮やかな黄色(ひよこの様な黄色)地に、触覚・口触手の基部から中段付近と背側突起の先端部がオレンジ色、背側突起の中段付近が空色をしています。

 同属のフジエラミノウミウシやアオセンミノウミウシ等のカラー・フォームに似ますが、完全に一致するものが無かったため“ゴシキミノウミウシ属の仲間”としました。何れにしろ色鮮やかな美しいウミウシです。
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