こんにちは売店の佐藤です。
本日は売店で販売しています【津軽の昔話・保存版】から佐藤のオススメの昔話を紹介致します。
では~ はじまり~はじまり~
【八甲田物語・青森市】
青森市の南に八甲田山という美しい山がある。
標高一五八五メートルの八甲田大岳を中心に、田茂萢岳・赤倉岳・井戸岳・前岳・高田大岳・石倉岳・があり
この八峰を総称して八甲田山と呼んでおるんじゃ。
むかしむかし、八甲田山と北側にある東岳は、大変仲が悪かった。
八甲田山が東岳に向かって「おいチビ助、お前はどうしてそんなに背が低くブスなんだい。」
と悪口をいうと、東岳も負けじと、「なにを、お前なんか八つ集まって一人前のくせに、大きな事いうな。」
という具合で、いつも、よるとさわると喧嘩になり、しまいには殴ったり蹴ったりの大乱闘で、ある日、とうとう八甲田山は
東岳の首をバッサリ、刀ではねてしもうたんじゃ。
それ以来、東岳はすっかりおとなしくなり、八甲田山も喧嘩相手をなくしてしまい、寂しくなってしもうた。
そこで、秋には赤や黄、冬には真っ白な着物をとっかえひっかえして、寂しさを紛らわしているそうな。
さて、それからずーっと時が流れ、いつの頃からか、八甲田山の連邦に大人(おおひと)という山男が住むようになった。
顔中ひげだらけで、大きな大きな男での、不思議な事を次々とやっては人々を助けておったんじゃ。
ふもとの村々に大人の噂は次第に広がっていった。
しかし、まだ誰も大人の姿を見た者はおらんかった。
そんな正月の事、一人の男が床について休んでおった。
ところが夜中に人の気配で目が覚めて、びっくり仰天してしもうたんじゃ。
何と、枕元には、天井に頭がつくような大男が立っておるではないか。
目をしろくろさせている家の主に、大男はこう言った。
「わしは、八甲田に住む大人じゃ。人には絶対姿をあらわさんが、お前は正直でいいやつなので、お前にだけは姿を見せてやる。
みやげに山から薪をたくさん持ってきてやったからな。ただし、この事は決して人にはいうなよ。」ってな。
家の主はすっかり嬉しくなって、大人に餅だの料理だのご馳走してやった。
大人は、大変喜んでたらふく食べると、来年もまた来ると約束して山へ帰って行った。
そして、次の年もその次の年毎年、元旦の夜に土産を持ってやって来て、料理を食べて帰って行った。
こんなことが、この家の主がなくなるまで続いたんじゃ。
しかし、里人はおろか、家族の者も誰一人として、この出来事については最後まで知らんかったということだ。
めでたしめでたし
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では今日はこの辺で次回もお楽しみに