モグリッチョのフィールドノート

八丈島の自然などを紹介しています。

クロヨシノボリ

2021年02月27日 | 魚類
学名: Rhinogobius brunneus
 
 
 
 この個体は島の川で確認したもので、体側中央に細い褐色の縦縞が一本あり、尾鰭基部でY字状に分かれていることからクロヨシノボリと同定しました。雄は黒みが強いため、この和名がついたようです。体長は2cm ほどでしたが8㎝ ほどに成長するようです。食性は雑食で、大きな河よりも小川を好み、上流域から中流域にかけて生息するそうです。

 川で産卵して海に降り成長した後に川に遡上して、成魚となって産卵する淡水性両側回遊魚とのことです。この両側回遊という行動生態を獲得したことで、離島に渡ることが可能となり生息域を拡大できたのかも知れませんね。

 八丈島に生息する在来種の淡水魚はウナギの仲間だけで、このハゼの仲間は誰かが放流したものではなかと思っていたのですが、八丈ビジターセンターの職員の方に、この話をしたところ、同センターでは既に淡水産のハゼの仲間の生息を確認しているとのことでした。よって、このクロヨシノボリは在来種であるようです。生態系が人間によって変えられたものではないようなので一安心。
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ホウボウ

2021年02月14日 | 魚類
学名: Chelidonichthys spinosus
 
【胸鰭と尾鰭を開いて移動している状態】
 
【胸鰭と尾鰭を閉じてじっとしている状態】
 
 体長は40㎝ ほどに成長します。特徴的なのは胸鰭、モスグリーンにコバルトブルーの縁取りとドット柄、尾鰭のエッジ部分もコバルトブルーをしており、その美しさに目を奪われてしまいす。目立って天敵から狙われるだろうに、何のためにこのような派手な胸鰭をしているのだろうか? また、胸鰭の3対の軟条は独立して発達しており、海底を歩くように移動することができます。この軟条は味を感知する機能も有しているので、砂の中に隠れている甲殻類などの獲物を探し出せるとのことです。翅のような胸鰭に6本脚、まるで昆虫のようです。これも遺伝子の水平伝播だったりして…。

 カラー・フォームは幼魚時期が黒く成長するに連れて赤くなっていきます。この個体は体長が10cm 弱、茶色の濃淡があるカラー・フォームをしており、黒から赤へ変化している成長過程の途中にあると言えるのかも知れません。派手な色をした胸鰭と尾鰭を閉じることで濃淡のある茶色は保護色となり、周りの景色に同化し天敵の目を欺く効果があるようです。

 分布域は北海道南部以南から黄海,東シナ海,南シナ海、水深は浅場から600mまでと広大な生息域となるようです。
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ハタタテハゼ

2006年10月05日 | 魚類
学名: Nemateleotris magnifica
 
 
 体長が30~50mm前後のハゼの仲間です。第1背鰭が著しく伸びるのが特徴で、和名もこの背鰭から付けられたようです。頭部は淡い黄色でそれから白色となり、ちょうど体半分から淡いオレンジ色に変わり、尾に近づくにしたがって焦茶色となります。このオレンジ色から焦茶色のグラデーション部分が炎に見えるのでしょうか? 日本のハゼには、英名: Fire goby と記載されています。

 八丈島では穴の開いている岩場やガレバなどに生息しており、ナズマドなどの潮の流れが速い潮通しのよいポイントなどでは、集団でホバリングしているところを確認できます。
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イシガキフグ

2005年11月25日 | 魚類
学名: Chilomycterus reticulatus
 
 
 体長:30~50cmほどのハリセンボンの仲間で、八丈島では“ふぐめ”と呼ばれ食用にされています(個体によっては内臓に毒を有するものがあるようなので、食用とされる部位は、頭部と背骨周りの身,肝,浮き袋,皮のみです)。最もポピュラーな料理がフグ汁で、具はフグの身、ジャガイモなどの野菜、生姜、それからこのフグの肝(これを入れないとコクが出ない)などを入れ、味噌仕立てとします。肝の酷が苦手という方には水炊きがお勧めで、淡白な白身をポン酢醤油などでいただくのも中々なものですよ。また、皮は湯通しして棘を取り除き、趨。噌でヌタのようにしていただくのも乙なものです。

 このフグの仲間は、動作が緩慢なため素手で捕獲するのも容易ですが、注意してください! 歯板(しばん)と呼ばれる歯が上下の顎に1枚づつ付いており、顎の力も強いので噛まれたら大変なことになりますぞ!
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クダゴンベ

2005年05月26日 | 魚類
学名: Oxycirrhites typus
 
 
 体長は10cm前後で吻が管状に長く伸びており、ゴンベ科の仲間では特異な容姿をしています。ヤギの仲間やウミトサカの仲間などの間に住み、底生性および浮遊性小型甲殻類を捕食しているそうです。体色は棲家によって異なるようで、白色あるいはこの個体のように赤色に変化するようです。
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オキナワベニハゼ

2005年03月28日 | 魚類
学名: Trimma okinawae
 
 
 体長は20~30mmほどで、体色は赤色からオレンジ色(個体によって差がああります)に、青灰色の刺青のような模様が入っています。生息環境は同属のベニハゼと同様に昼間でも薄暗い岩陰などを好み、普段は岩壁などに着底し、じっとしています。
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サザナミフグ

2005年02月07日 | 魚類
学名: Arothron hispidus
 
 
 体長:30cmほどのフグで、愛嬌のある容姿からダイバーの間でも人気者です。ある日、ややウネリのある底土を潜っていると、前方に力なくフラフラと泳ぐ(泳ぐと言うよりは、漂うと言った方が正確かもしれません)サザナミフグを発見。様子がおかしいと思い追いかけ横に並んで確認したところ、な、な、なんとフグの顔面にはテナガダコらしきタコの脚が張り付いておりました。私はこの状態を見て、フグには悪いのですが「プッ」と吹いてしまいました。おそらくタコを捕食しようとして逆襲されたもののと思われ、その千切れた一本の脚は胸鰭に達して鰭にしっかりと絡み付いていました。

 漂えど沈まず!

 これがなかなか実践できない。しかしながら、このフグはそれを実践しているようです。って、このフグにとっちゃー生死の境を漂っている大問題なのでありますよ。
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ヌノサラシ

2005年01月17日 | 魚類
学名: Grammistes sexlineatus
 
 
 全長は25cmまで成長するそうですが、八丈島でよく見かけるものは体長:10cm前後で、昼間でも岩礁域の薄暗いところにいます。体色は茶褐色に薄い黄色の縦筋が入り、この縦筋は成長に伴い数が増していきます。この茶褐色に薄い黄色の縦筋、ゴンズイのような色彩です。皮膚に毒腺を有しおり刺激により粘液性の毒を出すそうです。
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オニカザゴ

2004年12月30日 | 魚類
学名: Scorpaenopsis cirrhosa
 
 
 よく見かけるフサカサゴ科の仲間で、全長は30cm前後です。顔と体には皮弁があり岩などに擬態します。英名:スコーピオンフィッシュと呼ばれているようで、他のカサゴ目の仲間同様、鰭に毒針を持っています。刺された場合は、患部から血を出し医師の医療を受けることをおすすめします。また、カサゴやオコゼの仲間は美味しいものが多く、このオニカサゴも釣りの対象魚となっており、白身は上品な味のようです(私は食べたことがありません)。
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サクラテンジクダイ

2004年12月20日 | 魚類
学名: Cercamia eremia
 
【成魚】
 
【口内保育中の個体】
 
【幼魚】
 
 昼間でも暗い洞窟などに生息しています。体全体が透通ったオレンジ色をしており、金属のような光沢をもった内臓をハッキリ確認することができる美しい魚体をしています。体長は成魚が5cmほどに成長し、一番下側の画像の幼魚が1cmほどです。春に口内保育をしている個体(たぶん雄)を確認することができ、秋には体長:1~2cmほどに成長した幼魚を確認できるようになります。
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